【アーセナル】EuropaLeague/4thleg/vsPSV Eindhoven(H)【ごとこの備忘録】
試合前展望
アウェイでのボデ/グリムト戦、リーズ戦とアーセナルにとってどちらも非常に厳しい試合となった直近二戦の試合。
そんなアーセナルがELGS4thlegにて初めて当たるのがPSV。多くのビッグクラブが注視するガクポを始め、シモンズやベニテス等曲者ぞろいのチームであり決して一筋縄ではいかないであろうことが予想される。
マルティネッリが前節リーズ戦で蹴られた影響で先発が怪しい状況ではあるが、ターンオーバー自体はネルソンが居るため可能な状況。ホームエミレーツにてGS一番の強者を叩いておきたいところ。
各選手の評価
GK マット・ターナー
PSV側がシュートまで中々持って行かないことで出番はぼぼない試合となった。それでも堅実に繋ぎ、落ち着いて時間稼ぎするなど安定のプレーを見せた。
LSB キーラン・ティアニー
冨安の左SB起用など、最近モチベーションの面で難しいティアニーがアーセナルでの公式戦100試合出場を今節で飾った。左IHの位置にいることは勿論、従来の強みを生かした幅を取る動きがいつもより多めであった。良いクロスを配給したりと全局面においてハイパフォーマンスを見せたのではないだろうか。
LCB ガブリエル・マガリャンイス
CKから惜しくも得点ならずというシーンがありつつ、特段改善点もない安定感あるプレーを90分通して見せた。
RCB ロブ・ホールディング
今節はガブリエルよりもこの男がかなり目立って良い活躍を見せた。降りて受けに行くCFにもしっかり付いていく対応を試合開始直後から見せ、楔も打てるし潰しも効くしで大車輪の働き。加えてエディへの神がかった対角フィードから決定機創出と常に存在感があった。1-0と堅実な勝利をおさめられたのはロブあっての事と、個人的MOTM。
RSB 冨安健洋
スルーパスに反応したガクポとのラン勝負に勝ったところから始まり、ロブとの連携も見せつつ完全に抑え込むことに成功した。かといって守備面だけの活躍ではなく積極的に大外でのパスコースとなり、後半ジャカへのアシストも記録。セレブレーション中のめちゃめちゃ嬉しそうな冨安の表情が印象的だった。
DMF サンビ・ロコンガ
最近代表監督への不満をメディアで漏らしたりとファンの親心を揺さぶってくるサンビだが、この試合ではまずまずの働きを見せた。少しミドルサードでのロストが多い印象だったがチームのアキレス腱となっているわけではなく試合に入り込めていた。
LIH グラニト・ジャカ
今季進化を見せているジャカだがこの試合でもファンを驚かせるファイナルサードでの貢献を行った。ライン間で受け手となったところから出し手への移行がかなりスムーズで、ボックス内でのオシャレなワンタッチパスからジェズスへのアシスト未遂など、心の余裕と高い技術が上手く共存していた。後半には叩きつける良いボレーから決勝点を記録。出場数も多く疲れていそうな中クオリティを落とさないその姿勢には感服である。公式MOTM。
RIH ファビオ・ヴィエイラ
貰いに降りる動きが多めの試合となったヴィエイラ。中盤と前線のつなぎ役に奔走していたこと、また直接FKからゴールマウスを狙うも惜しくもサイドネットのシーンなど得点を取れそうな気配も漂わせていた。
LWG エディ・エンケティア
ジェズスとの共存ということで左WG起用として先発を飾った。今日も通常運転のキレキレっぷりでゴールに迫るシーンもたくさんあった。ただいつもアジリティの高さを見せつけシュートまでこぎつけるのだが中々得点が生まれないのが少し懸念点。ELの舞台では得点量産体制に入ってもよいのではないだろうか。
RWG ブカヨ・サカ
リーグ戦に続き先発のサカ。カットインで二人置き去りにボックス内へ侵入していくシーンを筆頭にアーセナルの右サイドからの攻撃では単身決定機を作っていた。後半ふくらはぎを蹴られる場面があったものの直後に交代に伴って休息を取ることができ安心である。
CF ガブリエル・ジェズス
いつも以上にハイボールをピタッと収め続けるシーンにはアーセナル加入直後の衝撃を感じざるを得なかった今日のジェズス。ジャカの得点チャンスを試合頭から作り、その後もウーデゴール顔負けのエディへの完璧なラインブレイクパスでアシスト未遂と、パサーとしても存在感も放っていた。
試合展開
開始直後の攻防の構造が結果的に試合終了まで続く形となった今節。sofascoreのアタッキングモメンタムが表す通り、具体的にはアーセナルがボールを保持しPSVのブロックの穴を突こうとする流れである。
