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財布が水没した

会社を出る前、飲みかけのウィルキンソン炭酸水のペットボトルに蓋をしてバッグにIN。
駅まで歩く。
電車に乗る。
椅子に座って、本を読むか…とバッグを開く。
そこで異変に気づく。
中から出てきたのは、空っぽのウィルキンソンのボトル。
蓋が外れている。

「飲みきった…はずはないな」

その瞬間に全てを悟った。


買ったのは大学生の時。
町田をブラついていたときに、東急ツインズの中でたまたま見かけた革製品のショップ。
そろそろ見た目だけでもちゃんとした財布を持っておくべきだろうか?とかなんとか考えながら店内をウロつく。

革製品は高い。
でもその分長く使って、馴染んでいくのを楽しむ。
大学生の自分に数万円の買い物はかなりの冒険であった。
しかし、結果として「背伸びして買ってよかった」と今でも思っている。

ちなみに、最終的な決め手は店員のお姉さんだった。
とんでもない美人で、でも素人のバイトさんとかそういうわけではなく革製品のウンチクをたくさん聞かせてくれた。
質問したり話をしている間、俺はなんと間抜けで惚けた顔をしていただろうか。
根暗大学生なので「ところでお姉さん、この後暇ですか(キリッ」なんて仕掛けることもできず。
なんともホワホワした気持ちで過ごしていただろうと思う。

色々手入れのこととか教えてもらって、予算や好みに合わせていい感じの財布を見繕ってもらった。
ちなみに後日、もう一度その店を訪ねて定期入れも買った。
もちろんお姉さん目当てだ。
入店後目が合ったときに「あの時の…」みたいな感じで覚えていてくれたのがわかり、天にも昇る心地であった。

残念ながらその後しばらくして閉店となってしまったことを知り、あのお姉さんがどうなったかはわからなくなってしまった。
一目惚れを自覚するはるか手前で終わってしまったので、いっそ「良い思い出」として整理できてはいるが。
今回の財布水没の件で、また当時のことを思い出し、懐かしい気分になった。


やべえ、次の財布買わないと…
店なんて知らねぇよ…


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