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【ワンサイドゲームで快勝】Arsenalマッチレビュー@CLGS第4節vsSevilla(H)/23.11.9



試合前トピックス

・アルテタ、ニューカッスル戦のVAR運用等について見解
→クラブがアルテタを支持する声明を発表


マッチレポート

試合結果

ARS 2-0 SEV
29' トロサール(サカ)
64' サカ(マルティネッリ)

https://www.sofascore.com/

ハイライト映像

スターティングイレブン


試合トピックス

セビージャのインテンシティと相反する守備成功率

 カップ戦を含めると直近2試合で連敗を喫しているアーセナル。前回CL戦で大活躍のジェズスに加えエンケティアまでもフィットネスが合わずCFにはトロサールが先発。右IHハヴァーツと左SB冨安は引き続き出場することとなった。対するセビージャは前回対戦時出場のラモス、アクーニャ、ニーランがスカッド外と互いに少々離脱者が目に付くスタメンとなった。

 さて試合はいきなりセビージャの守備包囲網を抜け高い位置から攻撃を開始したマルティネッリが強烈な縦突破からCKを獲得するところから始まる。このシーンではどフリーハヴァーツがヘッドを枠外へ外してしまうものの、最初の攻撃の一連の流れが結果的には試合内容全体を表していたように思う。

 まずセビージャの守備隊形はインテンシティの高い4-4-1-1。OMFソウがアンカージョルジーニョを消しCFエンネシリが1人で両CBへ牽制、CHジョルダン/レゲスがそれぞれ対面のIHを監視する形で、絞るSBにはWGや自分のマークを一時的に捨てたCHが見ることとなった。主力が何人か落ちアウェイという状況であったのにも関わらず、セビージャはマンマーク色の強く果敢なプレスを試合を通して続けた。しかしこれはほとんど裏目に出ており、アーセナルは圧倒的なアタッキングモメンタムに表れているようにずっと自分のターンになっていた。

終始アーセナルのペース

 では何故セビージャがボールを奪いきれず防戦一方だったかというと、大きく分けて両WGへの対応とIHポジションのポジションチェンジについていけなかったという2つの理由が考えられるだろう。

 まず前者に関しては、普段プレミアリーグを見ている人ならばわかるだろうが基本的にマルティネッリとサカにはダブルチェックが付く。アーセナルの武器である2人の突破力はSB1人で止められるものではなく、サイドに吸収されたSH/WG/CH/IH等がSBと挟み込むように封殺してくるのだが、今節のセビージャはそういった対策が甘くほとんどの局面でマルティネッリとサカが対面のSBに質的優位を確立出来ていた。マルティネッリは先ほど触れたように縦へ突き進んでのポケット侵入→折り返しで深い位置までコンスタントに攻め込み、サカは背負っての被ファールでFKを量産しては切り込んでのチャンス創出も担っていた。

 また後者との兼ね合いで言うと、右IHに入ったハヴァーツがサカと大外/ハーフレーンの棲み分けをあえて明確にせず頻繁に流れてサカを解放してあげていたのが前進に大きく貢献していたように思う。決定機をいくつも外したのには落胆したが、彼の認知能力というかサカやホワイトとの位置関係を察する能力は相変わらず高い。

 対して左サイドでは、ライスが冨安(後半からは左SBに入ったジンチェンコ)と主にビルドアップフェーズにおいてポジションチェンジを繰り返し守備基準のずらしからスペースと時間を得た状態でプレーが可能。サイドへ広がるライスと中央へ入ってくる冨安の流れはスムーズで、セビージャの対応は間に合っていなかった。

 国内リーグでも下位に沈み、CLグループステージでも奮わないセビージャは勇気をもってインテンシティの高い守備を繰り広げてきたものの、両翼の圧倒的な個とハーフスペースのポジショニングの妙によって容易く対処したアーセナルは彼らの何枚も上手であった。

左SBの人選で変わる押し込み方

 サカの獲得したFKを筆頭に、序盤はファールとCKで難を逃れたセビージャへセットプレーでチャンスを作り、試合が落ち着くと遅攻から崩していく姿勢を見せたアーセナル。調子良い時特有の列や人を飛ばしたパスも多くみられ、待望の先制点はそんなジョルジーニョのCB/SB間を抜ける見事なスルーパスに抜け出したサカがダイレクトで折り返しトロサールが合わせ獲得に成功する。GKのフィードからスクランブルで抜け出し生まれた前半唯一のセビージャのチャンスは並走するサリバの鋭いスライディングで防ぐなど、一方的な試合を展開した。

 ハーフタイムが明けて後半。試合内容の割に1点のみという状況を鑑みてか、はたまた冨安の負傷があったのか、アルテタはジンチェンコを投入する。この交代に伴って前半とはまた少し違った押し込み方を見せた。

 トランジションに活路を見出すしかないセビージャは引き続きハイインテンスなプレスを続けるが、中央でのポゼッションに定評のあるジンチェンコがライスやサリバ、降りてきてのキープが得意なトロサールらと共に様子を伺うようボールを回すのでむしろ前半より奪うのは難しくなっただろう。またアーセナル側の視点に立つと、マルティネッリのサポート色が濃い冨安とライスとビルドを分業する色の濃いジンチェンコとでは前後半で少し異なるポジショニングを取りつつも、共に高い位置で違いを生み出せることに変わりはなかった。

 スローインからマルティネッリ→サカとシンプルに決めきった追加点のシーンは、そんなビルドアップ隊を警戒した結果無意識にアーセナル陣内中央に人が寄っていた所から生まれたものだと考えることも出来るだろう。冨安の不在時でもまた違った角度から前半の優勢を保つことに成功。CLとは思えない程に盤石すぎる試合運びを行ったアーセナルの強かさを実感する一戦となった。


ゲーム総評

 70分頃から少々オープンな展開になり足を痛め途中でピッチを後にしたサカが心配ではあるが、グループステージ後半戦をホームでクリーンシート×複数得点で快勝スタートすることが出来た。ネルソン/ヴィエイラ/キヴィオル/エルネニーにも出場機会を与えられ、ひとまずは合格点ではなかろうか。

 次節はプレミアリーグで昇格組のバーンリー戦。直近で戦った昇格組のシェフィールドユナイテッドでは完勝を挙げることが出来たがはたしてどうなるか。ウーデゴールやCF2人、トーマスやティンバー長期離脱組とまだまだ野戦病院と化している中上手くターンオーバーを行って欲しい。

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