アーセナル側は2トップという形ではなく、いつものマルティネッリの位置にそのままエディが入る433の形。慣れない442にしないことで噛み合ってしまうPSVの守備も避けたのだ。
対してPSVは通常時4231から守備時442へと変化する形で、アウェイということもありそこまでプレッシャーをかけずにセンターサークル付近で適度にリトリートしつつ迎え撃つ格好。前節がハイプレス&マンマーク色の強いリーズとの一戦だったこともあり、アーセナル側はじっくり攻め手を考える時間を貰えていた。
このPSVの守備に対しアーセナルは冨安が3CB化&ジャカが左CHとなる325となり、相手の前線2枚に対して優位を取ることに。加えてリトリート気味のPSVは重心が上手くチーム全体で揃っていないのか、そこまでコンパクトな陣形を保っているわけではなくライン間にはパスを刺せる隙間があった。これらのことから最終ラインから中盤へのパスが容易になり、そこからエディやジェズスへ渡りライン間で前を向くことが出来ていた。
特に左サイドはジャカやティアニーが状況によって立ち位置を変える変数となっており、守備基準が整わないライン間を好きに使えていた印象。勿論右サイドも絶好調のサカとジェズスの連携+ヴィエイラの助力という形で前進できていた。
こういった背景によりアーセナルは攻撃を持続出来ていたのに対して、頻度こそ少なかったもののPSVの攻撃時もアーセナルと似たようなビルドアップとなっていた。左右こそ逆なものの、具体的には左CHのグティエレスが降りて最終ラインから配給することも多々あるアンカー気味となり、右CHのサンガレとトップ下のフェールマンがインテリオールっぽく振る舞う。この可変に加えてシンプルにガクポに当てる手法などを織り交ぜつつ前進を図っていた。
そんな両チームだったが共にシュート企図数も少ない若干しょっぱい前半に。特にボールを持てていたアーセナルはラストパスが合わないといった最後のクオリティ不足でゴールまであと一歩という状況が続いてしまった。
ハーフタイムを挟み迎えた後半。だが後半も前半とあまり変わらない立ち上がりとなり、前半守れていたアウェイチームがプレス強度を高めてワンチャンスを狙う、といったこともせず主にボールを持つこととなったアーセナル。
上手くインパクトの乗らないジェズスやかえってふかしてしまうエディのシュート等、依然ゴールを奪えない中アルテタはトーマス、ウーデゴールのの投入を66分に敢行、攻撃の活性化を図った。交代前まで決して悪かったわけではないが流石は主力組といった内容で、細かいパスで相手ボックス周辺で繋ぐ様は美しかった。
そうした中、波状攻撃にて出しどころがなくなったウーデゴールに対するヘルプとして駆け上がった冨安から、DF陣の目線を変えさせ脚を上手く止める折り返しがボックス内へ供給、合わせたジャカが逆足で見事なボレーを放ちやっと先制することに成功するアーセナル。
その後もホワイト、マルティネッリ、ネルソンの投入により強度を落とすことなく試合をコントロールし続けたアーセナル。ジャカの得点を守り切り難敵PSVに1-0勝利という結果となった。
全体の雑感
この試合に勝てば、EL決勝トーナメント進出&残り2試合(イージーなチューリッヒ戦含め)のうち勝ち点3ptでGS首位通過が決まる、という大事な局面において、多少の疲労蓄積+怪我のリスクと引き換えに大胆なターンオーバーを行わず臨んだアルテタ。結果怪我人0で勝利を収めることが出来、この方針は正しかったと言えるだろう
チャンスシーンの多さに対して1点しか取れなかったのは少々残念だが、逆に勝つことはもう当たり前であるという気持ちが自分の中にあることに驚いた試合後であった。3シーズン前くらいに感じていたポジティブ要素も少なく負け続けていた絶望感とは大違いである。
次戦に向けて
次は日本時間日曜日の夜に控えるセインツ戦である。依然過密日程が続き厳しそうな選手が何人もいるが、もう少しでジンチェンコが戻ってきたりするだろう。
近頃劣勢の状況が多かったり中々得点が決まらない試合が続き、とても快勝とは言えない勝利を収めているアーセナル。特に守備陣の疲労がたまる中、交代で休息を与えられたフレッシュな前線メンバーが大量得点で叩き潰す勝ち試合をそろそろ見たいのが1ファンとしての願いである。
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