【開催報告】「あなたはどうする?友達がハラスメントにあいました」(2023/10/26)

2023年10月16日(月)19:00-20:00に開催されたイベント「あなたはどうする?友達がハラスメントにあいました」開催報告をお届けいたします。

ハラスメントに対し沈黙したくない、二次加害を行ったり加担したくない。そのための基礎的な知識を得るために、ゲスト講師をお呼びし、特にセクシュアルハラスメントと二次加害に重点を置きミニ講義と質疑応答を行っていただきました。ZOOMウェビナーで開催し、参加者は55名でした。



ゲストプロフィール

北仲千里 (きたなか・ちさと)さん
広島大学ハラスメント相談室 准教授(ハラスメント相談室の専任教員)。専門は社会学(特にジェンダー、Gender-based Violence、研究組織とアカデミック・ハラスメントなど)。90年代にキャンパス・セクシュアル・ハラスメント全国ネットワーク設立にかかわる。現在、NPO法人性暴力被害者サポートひろしま代表理事、NPO法人全国女性シェルターネット共同代表

以下、ミニ講義の概要をご紹介します。

ミニ講義

そもそも「ハラスメントとは何か?」という簡単な説明をしてもらった後に、セクシュアルハラスメントの分類、二次加害について、そして友達がハラスメント被害を受けたときにできることを解説していただきました。

・ハラスメントとは何か
・セクシュアルハラスメントの分類
        対価型ハラスメント
        環境型ハラスメント
        エントラップメント型ハラスメント
・「セクハラ」という概念
・二次加害について
・友達がハラスメント被害を受けたときにできること

【セクシュアルハラスメントの分類】

対価型…性的な言動と仕事上の利益を組み合わせて提示すること
環境型…セクシュアルハラスメントによって良好な職場関係ではなくなっていること
エントラップメント型…長期間にわたり、徐々に逃げ道がなくなっていき被害を受ける。加害者は被害者と比べ権力があり周囲からの評価が高く、信頼や尊敬を利用し性暴力におよぶ。対価型、環境型により後にできた概念。


【友達がハラスメント被害を受けたときにできること】

まずは話を聞くこと。そして被害者非難をしない、聞いたことを口外したりうわさを流したりしないこと。専門の相談窓口や警察、病院に行くことを一緒に考えたり、場合によっては同行したりする。特に加害者のことを「私」が尊敬していたり、好印象を持っていた時はより「(加害者は) そんなことをする人じゃない」「気のせいじゃない?」「(あなたに) 隙があったのでは?」などと二次加害を行ってしまう可能性が高いと思います。被害を受けたと打ち明けられた時は、そういった被害者非難が浮かんでしまったとしても自分の内に留め、口にしないよう気を付けること。


【もし被害にあってしまったとき】

①生活や単位、成績などがかかっていて、気軽にできることではないかもしれないが「怖い」「気持ち悪い」と感じた時に逃げることは自分を守る重要な手段である
②被害にあってしまったとき、記録を残すことが重要。メッセージをスクショする、日記に書く、録音・録画する、友達にメールやラインする、など
③誰かと話す。他人の目から見て「それっておかしいくない?」「ひどすぎるよね」など認識できるきっかけになったり、一緒に考えてくれることが力になる


【ハラスメントを目撃したとき】

加害者と同じ、ないしより上の地位がある場合、「笑えない」「それはやめたほうがいい」など意見し止める。加害者の「冗談 (失礼な発言)」に対し笑わない。被害者に声をかけずに通告しても進まないし、本人の意思を尊重できていないため基本的に避けるべき。しかし、授業内で先生が問題発言をした際、参加していた学生たちが「これは不適切だ」と声を上げることは「本人の感じ方のせい」に矮小化されない場合もある。


個人間のDV(ドメスティック・バイオレンスや、デーティング・バイオレンス)と比べれば、ハラスメントは組織(や管理職)がきちんと対応すれば、被害者を守ることも、問題を解決しようと動くことも、加害者にアプローチすることもできる。