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Nikon Z8 FW2.0アップデート情報(鳥認識とピクセルシフト対応など)

NikonがハイエンドミラーレスカメラZ8のファームウェアバージョン2.0を2024年2月7日リリースしたことにより、静止画およびビデオ撮影機能が強化されました。

公式のホームページでは簡潔な説明にとどまっているため、下記により詳細な概要を提供しています。

ダウンロードはこちらの公式HPから行えます。

アップデートの概要

特に、鳥類撮影の愛好家にとって注目すべきは、新たに追加された専用の鳥検出モードです。このモードは、ニコンのZ9と同様、さまざまな状況下での鳥類の認識、追跡、そしてオートフォーカス(AF)性能の向上を目的としています。動物検出モードの一部ではありますが、これは特に複雑な背景の中でも、より多様な鳥種やポーズを識別できるよう設計されています。

また、新しい自動キャプチャ機能により、特定の条件が満たされたときに自動で写真やビデオを撮影することが可能になりました。この機能は距離、動き、被写体検出を基準としており、例えば動物が画面内を横切るような瞬間に自動的に撮影を開始することができます。

Nikon Z8

ニコンのZ8ファームウェアバージョン2.0は、ピクセルシフト機能の導入を含む多数の新機能と改善点を特徴としています。これは、特に高解像度の画像が必要な撮影シーンで非常に有用です。カメラはセンサーを微細に移動させることで、4、8、16、または32枚の写真を撮影し、それらを個別のNEFファイルとして保存することができます。この機能により、色解像度が向上し、ノイズが減少するだけでなく、16ショットモードと32ショットモードでは、約1億8000万画素の高解像度画像を生成することが可能になります。

ピクセルシフト機能の使用には、NX Studioでの写真のマージが必要ですが、これにより、特に風景やアートワークの撮影において、前例のないレベルの詳細と画質を実現できます。

ポートレート写真家には、「リッチトーンポートレート」モードの追加も大きな利点です。これは、ポートレート写真家にとって大きな利点をもたらします。リッチトーンポートレートモードは、肌のディテールを維持しつつ、ハイライトが飛ぶのを防ぐことに特化しています。これにより、自然な肌の質感や陰影を失うことなく、被写体の美しさを際立たせることが可能になります。

個人的に一番の変更点はマニュアルフォーカス撮影時のフォーカス距離指標に距離表示機能の追加されたことです。過焦点距離を用いてパンフォーカス(全域に渡って被写体をピント合わせる技術)を実現しようとする際に、フォーカス距離を正確に知ることは非常に重要です。以前はこの距離を推測するしかなく、特に微妙な調整が求められる風景撮影やアーキテクチャー撮影などで苦労していました。

SONY αシリーズなど、他のカメラブランドでは既にこの機能を提供しており、その便利さを知っているユーザーからすると、待望の機能追加と言えます。距離表示があることで、撮影者はより正確なフォーカス設定を迅速に行うことができ、結果として撮影の効率性が大きく向上します。

注目アップデート内容まとめ

このカメラのファームウェアアップデートには、撮影機能の強化、操作性の向上、新機能の追加など、多岐にわたる注目すべき変更点が含まれています。ピックアップして注目すべき点は以下の通りです。

新規機能はデフォルトで「オフ」になっているため、設定メニューから「オン」に切り替える必要があります。

静止画撮影関連の変更点

  1. ピクセルシフト撮影の追加: 静止画撮影メニューに新たにピクセルシフト撮影が追加され、より高解像度の画像撮影が可能になりました。
    ピクセルシフト撮影は、建築物や芸術作品のような複雑な模様を持つ被写体の細かなディテールを捉えるのに最適であり、被写体の色彩、質感、細部の構造を精密に表現します。しかし、風景写真においては、葉っぱなどが風で動くことによる被写体ブレへの対応については、その効果の程度を確かめるために検証が必要です。

  2. ピクチャーコントロール「リッチトーンポートレート」モードの新項目追加: この機能は、肌の細かなディテールを保持しながらも、ハイライト部分の飛びを抑制することに焦点を当てています。その結果、肌の自然な質感や影のニュアンスを損なうことなく、被写体の魅力をより引き立てることができます。

