【掌編】『ある日の神保町で』 “改訂版”
始まりは大学二年の春だった。講義の合間にホールで悪友に捕まったのがきっかけだ。
「美佐子の相手しててくれないか
これから授業があるの忘れてた
頼むよ」
シスコンの清原から彼の妹の”接待”を頼まれたのだった。
美佐ちゃんは、大学同期の清原の妹で春から都内の短大に通っている。
何度か会ったことがあった。ちょっと生意気で苦手かもと思っていた。
まあ、この際しょうがない。
神保町の駅で美佐ちゃんと落ち合い、裏通りの喫茶店に行く。
この辺は、街の裏手にあって後楽園遊園地や野