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「それっぽいもの」と「それ」

境界は一体どこにあるんだろうか?

夜寝るときに無音だと落ち着かないので、うっすらとBGMを流している。
最近のお気に入りは「あつまれどうぶつの森」(以下あつ森)の、美術館BGM。
Youtubeで1時間流しっぱなしの音源があったので、小音量で流している。

あつ森のゲーム内では博物館という施設が登場し、建物の中で水族館・美術館・昆虫園・化石展示のコーナーに分かれている。
博物館のエントランスではピアノ基調の静かなBGMが流れており、とても「それっぽい」感じがする。
主人公が歩くときの足音の反響など、現実の博物館の雰囲気を見事にゲーム内でも表現している。
「現実の博物館もきっとこんな感じなんだろうな」と思わされる。

で、そこから各コーナーへと移動できるのだが、コーナーごとにBGMが変化する仕組みとなっている。
メロディー自体は変化せず、演奏する楽器が変わるのである。
水族館に行けば水の音を思わせるBGM、美術館に行けば美の巨人でバチカンの巨大壁画が紹介されているシーンが思い起こされるようなBGMに変化する。

どのコーナーのBGMを聞いても、「それっぽい」印象を与えてくれる。
水族館は水族館っぽいし、美術館は美術館っぽい。「昆虫園・化石展示のコーナーでそれっぽいってどういうことやねん」と思われるかもしれないが、あつ森ソフトをお持ちの方は一度じっくり聞いてみていただきたい。
なんというか、違和感が無い。「このBGMで昆虫コーナーっぽさは無いよな」とはならない。

そんな中でも美術館のBGMが一番好きなので、寝るときに聞いているのである。
自分には音楽知識が一切無いので、使われている楽器などの詳細はわからない。
それゆえ、やすっぽい言い回しになっているのは申し訳ない。

で、「それっぽい」BGMを聞いて美の巨人を思い起こしながら眠りについているここ最近なのだが、そもそも「それっぽい」ってどういうことなんだろうと。

確かに「美術館っぽい」とは思う。
しかし現実にローマやバチカンあたりの美術館に足を運ぶと、おそらく何もBGMはかかっていない。
大昔に美術館を訪れた著名な作曲家が、展示に感動して「美術館のテーマを作りました!」となって生まれた元祖メロディーがあるわけでもない。
なので、今の自分は現実から模倣したわけでも無い曲を聴いて「美術館っぽい」などという感想を抱いていることになる。
そしておそらく、同じ曲を聴いた人の多くは「確かに美術館ぽいかも」と思うはずである。

「それっぽい」というとちょっと軽薄な印象があるが、その実態はもはや「それ」であるなぁと。

でも、現実において確固たる「それ」は無い (自分の観測範囲内では)

モヤモヤとは違うが、この不思議な感覚にここ最近取り憑かれている。

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