駄言

二次創作の足抜けから苦労している。
何せ初めて絵を描いた時から10数年来の癖で、その間オリジナルキャラクターの方がよっぽど多く描いたが、咄嗟にシチュエーションが考えつくのは二次創作の方が多く、思考がすっかり癖づいている。
しかし二次創作の方が多分にメリットがあるわけではなく、よっぽどデメリットの方が多い。

一つは、その作品を好きでかつ二次創作というコンテンツに造詣の深い人間という、限られた存在にしか伝える事ができない点。
自分の描きたい話、絵柄が驚くほどここにマッチングしなかった。メイン層は若年〜中年層の女性になるが、私の描くものはおおよそ中高年層の男性に受け入れられやすいストーリー、絵柄だ。いかんせん青年漫画や若干古めの洋書漫画に感銘を受けてきたせいで、ここはどうにも変えたくないし変わらない要素だと知った。評価されたいのではなく、もう少しネガティブかつナイーブな感覚でこれを身に染みて感じた。ようは、周りを訳の分かりづらいことに付き合わせるのが忍びなくなったのだ。彼女らは本当に優しく繊細だった。それから、彼女らの好ましいキャラクターを酷な目に遭わせるのもまた、本意ではない。

もう一つ、これは全ての二次創作を楽しむ人々を否定する意図は全くなく(何より自分が二次創作作品に救われ見るのも描くのも楽しんできた身である)、公式にガイドラインが発表されていないコンテンツの許可を得ない二次創作は親告罪とはいえ社会的観点から見れば事実として罪である。
これまでの自己の行為がいつか咎められる日が来るなら、甘んじて罰を受けたい。
だがこれからも続けることはできない。数々の理由があるが、端的に言えば己が己に対して息苦しくなった。
息を吸うために、権利を侵害しない行為をしていたい人間だということに気づけた。貴重な経験だ。

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