【アーセナル】EuropaLeague/3rdleg/vsBodø/Glimt(A)【ごとこの備忘録】
試合前展望
リバプール相手に地力で打ち勝ち、エモーショナルな勝利を収めたプレミアリーグ前節。中3日でヨーロッパリーグへと再出向である。
ボデ/グリムトと早くも再戦を繰り広げる今節。ボデ/グリムトのホームはノルウェーの中でもかなり北に位置しておりイングランドよりも寒さが厳しそうなこと、またスタジアムが人工芝で形成されており、天然芝に慣れている選手たちが固い人工芝でのプレーで怪我のリスクも高いといった懸念点が挙げられる。
3日後にリーズ戦が控えている中、怪我人0で主力を温存し危なげなく勝ち点3ptを持ち帰りたいところ。EL次節のPSV戦でGS1位突破を確定させるためにも、ここでの勝利は必須である。
各選手の評価
GK マット・ターナー
一列目を飛び越してホワイトにロブパスを送るシーンがあったりとビルドアップ面では特に問題なくプレーしていた。また、裏抜けに対する飛び出しの判断が素晴らしく、相手のショートカウンターからいくつもシュートシーンを作られたがこれもすべてストップした。難しい試合となったがターナーに助けられCSを記録。個人的MOTM。
LSB キーラン・ティアニー
主に頭脳面での疲労からかパスずれが頻発し引っ掛けてしまう場面が何度があった。それでも偽SB色が強くなった今節はサンビと共に中央から打開、またネルソンへの配給を高い水準でこなしており、チャンスシーンでも最前線へ駆け上がる胆力を見せた。ジャカと共に今季さらなる進化を遂げている。
LCB ロブ・ホールディング
危なげないプレーに終始した。シュートブロックシーンもあり、ヘディングで跳ね返すさすがの安定感を見せた。ただ後半ボデ/グリムト側が攻勢をかけた状況では突破される場面も生まれてしまった。
RCB ウィリアム・サリバ
ボックス内での一踏ん張りの効いた対応が特に光っていた試合。かつバシバシ中盤にパスを刺せる落ち着きと技術の高さを見せつけた。慣れない芝であったが得意の脚力でよくアタッカー達に対応していたと思う。
RSB ベン・ホワイト
特に序盤サカのサポートで高い位置を取った時に背後を狙われがちであったが何とか対応できており高評価。攻撃時にも例に漏れず高水準のRSBロールでサカ、ウーデゴールとアーセナルのメイン前進サイドであるピッチ右側からボデ/グリムトを脅かしていた。
DMF サンビ・ロコンガ
時間帯によって評価が分かれる試合となった。トーマスのような落ち着きあるいなし、反転からボール前進を何度も行っており、また高い位置でも顔を出しては直接ゴールを脅かすコンビネーションを前線と見せていた。その繰り返しからサカのテンポを落とさない絶妙なワンツーでのアシストを記録。ただ、前を向けるシーンでも安易なバックパスをしてしまったり、簡単に入れ替わられるシーンがあったりと、やはりサンビのアンカー起用はまだまだ改善の余地がありそうである。
RIH マーティン・ウーデゴール
相手ボックス付近で存在感を発揮、いつも通り献身的にプレスに走り回っていた。ノルウェー凱旋ということで厚い歓迎を受けるかと思いきや、削られ倒れたシーンでは他の選手と同様に激しいブーイングを受けていた場面は少しびっくりした。
LIH ファビオ・ヴィエイラ
ウーデゴールが出し手としてのタスクが多かったのに対してヴィエイラは楔の受け手として活躍していた。ボールを受け上手く隠し失わないようなドリブルが光っていた。ただネルソンとの慣れない連携には少し苦労していた印象。
LWG リース・ネルソン
近年アーセナルで燻っていたネルソンが待望のスタメン出場となった。縦突破のシーンがあったりと悪くない活躍で、正対したところから抜くのが上手く何とかブロックをこじあけようと奮闘していた。ただ今節はいつも左サイドでサポートに回るジャカがいなかったり、ティアニーがいつもより偽SBとして中盤に組み込まれることが多かった為、右サイドに比べ単独で勝負を仕掛けなければいけない場面が多く難しい試合となってしまった。
RWG ブカヨ・サカ
アーセナル側があまりチャンスを作れない中、相手ブロック外側にてボールを受けたところから切り込みサンビとのワンツーを経て貴重な先制点、結果として決勝点を記録した。何もないところからでもゴールを生み出せる流石のクオリティを見せた。その後も孤立気味だった左のネルソンに比べホワイト、ウーデゴールの手厚い助けもありゴールに迫るシーンをたくさん作れていた。
