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安野光雅さん「旅の絵本Ⅷ」

安野光雅さんの「旅の絵本Ⅷ」。

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もともと、前にテレビで観たときから気になってたんですが
安野モヨコ先生のnote記事を拝読して、さらに気になる度が上昇したため
買いました。
「旅の絵本」はシリーズなのでどれを買おうか迷っていたんですが、上記のようなわけで<Ⅷ 日本編>をチョイス。

人々の営みと風景とが、俯瞰で描かれているのがこの「旅の絵本」の特徴です。
そこを歩いているような気分になれます。

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俯瞰だから、たとえば町並みなんかもほとんどが屋根で、
そこからチラッと覗くお店の軒先や、道行く人々が愛らしくて、ほっこり懐かしくて、
どんな話してんのかなーなんて想像するのが楽しい。

遠くから見れば美しいけど、でもひとりひとり、一軒一軒にはきっとなんやかや色々あるんだろうなあとか想いを馳せたり。
ただ歩いてるだけでも、あーあやってらんねえなとか、チクショー胸糞悪りぃとか思ってる人もいるかもなとか。
でもそういうのもありつつ、なんだかんだ日々を一生懸命過ごしてるんだろうなみんな、とか、そういうことを思いながら見たり。

安野光雅さんのふるさとである、島根県津和野町の風景も描かれています。
美しく凪いだ、天気のいい海。
並んだ干物が可愛らしい。
この外国人みたいな旅人はきっと、全編通して旅してるんだろうなとか。羨ましいなとか。
いくらでも眺めていられます。

なんといってもペンタッチが可愛いなあ。
私はドラえもんのGペンのタッチがそりゃもうものすごく可愛いと思っているんですがそれに似た愛らしさ。
あと色。色が素敵。ふんわり包むような色。パステル感とシックさがちょうどよく混ざったような。

いいなあ可愛いなあ面白いなあと眺めているうちに、
あ、これ、子どものころ好きだった「ウォーリーをさがせ」にも似てるなー、なんてふと思ったところで、

「いや違うな…ウォーリーの前から、私こういう絵、好きだったな」と、記憶の中のちっちゃな糸コブが突然ほぐれました。

小学校の校庭を走る子どもたちのタッチに妙に見覚えがある。
どこかで見たこれ。あれ?何に似てるんだろ?

何に似てるっていうか…、あれ。
もしかして私、この人の絵、子どものとき見てるんじゃないか?

どこでだ?教科書か?家のカレンダーか?
絵本もたくさん出してらっしゃるから、それのどれかか?
と思って調べてみても、どの絵本もあまり覚えがない。

まあいっか、と思ったところで
今度は急に、別のことに思い当たりました。

うちの子どもが描く絵のこと。

うちの子は絵を描くよりも、ブロックで建築物を作ったり
ダンボールで自販機を作ったりと、
どちらかというと3Dのほうが得意なようなんですが、
描く絵もどちらかといえば俯瞰というか、設計図とか間取り図みたいなものを描くのが好きで。

たとえば学校で出された「遠足の思い出」というお題の絵なんかも、
水族館へ行ったとすると、魚をバーンと描いたり人をバーンと描いたりするのではなく
「学校から水族館への道のりと、そこを走行中のバス」といったような絵を描くわけです。

私はどちらかというと魚バーンとかいう絵を描く子どもだったので、
絵に関してはとらえ方が違うなあなどと思っていたのですが。

私も好きだったじゃん、俯瞰の絵。
子どもと同じだったんじゃん。と気づきまして。

なので子どもに「旅の絵本」を見せたらば、案の定「これ好き!」と食いついてました。
「お母さんもさ…実はこういう絵好きだったよ…」と話すと「へーえ」と言ってました。
別になんてことない話なんですけど、私はこういう気づきを子どもに聞いてもらうのがけっこう好きです。

で話は戻りまして。
安野光雅さんの絵を見たことがあるような気がすることに、まあいいやと思いつつもなんだか気になって、再度調べて、でもわからないを何度かちょこちょこ繰り返しているうちに
頭の中で何か、「安野光雅」というキーワードとセットになっている言葉があることに気づきました。
それは「うちゅうせんペペペペラン」。

ドレミファブックか!

ドレミファブックというのは、むかーーーーし出ていた
童話や歌のレコードとその内容の絵本がセットになったもので、
もともとは年の離れた姉たちのものだったんですが、私も聴いていました。

絵本の絵はいろんな作家さんが描いていたんですが、
その中のどれかがもしかしたら安野さんだったのかもしれない。
「うちゅうせんペペペペラン」というのはそのレコード絵本の中の1タイトルだったんですが
たぶん安野さんの絵ではない。
それでも検索してみました。「安野光雅 うちゅうせんペペペペラン」。

はいビンゴ。
予想通りペペペペランではなかったものの、安野さんのお名前もバッチリと作者リストに掲載されていました。
うわー!あの白雪姫って安野さんだったのね!大好きだったよこの絵!あああこの花冠の色も髪の色もリスもバックの木と葉っぱも!今みてもすごい可愛いよ!ていうか今の私の絵の好みを形成しちゃったやつだよきっと!
「みんなでたいそう」なんてまんま、「旅の絵本」の走る小学生じゃん!
うわーうわー!小さい頃の記憶ってすごい!

よかった…「旅の絵本」、気になって買って、本当によかった。
わからないと思っていた子どもの絵が実はそうでもなかったこと、そして小さい頃の記憶が今も私を動かしていること。そういう、小さいけど思いもよらなかったことに出会うと、私はものすごく嬉しくなるタチだ。こういうことがあるから生きてるってのはいいもんだよなあと思うぐらいだ。

安野モヨコ先生に心からお礼を申し上げます。
安野光雅先生の記事を書いてくださって、ありがとうございました。



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