見出し画像

【グループ首位へカムバック】Arsenalマッチレビュー@CLGS第3節vsSevilla(A)/23.10.25



試合前トピックス

・トーマス、筋肉系のトラブルにより再離脱


マッチレポート

試合結果

SEV 1-2 ARS
45'+3マルティネッリ(ジェズス)
53' ジェズス(ライス)
58' グデリ(ラキティッチ)

https://www.sofascore.com/

ハイライト映像

スターティングイレブン


試合トピックス

万能冨安による左ビルドの好循環

 チェルシー戦の劇的ドローから中2日、前回はランスに屈辱の敗戦を喫してしまったCLグループステージへと戻ってきたアーセナル。好調冨安が左SB、アンカーは引き続きジョルジーニョが務めることに。

 CLアンセムを吞み込むほどのホームサポーターの声援にスタジアム全体が覆われる中キックオフ。CLGS2戦2敗、リーグでも13位と不調のセビージャはホームのアドバンテージを生かし保持を放棄せず後ろからかっちりと繋いでくるスタンスで勝負を挑む。また、アーセナルのプレスがはまるシーンではラモス中心に後方から精度の高いロングボールで大きくサイドチェンジ。マルティネッリの気合プレスバックが間に合わない場面や、スライド中の冨安の頭上を越える場面では深い位置まで侵入されるシーンも散見された。

 対するアーセナルはいつもの堅守がある程度ハマっていた。少なくとも前節チェルシー戦よりは幾分マシで、前述のロングボールに対してもこちらが崩される前に送られてくるためサリバガブリエルが潰し切ることに成功していた。

 一方の保持ではG1A1ジェズスやマルティネッリ、ライスを抑えファン投票によるMOTM獲得の冨安が際立って活躍。ライスとスムーズなCH化⇆IH化の連携を行う事で前後のバランスが保たれ、ボールの前進に準じた適切な重心で後方ビルドに大きく貢献。FKの際にはCFポジションで最終ラインを引っ張るランでスペースを作り出し、IHの位置で早い時間帯にシュートを記録するなど左サイドにおける攻撃の要として前後半に渡って活躍していた。

 アーセナルの守備局面に話を戻すと、右はホワイトが対オカンポスにおいてかなり安定。1vs1でディレイをかけきっちり抑え込みホワイトを抜く前に雑なクロスを上げることしかさせていなかった。またここでも冨安は活躍。こちらサイドはより明確に潰し切る守備でルケバキオやオーバーラップしてきたナバスを封じ込み、大外での起点作りを徹底して阻止していた。

 保持/非保持という明確な長所/短所があるジンチェンコと対比して、良くも悪くも安定というイメージが強かった冨安。だが今節では持ち前の守備強度に加えジンチェンコとはまた違ったタイプの攻撃参加が出来ることを証明してみせた。後方からのパス精度というジンチェンコの武器とはまた違った、適切なポジショニングとライス-ガブリエル-マルティネッリらとの連携における潤滑油的な働き。前者が使う側であるのに対し使われる側としてハイレベルだった今節の彼は、最近の高パフォーマンスとを併せて左SBにおける序列が変わったとしても何ら不思議ではない。そう感じる程に素晴らしかった。

好調ジェズス大暴れにCLデビューマルティネッリ弾で制す中盤戦

 出だしこそ主導権を握り試合を支配していたアーセナルだったが、ゴールは遠く次第にミスが目立つように。自陣ロストやラヤのミスキックからピンチを招いたり、結果的には大事に至らなかったが両翼マルティネッリとサカの負傷による試合中断が尾を引き徐々に停滞。イーブンな展開へと傾きかけていた。

 前半終了間際ジョルジーニョのロストからエンネシリが抜け出すも冨安が好対応で危うく難を逃れ、不穏な空気のまま終わるかと思われていた中、今度はポジトラから詰まったかに思えたジェズスが神ターンで2人を置き去り、マークを引き連れてる間に抜け出したマルティネッリが開始直後阻まれたGKとの1vs1を今度は制しリードして折り返すことに成功する。CLデビューでマルティネッリは得点をゲット。1点を確保し失いかけた安心感を持って後半に挑むことが出来た。

 その流れのまま後半の立ち上がりも攻勢をかけ続け決定機を連発。ホワイトとフリーウーデゴールは連続して枠外へ外すも、ライスがロングボールを回収したところからボックス内で誘うドリブルを開始したジェズスが抜き切る前に角度のない場所からサイドネットに突き刺すゴラッソで追加点を挙げることに成功。スタジアムも静まりこのまま楽勝ムードになるかと思われた。

押される後半戦と気がかりなウーデゴール/エンケティア

 が、アーセナルペースの中セビージャがCKからグデリの強烈なヘディング弾で1点を返す。たちまちスタジアムも勢いを取り戻しここから試合終了まで押される展開になった。

 アーセナル側も負けじとライスが単独で推進力を発揮した陣地回復を見せ、ボールが収まり守備に貢献できるハヴァーツと仕掛けで相手のラインを押し下げることのできるトロサールを投入することで対抗。最終盤には久々にキヴィオルを入れる事で伝家の宝刀5バックも見られた。また元スパーズラメラのシミュレーションによるイエローと見所も満載だった。

 気がかりだったのがウーデゴールのパフォーマンス。ボールを持てど効果的なパスがあまりなく、サカやホワイトとの連携もそこそこ。ここはサカの迫力不足も関係しているところではあるが、最近覇気がなく最初の交代でハヴァーツと代わりピッチを去ることになった。

 また途中出場のエンケティアに関しては気がかりというよりまたしても不満を抱く内容。彼自身のプレースタイルによるところもあると思うが、スタメンを奪取してやろうという気概があまり見られず、攻守においてインテンシティの感じられない姿が目に付いた。守り切るだけという状況でもクロッサーに対し詰めるアクションすら起こさず、プレスも強度が高くないといった具合で不安になった。

 こういった諸々の不安要素はあったものの、セビージャの仕掛ける素早い展開を何とかいなし切り時計の針を進める。速攻ではなくじっくり崩しを狙ってくる時間帯ではアーセナルは慌てずコンパクトなブロックを作って受けきれていたのは良かった。ひやひやするシーンもあれど、致命的なシーンこそ作らせずクローズに成功したアーセナルが2点を大事に抱えて逃げ切った。


ゲーム総評

 後半は懸念点も散見されたアーセナルだったが何はともあれ勝ち点3ptを積み上げることに成功。ランスを抜いてグループB単独首位に躍り出てひとまずは安心といったところか。

 サカやウーデゴールの覇気不足、エンケティアの怠慢プレス、未だ賛否分かれるラヤのパフォーマンスなど選手単位での課題はいくつか見られるが、ハヴァーツやトロサールを適切な使い方でスタメン組と上手く調和させるアルテタの交代策や、試合内容に関わらず一定以上の結果を持ち帰ることのできる勝負強さは徐々に発揮してきている。ひとえに「好調」と手放しで言うことは難しいかもしれないが、目の前の課題を淡々と改善し強みを押し付けていく今の路線はこれからも継続していってほしい。

 また次節はPLで昇格組シェフィールド戦。ジンチェンコやトロサール、ハヴァーツやスミスロウなど頭から見たい選手が何人もいる。適切なターンオーバーを行い、特にスミスロウやハヴァーツはスタメン争いに割って入る活躍を見せてくれることを願うと共に、連戦が続く秋を上手く乗り切りたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?