CF エディ・エンケティア
シュートが空回りするシーンがあったりと中々ゴールを奪えず苦戦した試合であったものの、やはりカウンター時には力強いキープと持ち上がりを見せた。もう少しネルソンとのポジションチェンジを行うことが出来れば二人とも得点に絡むチャンスが作れたように思う。
全体の雑感
まずは人選。今節は、カップ戦でもずっと出ずっぱりであったジャカマルティネッリガブリエルらスタメン組を上手いことターンオーバー出来るようにやりくりしたスターティングであり、ここはアルテタを褒めたい部分。
会場は前評判通りホームの雰囲気一色といった様子で、ホームにおける欧州コンペティション14連勝は伊達ではないといったボデ/グリムトであった。塩試合と言われても仕方ない内容で、かなりボデ/グリムト側にしてやられるシーンも作ってしまったが、結局カップ戦は結果重視。特段不調と言える選手もおらず、アウェイでCS、怪我人ゼロと合格点の試合ではなかっただろうか。
試合展開
アウェイとはいえ格下相手に盤石の試合運びをしたいアーセナルであったが、アーセナルとボデ/グリムト側共にチャンスシーンをいくつも作る真っ向勝負の様相を呈していた。
ボデ/グリムト側は守備時も433そのままの形を保ってプレスをかけ、ホームの声援も後押しとなりCB二人までプレッシャーをかけにきていた。また一列目を突破されアーセナルの大外レーン担当者にボールが届けられた後も同サイド圧縮気味の守備となり、WGがさぼらずプレスバックしてくることで味方SBと挟み込む形。これによりネルソン、サカらがあまり時間を与えられず後ろ向きで受けることが多くなってしまった。
攻撃面では、同じくCBまでプレッシャーに来るアーセナルに対し、後ろから繋ぐことを厭わない強気な姿勢を見せた。雑なロングボールを蹴ることも多々あったが、アーセナル側が跳ね返した先にきちんとセカンド回収者が待ち構える準備を見せていた。
またプレスで外に追いやられてもアーセナル中盤の前進守備が間に合わなかったりIHのランニングでスペースを開けたりなどしてアンカーがボールを受ける形を作り、そこからWGの裏抜け等でアーセナルのハイラインの背後を使おうとする意志が見えた。特に後半はロングボールから速攻を決められるシーンも合わせて見られた。
アーセナル側としては、サカホワイト中心のシンプルな大外ランによりチャンスを作り出す序盤に始まり、サンビと、かなり中央に位置するティアニーによる325の形でボールの前進を図っていた。そこから、ボデ/グリムト側の守備が落ち着いた後は特にゴールに迫るシーンを多く作れていた。ただ、前線みんなにバランスよくシュートチャンスが訪れていたものの中々決めきれず、さっさと点差を引き離したい思いとは裏腹にじっと時間は過ぎていった。
前進方法に関係するところで言うと、交代に伴ってヴィエイラがRWG、ウーデゴールが真ん中に入ることで、トップ下タイプの二人だとどこまでのエリアをどちらが使うか曖昧だったそれまでの時間に比べて、使い分けが明確になり役割がはっきりしたように思う。
そういった背景がありつつも、試合展開の冒頭で触れたように共にゴールに迫るシーンを作り出しており両キーパーの出番が多い試合運びとなったが、ここでターナーが2ndGKとして満点に近いシュートストップ等の活躍を見せてくれたことが勝敗を分ける決定打になったように思う。
次戦に向けて
この試合を良く捉えれば難しい試合条件(寒さ、人工芝)において勝利を持って帰ることが出来た、悪く捉えればあまり見せ場を作ることが出来ず少々寂しい試合となってしまったというのが正直なところだろう。
だが勝利は勝利である。これでvsPSV戦2試合を含め残った試合においてGS1位突破の可能性がかなり高まり、決勝トーナメントに進む為のプレーオフという余分な試合数をかさむことなく過密日程を乗り切れそうである。
温存に成功した主力組をもって、公式戦12戦11勝というここまでのポジティブな結果を糧に次節リーズ戦では打って変わって快勝を期待したい。
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