見出し画像

地中海はかつて盆地で、水はなかったらしい

地中海をよく見ると外洋とつながっているのはジブラルタル海峡だけで、ここが閉じてしまえば途端に閉じられた海になります。

超大陸パンゲアが1.5億年前に分裂して以降、アフリカ大陸とユーラシア大陸に挟まれたテージス海は、アフリカプレートの移動によってどんどん小さくなり、ツール・ド・フランスで劇的な舞台となったアルプスやピレネーを形成し地中海になったのですが、さらに縮小してジブラルタル海峡の部分がくっつき、大西洋から切り離されてしまいました。

地中海は、アフリカのサハラ砂漠につながる乾燥地帯なので、海はどんどん干上がり、わずか1000年あまりで干上がってしまってしまい、海水面よりも低い巨大な盆地になったそうです。

マジョルカ島のあたりの海底の地層を探索したところ、海が干上がるときには、石灰岩(CACO2)→石膏(CASO4)→塩(NACL)の順番で干上がるそうなんですが、ちゃんとその痕跡が地層に残っているそうです。

そして「乾裂」という、地面が干上がった時に亀の甲羅のような形をした亀裂による堆積構造ができますが、その名残がボーリング調査によって発見されたことで間違いなく乾燥盆地であったという証拠。

その後、ジブラルタル地峡が決壊して地中海盆地に海水が時速300キロという猛スピードで流れ込み、90%の海水は数カ月から2年であっという間に今の地中海をつくったといいます。

この説は1970年代に提唱され、海水の流れ込みはなんと2006年の科学雑誌ネイチャーで発表されたという最新の学説で、これも海底を掘削する技術の進展によって海底のボーリング調査が可能になり、わかったことだそうです。

地球科学の世界は、現在進行形でどんどん新しい説が提案されていますが、これもその事例です。

以下はなんと先月(2020年3月)のナショジオの記事です。まだまだ仮説ではありますが本当に興味深い仮説です。

写真:ギリシア サントリーニ島

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?