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Chapter.04 Spring

introduction
この記録は、友人のフジワラコトミとの
ルームシェア期間である2020年7月から、
解散する2022年7月までの2年間に、
わたし(タグチヒカリ)が記録した日記の一部を
再編集したものです。

illustration by Kotomi Fujiwara

【第4章 2021春】

2021.March

2.
朝、静かな空間でPCをつけたらPCの起動音が聞こえた。いつもはもう、この音にすら気づくことができない。

知ってる。結局いつまでもわたしをざわつかせる人なのだ。こうやって、もう揺るがない自分になったとて、まだわたしの心をざわつかせる。もう振り回されることもないのだけど、不意に顔をSNSで見たら泣いてしまいそうになった。この人にずっと傷つけられていたのに、本当に好きだった。

3.
わたしは「花束みたいな恋をした」に
なぜ感情移入ができなかったのか

4.
幸福なのに、最近とても心が殺伐としている気がする。どうしてなのだろう。嫌なことがあるわけでもないのに。何に対して不安なのだろう。何がそんなに自分に自信を持つことを妨げている原因になってしまっているのだろう。才能を持った人たちに囲まれて生きていくのが本当につらい。自分は何も持っていないという気持ちになってしまうのが苦しくてたまらない。

お金がないということで、自分の人生の選択肢が狭まっていると思うことが一番しんどいし、思った以上に今の自分はこれに堪えている。お金がないこと自体が悲しいのではなく、いろんな可能性が消えていくということが悲しい。

19.
恋人が作ってくれたフォーを食べながら、こんな人はもういないよと自分に言い聞かせる。


2021.April

1.
自分にもっと優しく出来る能力が欲しい。みじめで情けない自分が救いようもなくて、心の底から自分を侮辱してしまう。何をやろうとしても「自分キモ…」ってなってしまって、それが何かをしようとする時妨げになる。きっと時間はかかるけど、少しづつ自分を肯定できるようになって、呪いを解いていくしかない。ありのままの自分を受け入れる。みたいなのはきっとできないから、もう良くなるしかない。

20.
過去の自分のことを思い出しては、今の自分の何もなさに気づく。人生の変化もなければ、頑張ってもいない。揺さぶられるようなことが何もない。



2021.May

25.
1人暮らしを挟むか一緒に住むか。自分の思うことをぽつぽつ話すと恋人を傷つけてしまう。わたしは勝手なことを言っている。分かっている。どうしたいのか自分でもわからない。何をそんなに、決まっていくことをこわがっているのだろう。


自分が「明日死ぬ」と分かっている夢を見た。夢の中の私は真っ先に仕事を辞めて実家に帰った。そういうことだよね。何が自分にとって一番大事なことなのか。夢占いをしたら、「時間を無駄にしている」だってさ。その通りではないか。

28.
朝、珍しく寝ぼけていて、シンクに卵をパカッてして目が覚めた。最近はフライパンでじわじわと、バターでパンを焼くのにはまっている。


2021.June

2.
いつだって、好きなバンドの新曲に出会う時、
めちゃくちゃドキドキする。

3.
やる気になれない理由はひとつ。

行動していないから。

人はやる気になったから行動するのではなく、行動するからやる気が出てくるものだとは分かってる。

読みたいと思っていた、「A子さんの恋人」と「女の園の星」をやっと買った。

20.
自己肯定感が高すぎると自分の信じるものが善で、そうでないものが悪という価値観にもなりうる。自分が知らない世界を普通でないと認知するのは他者を認める能力が乏しいということ。自分のことを信じられる力は簡単には得られないから素晴らしいものなのだが、その上で他者のことも認めたり理解できたらもっと良いだろう。と、恋人を見ていて思う。

28.
自分に自信がなくなることばかりで、わたしはこの会社のお荷物なのではないかってよく思う。努力不足だと言われたらそこまでだけど。落ち込む。

つづく

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