昔取った杵柄

 僕は今、会計系の仕事、つまりデスクワークで、この道12年目なのだが

 新卒で就職したのは、とある学習塾 主に中学生対象の集団授業で数学を教えていた

 よく言われることだけど、最初の3年間で社会人としてのベースが出来るってのは本当で、僕の社会人としての基本的な振る舞いは、そこで築かれたもの、学んだことが土台になっている

 その当時の主要な業務は、黒板を背に、生徒を前に「教える」ということだった 空っぽの教室で、板書しながら生徒がいる想定で授業の練習をすることも、たくさんたくさんやったし、

 毎日毎日、授業をたくさんたくさんたくさんやった それはそれはたくさんやった 
 普段は夜からだけど、夏休みとかは、朝の8時半から、夜の22時まで、午前・午後・夜、それぞれ3コマ、1日9コマの授業を毎日やってたもんな

 今日は、自分のチームのメンバーに、改めて自分たちの業務を振り返ってみようという試みで、30分ほどの「授業」をした

 転職して10年以上経ち、わかりやすく説明するとか、モチベーションを上げるとか、そういう「教える要素」は今でもかなり役に立っているし、

 事前に作ったパワポの資料を配って、それを手元資料に話す、というのはこれまでいくらでもあったが、

 黒板(今回はホワイトボード)を背に、生徒を前に、板書しながら話す、というのは、多分、転職以来初めてだった

 授業の練習をしておく時間がなく、ぶっつけ本番で、ちゃんとやれるか不安もありつつ、事前に用意しメモをチラ見しながら進めていくと

 もう、マジで、秒刻みで昔の経験が蘇ってくるんだ 

 皆に黒板が見えやすいように書くチョーク(今回はマジック)の持ち方、書き方とか、話しながら生徒の様子を見ながらテンポを調整するとか、間の取り方とか、

 アイスブレイクの入れ方とか、大事なことの強調の仕方とか、話を滑らかに聞かせる「繋ぎ言葉」の使い方とか、

 時間通りに終わらせる結びへの持っていき方とか、

 10年以上ぶりだったのに、昨日も数学の授業をやってたかのような感覚

 最後の方はもう自分がどんどん楽しくなってきて、完全にあの頃の自分だった

 終わりの挨拶をしたら、チームメンバーから拍手が起きたもの 内容もちゃんと伝わったと思う

 あの当時は辛かったけど、自分なりに精一杯やっていたから、ちゃんと身になっていた、だから今になっても技術的なことがすぐ取り戻せたんだと思う

 今日は、良い仕事ができました!

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