37セカンズ

ライムスター宇多丸のアフター6ジャンクション(以下アトロク)にて行われる映画評論コーナームービーウォッチメンでこの作品が評論されると知り調べてみたら良さそうだったのでコロナ真っ只中の新宿にて鑑賞してきました

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37セカンズ/HIKARI監督

脳性麻痺によって障害を持ったユマは漫画家を目指している。ある日持ち込んだ成人漫画雑誌の編集長に言われた「性経験のない人の性描写はつまらない経験しろ」という言葉が塞ぎがちだった彼女を彼女の人生を大きく変える

結論からいうと号泣おじさんでした。主人公が障害者なのでお涙頂戴映画かと思いきや、一人の女性が強くなっていく映画だった。最近は本当に素晴らしい映画が多くて、パラサイト、フォードvsフェラーリ、ジョジョ・ラビット など僕が見たやつだけでも年明けから傑作だらけで金と時間どないせぇっちゅうねんとうれしい悲鳴が出てしまう作品ばかりだが、クライマックスにやったー!!!と飛び上がりたくなる作品はこの37セカンズが久々な気が。

とにかく映画として楽しい!リハビリからの脱出のシーンとかいい感じのチェイス感あって楽しいし普通にめちゃくちゃエンターテイメント!もちろん身体障害を扱うので暗かったり、親との対立があって重くなるけどそんなものはどんな映画にもあるし必要。冒頭は彼女が利用されていたり悲しいことが多いけれど、編集長の言葉を聞いてからは楽しい!映画内で主人公ユマが楽しんでいる人生を共有している感覚

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主演の佳山明さん。彼女は演技未経験の一般人。しかし彼女が素晴らしい。ひ弱な声、自分に自信を持てていない姿勢、話し方など全てが素晴らしい。特に後半から彼女の素敵な笑顔が増え映画がどんどんドライブする。彼女の笑顔が異常に多幸感をもたらしてくれる。どんどんユマ、佳山明さんが好きになる。主演女優賞ですよこんなもん…画像検索の時点で泣いている私…。

シナリオはもともとあったけど、佳山明さんとオーディションで出会って、取材していく上でシナリオが変わった(もともと脳性麻痺の設定じゃなかったのが佳山さんが脳性麻痺なのでそう変わったなど)みたいで、フィクションだけどドキュメンタリーな要素もかなり多いのもグッとくる。

他にも役者陣が素晴らしい神野三鈴、大東俊介、渡辺真知子、渋川清彦、板谷由夏など名バイプレーヤーだらけで流石の素晴らしい演技。みんな本当に素晴らしくて神野三鈴は助演女優賞でしょう。あと漫画家志望として板谷由夏演じる編集長の頭いい人の若干テンポが早い会話とかの嫌さはだいぶ共感した笑テンパるのよね笑

スタッフがかなりグローバルで監督自身NYを拠点にされてる方みたい。どうりで撮影から何から邦画を見ている感覚にならないわけだ。だからそういう意味でも邦画が苦手な人でもおすすめ

今年の邦画ベストは間違いなくこれでしょう!まだ始まって二ヶ月しか経ってないけど!




ここからネタバレ含みます

父を探してユマと介護士の俊哉が旅に出て映画はロードムービー化したので、この二人は関係を持つのか?それは嫌やぞ?と思ったらなくてよかった(もうこの時点でこの映画大好きなので受け入れ態勢は一応作ったけど)

自分のルーツ探しらへんから父の死、双子の姉の存在、姉はタイにいるなど急に情報が増えて若干困惑したけど、双子の姉は実際に佳山さんにタイで教師をする双子の姉がいるみたいで、若干嘘みたいな設定だけど、これ実話では?って思える真実味みたいなものがあってすごいなぁと思った

終盤のセリフ、妹(ユマ)が障害者と知っていたが怖くて連絡できなかったという姉に対して一日すごしたユマの「もう怖くない?」そして、ベッドでユマが俊哉にいった「私でよかった」でもう俺の涙腺は崩壊した。

そして、ラストにセックスしたら連絡してと言い放った編集長に、セックスはしないものの掛け替えのない経験を経て成長したユマが会いにいくシーン。人として成長したことが漫画家としても成長したことに号泣!この展開に気づいた時点で泣いていたのだが…



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