認知症患者の看護に関する問題点と現状

認知症患者に対する看護作業は、心身の疲労が蓄積されやすい傾向にある。これは、認知症患者は日時に関係無く思いもよらない行動をとることがあるので、常に目を向けていなければならないのが大きな理由だ。言うことを聞かず、自分が病院にいることを理解できない患者もいるので看護作業は非常に過酷なものとなる。自宅に帰ろうとして窓から屋外に出ようとするなど、危険な行為に至るおそれもあるので細心の注意を払うことが必須だ。認知症の症状は患者によって様々であることから、画一的な看護作業ができない。患者ごとに最適な方法で看護する必要があるので、どうしても患者ひとり当たりに割く時間が長くなってしまう。結果として、認知症患者を看護する人員が不足しているのが現状だ。

また、認知症患者に対する看護への認識不足も大きな問題のひとつである。認知症患者は他者に対して攻撃的になることがあり、看護師や医師が暴力を振るわれるケースもある。ゴミなどを食べたり幻覚や幻聴に怯えて異常な言動を取るのも認知症患者に多い症状だが、世間のイメージは多少、子供っぽい言動になるという程度でしかない。そのため、認知症患者が暴力を振るったりゴミなどを食べるのは、看護する側に非があると見なされてしまう。そのほか、認知症患者は自傷行為に及ぶケースもある。保護のために拘束することもあるが、安全を確保するための拘束ですら虐待扱いされることも珍しくない。認知症患者への適切なケアが実施できず、症状の進行が加速してしまう実状がある。
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