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違いがあることは豊かなこと

ずいぶん昔のことになるが、自宅にドイツ人の友人を招いた。彼は留学生として日本に来ていた。食事を済ませ、くつろぎながら、日本のカルチャーを知ってもらおうと、僕の好きな日本人ミュージシャンのライブDVDを見せた。

まだYouTubeのなかった時代だ。東京ドームで数万人の観客が演奏に合わせて腕を振り上げている。スタジアムが一体になって盛り上がっている映像を見せて、大好きなミュージシャンの人気の高さを伝えたかった。

しかし、そこで友人が放った言葉が、今も忘れられない。「ヒトラー時代の映像を思い出すよ。ちょっと怖い。」彼は歌っている歌詞の意味ではなく、熱狂的に同じ仕草を繰り返す観客の姿にファシズム時代のイメージを重ねたようであった。

その後のやりとりはあまり記憶にない。ただ「みんなが同じであることは、場合によって恐ろしい」という言葉は僕に衝撃を与えた。それ以来、僕も「同じである」ことに「クリティカル」な視線を向けるようになった。

第二次世界大戦の時、ドイツと同様に全体主義国家であった日本。戦後、政治体制や仕組みは大きく変わったが、不和雷同しやすい私たちの体質はどのくらい変化したのだろう?「違うことは豊かなこと」・「同一化への疑問」は、過去来た道を辿らないための僕の指針として、今もここにある。

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