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【アーセナル】EuropaLeague/2ndleg/vsBodø/Glimt(H)【ごとこの備忘録】

ARS 3-0 BOD
ARS:エンケティア 23' ホールディング 27' ヴィエイラ 84'

試合前展望

 前節は好調スパーズに3-1勝利、7勝1敗で暫定リーグ首位と、今季のアーセナルの強さが”本物”であることがいよいよ証明されつつある10月中旬。3日後にリバプール戦が控える中ヨーロッパリーググループステージがまたやってきた。

 サリバ、サカ、マルティネッリら、2024年までの契約を結んでいるヤングスター達との契約延長交渉が楽観的に進められているここ数日のアーセナル。この試合の注目としては大一番リバプール戦に備え主力を休ませる意味合いでの冨安のCB起用やセドリックのRSBが見られるかどうか、それと怪我から復帰したものの、ここまで出場機会を与えられていないネルソンが出場するか、といったところ。

特にネルソンは、かつてはサカ、エンケティアと並びアカデミー最高傑作とまで称された選手。スミス=ロウの長期離脱でLWGの層が薄くなってしまった今、マルティネッリの立場を脅かすほどの活躍をヨーロッパリーグで是非見せてほしい。

各選手の評価

GK マット・ターナー

・フィードの鋭さや正確性はラムズデールに一歩劣るものの、後ろから繋ごうとする意識と一定以上の技術を見せた。また、ガブリエルとロブがトンネルを食らったシュートと、試合終了間際での至近距離シュートという処理の難しい決定機を共に防ぐ活躍を見せた。

LSB キーラン・ティアニー

・ネガトラ時の安心感をもたらし、裏抜け対策にも万全を期していた。恒例の中盤組み込みにも問題なく参加、今や昔ながらのランナータイプSBと現代的な偽SBのロールを共に高いレベルでこなす選手へと進化している。更に今日はゴールに絡もうとする意識が高く、去年のノリッジ戦を彷彿とさせる強烈なミドルがエディの先制点へと繋がった。

LCB ガブリエル・マガリャンイス

・ノーロンの低調なパフォーマンスは何のその、クリーンなスライディングでチャンスを阻止、その後も数少ない相手のシュートシーンをブロックし続ける防波堤と化していた。

RCB ロブ・ホールディング

・今節も危なげないプレーに終始していた。加えてポジトラ時に相手の1、2列目を超えるようないい球を配給していたのが特に好印象。また、CK後にヘディングで得点をマークし、最近のガブリエル、サリバと共に得点力もアピールしていた。

RSB 冨安健洋

・試合開始直後から裏街道を成功させるなど調子の良さがプレーに現れていた冨安。ホワイトに負けず質の高いオーバーラップを何度も披露、空中/地上戦も難なく対処し、ティアニー交代に伴って後半70分頃からLSBとしても安定感抜群のプレーをしていた。ELに冨安/ティアニーのフルバックが形成される安心感と言ったらない。

DMF サンビ・ロコンガ

・やはりELGSレベルだと問題なくアンカーを務められることを確認出来た試合だった。ボデ/グリムト側が予想より高い位置でプレスをかけてくるシーンがあったものの、CBからボールを引き取り反転、捌ききれていた。

LIH グラニト・ジャカ

・今日もまたキャプテンマークを巻いてのスタートとなったジャカ。スタメン組たる所以をいかんなく発揮、高水準のIHタスクをこなした。相手GKの好セーブに惜しくも阻まれたFKなど、ゴールに直接絡むシーンもたくさんあった。

RIH ファビオ・ヴィエイラ

・ジャカと同様、いやそれ以上にゴールを狙う姿勢を見せたヴィエイラ。クロスバー直撃シュートなどを含めて前回出場時より更に得点を狙っていた。その結果、ロブへの絶妙なピンポイントクロスからアシストを記録、後半には天才ドリブラージェズスのお膳立てからゴールとG1/A1の記録を残しアーセナル公式POTMを獲得。出場するごとに攻撃面での迫力を増している印象。

LWG ガブリエル・マルティネッリ

・いつもより大外に張っての仕事が多かったように思う。その分相手SBとの純粋な1vs1の頻度が高く、試合を通して突破からチャンスを作り続けており脅威になっていた。また、エディと共に二本の矢としてスピード感溢れるカウンターを何度も演出していた。

