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パワハラに悩む人との面談をする時に気をつけること

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今日は「パワハラを受けている」と悩む人との産業医面談がありました。

たまにこのような相談を受けることがありますが、僕は産業医として「面談では共感はしつつ、事実確認をどうやって行っていくか」という点を意識しています。もう少し細かく言うとこれらを確認します。

 疾病性として:体調不良はあるか 
 事例性として:パワハラと認められる事実はあるか

パワーハラスメント(パワハラ)の定義

パワハラとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすものと定義されています。

更に代表的な6類型というものも示されています。

身体的侵害/精神的侵害/人間関係からの切り離し/過大な要求/
過小な要求/個の侵害
(以下もご参照ください)

産業医がチェックするのはまず体調面

パワハラは片方の言い分だけで決定することは難しいです。ただ、相談してくれた社員さんが辛いのは確かなので、睡眠障害や抑うつ感などの症状があれば病院受診を勧めますし、具体的な職場での困り事を確認して、主にメンタルヘルス面でアドバイスするなどといったケアをまず行います。

パワハラが本当にあったのかを確認する

法律が改正され、職場におけるパワーハラスメント対策が事業主(会社)の義務となったので、本当にパワハラと認められるような状況があれば、会社側が対応しなければなりません。

産業医は会社全体の健康管理も担っているため、本人の訴えからパワハラの可能性がある場合は会社側に事実確認と必要な対応をお願いすることになります。

対応の進め方

まず、相談してきた社員さんに「会社側に状況を伝えてもよいか」という点について同意を取るところから始まります。同意が取れないと会社側と十分な連携が取れないのでその人の苦しみは解決には向かいません。

しかし、産業医と社員さんの関係性ができていないと警戒されてしまい「会社には言わないでくれ」と言われること可能性もあるので、信頼関係を築くためにも、産業医はまず本人の言葉に耳を傾け共感し、必要なアドバイスを行うべきだと僕は考えます。

同意が取れれば、人事部門・職場上司などと連携してパワハラと考えられる状況が実際にあったのかどうか確認してもらいます。

実は、ここもうまくやらないと人事や上司が変なアプローチをしてしまい、問題がよりこじれる可能性もあります。
例えば、パワハラをしているかもしれない人に事情聴取のような形で話を聞きに行ってしまうと、その人が「誰かに告げ口された!」と感じ、周囲により強く当たるようなる。なんてことにもなりかねません。

更には、相談してきた社員さんも「産業医に相談したせいでこんなことになってしまった!」と感じ、体調面のアドバイスなども聞いてもらえなくなることさえあります。なので人事や職場の、誰に・どのように話を伝えていくかは慎重に考えます。

今回の事例では

今回の社員さんは面談が終了し、僕が帰ろうとした時にも話をしてくれたので、ある程度の信頼関係はあるかなというところです。同時に本当に辛いということも分かったので会社側へのアプローチも早めに行っていこうと考えています。

すぐに解決する問題ではないと思いますが、うまく解決するように祈りつつ産業医としてできることをしていきます。

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