  3. 被写体検出設定に「鳥」の追加: AF時の被写体検出設定に「鳥」が追加され、野鳥撮影などがより容易になりました。

  4. 拡大表示の倍率強化: 最大400%までの拡大表示が可能になり、細部のチェックがより詳細に行えるようになりました。

  5. オートキャプチャー機能の追加: 条件に応じて自動で連続撮影を行うオートキャプチャーが追加されました。利用可能な条件には、「動き」(指定した方向に移動する被写体を認識すること)、一定範囲内の「距離」にいる被写体に反応して撮影を行う設定、そして「被写体検出」が含まれます。これらの条件を用いて、フレーム内で人、動物、車、飛行機などの被写体を識別します。

動画撮影関連の変更点

  1. 動画撮影におけるピクチャーコントロールの新項目追加とAF設定の強化: 動画撮影も静止画と同様にピクチャーコントロールの新項目が追加され、AF時の被写体検出設定に「鳥」が追加されました。

  2. N-Log動画撮影時のISO感度設定に低感度追加: N-Logでの動画撮影時に、マニュアルモードでのISO感度設定に低感度オプションが追加されました。これにより、より幅広い撮影条件下での撮影が可能になり、特に低照度環境でのノイズを抑えた撮影が期待できます。

    海外でのレビューによると低いISO値を選択すると、シャドー側により多くの階調をシフトさせ、より多くのシャドーディテールを保存するため、シャドーノイズが少なくなるが、その代償としてハイライトディテールが少なくなる。より高いISO値を選択すると、より多くのストップ数がハイライト側にシフトし、ハイライトのディテールがより多く保存されるが、シャドウノイズがより多くなるとする分析がありました。

    シャドーノイズは編集時に調整できますが、ハイライトディテールは取り戻すことができないため、ハイライトを重視しつつ、余裕があれば低ISOを選択する運用となるでしょう。

  3. ハイレゾズーム速度の設定内容変更: 動画撮影時のハイレゾズーム速度の設定内容が変更されました。これにより、ズーム時の映像の質感や速度の調整がより細かく、用途に合わせて最適化されることが期待できます。

  4. スローモーション動画機能の追加: 動画撮影機能にスローモーション撮影オプションが追加されました。これにより、動きの速いシーンを高速で撮影し、再生時にスローモーションで表現することが可能になります。クリエイティブな表現や、細かい動きの解析など、幅広い用途での活用が期待されます。

操作関連の変更点

  1. カスタムコントロールに割り当てられる機能や操作の増加: カスタムコントロールの選択肢が拡大され、撮影者がカメラの操作性を自分の撮影スタイルに合わせてさらに細かく調整できるようになりました。
    - f2[カスタムボタンの機能(撮影)]
    - f3[カスタムボタンの機能(再生)]
    - g2[カスタムボタンの機能]

  2. マニュアルフォーカス時のシャッターボタン半押しズーム終了機能の追加: マニュアルフォーカス使用時にシャッターボタンを半押しすることでズーム表示を終了できる機能が追加され、フォーカスの微調整後に素早く通常の撮影画面に戻れるようになりました。
    [カスタムメニュー]の d18 と g17 に[半押し拡大解除(MF)]を追加

  3. フォーカスポイントの枠線幅選択オプションの追加: フォーカスポイントの枠線の幅をユーザーが選択できるようになりました。
    [カスタムメニュー]> a11[フォーカスポイント表示]に[フォーカスポイントの太さ]を追加

  4. 再生ズーム時に顔を検出した場合の中心表示機能「フォーカスポイントを優先(顔優先)」の追加: 再生時にズームを行った際に、画像内で顔が検出されると自動的にその顔を中心に表示する機能が追加されました。これにより、ポートレート撮影などで重要な顔の部分をすぐに確認できます。

  5. 「露出ディレーモード」を新たに追加:夜景撮影時などカメラブレを最小限に抑えたい場合に、シャッターボタンを押してから約0.2~3秒後にシャッターがきれるように変更できます。
    [カスタムメニュー]に d5[露出ディレーモード]を追加

表示関連の変更点

  1. マニュアルフォーカス撮影時のフォーカス距離指標に距離表示機能の追加: マニュアルフォーカスでの撮影時に、フォーカス距離指標に具体的な距離表示が追加されました。(過焦点距離を用いたパンフォーカスがしやすくなります


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