RWG マルキーニョス

・野性味を感じる守備というか、しつこく追い掛け回すプレスバックで相手SBのオーバーラップの無力化を図ったりと攻守にわたって存在感を発揮していたマルキーニョス。ただ一点、冨安が質のいいオーバーラップを繰り返していたのに対し上手く活かせていなかったシーンが目に付いた。デコイとして使うならばもう少しえぐるカットインにチャレンジするか、それともシンプルに使ってあげてもよさそうだった。

CF エディ・エンケティア

・個人的にはジェズスよりも上手だと思っている高い位置での強弱をつけたプレスを試合頭から精力的に取り組みパスミスの誘発に繋げていた。また、ロングカウンター発動時に単独で長い距離キャリーし貪欲にシュートを狙っていく必死な姿勢を見せるなど、ボールを持てば絶対に存在感を放つキレキレっぷりを継続して見せた。ここに好調なのがジェズスだけじゃないんだぞといわんばかりの意気込みを感じられてとてもよかった。そのご褒美としてティアニーのこぼれから先制点を記録。個人的MOTM。

全体の雑感

 思っていたよりもターンオーバーを行わなかったスタメンで正直不安だったが、終わってみれば怪我人0、特に疲労が気になるジャカ、ガビ、ティアニーらを温存交代、ターナーの活躍もありクリーンシートと、満点に近い内容で終わることができひとまずは安心といったところではないだろうか。

 ただ、やはりリーグ戦スタメンの11人と比べると連携面での練度が少し足りないのか、パスずれが散見、そこからボデグリムトのチャンスになってしまう場面もあった。もうしばらくはGSが続くということでここは早いところ解決しておきたい課題。

試合展開

 上でパスずれからのロストについて触れたが、正直強いて挙げた改善点に過ぎない部分である。ELでの対格下戦という枠組みの中で、危なげなく強者として常に差を見せつけていた。

 また、前半にきちんと複数得点を記録、攻撃が衰えたように見えた後半は次節にむけたコンディション調整のためにあえて静かな試合展開を作りに行ったと考えると、こういうところも試合巧者になったなぁとアーセナルの成長を実感した。

 ボデ/グリムト側は試合前の大方の予想とは打って変わり、451でのリトリート守備に加えて433で前から嵌めに来ようとする意志を要所要所で見せてきた。が、低い位置ではサンビ、ティアニーが上手いことボールを引き出し、高い位置で撤退守備に切り替えてくるシーンでは主にジャカが相手RIHとRWGの中間ポジションに位置取り守備基準の攪乱を起こすことで、ライン間で受けても良し中を締めてきたら大外レーンのガビと二者択一を押し付ける状況を作り出していた。流石9月のアーセナル公式POTMに輝いた男。

 また交代に伴ってジェズスとエディ、それとウーデゴールとヴィエイラの共演が実現したのもグーナー的には気になるトピック。ジェズスはLWG、ウーデゴールとヴィエイラは二人でインテリオールを形成しており、共に悪くない感触であった。

 更に試合前展望で触れたネルソンが80分頃から出場、シーズン途中の覚醒も見込めるような印象的なプレーを見せていたので概ね満足。ネルソンが計算できるようになると前線のローテーションが楽になるのでもっと活躍してくれることを期待したい。

 あとは試合に出ていないのに歌われたサリバのチャントはもうただファンのお気に入り曲になってて面白かったのと、アーセナルがFKを獲得したシーンでなぜだか楽しそうに手元の画面を見ていたオドリスコルさんがただただ可愛かった。

次戦に向けて

 主力組の温存、短時間実戦練習もかねて試合をクローズできた今節。LSBをジンチェンコ続投でいくのか、はたまた守備強度を担保するためにティアニーでいくのかなど、次節リバプール戦に向けて意見が分かれるポイントはあるものの、チーム全体が万全な状態で挑めることはまず間違いない。

 近年いい思い出のないシティ、リバプールらPL二強の牙城を崩すには今はベストなタイミング。アルテタとクロップのハイレベルな戦術対決まで含め、勝ち負けは勿論だが内容も伴った好ゲームになることを強く望む。


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