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普通でいい。普通に話しかけてほしい! ~3歳で経験した小児がん~

現在小学5年生。3歳の時に、神経芽腫※1を発症。7歳8歳と2度の再発を経て、今は月1回の抗がん剤治療と輸血による維持療法を行っている。今回、お母さんと2歳上のお姉さんと一緒に経験を話してくれました。

※1 神経芽腫は、体幹(手足を除いた体の軸となる部分)の交感神経節や副腎髄質ふくじんずいしつなどから発生する小児がんの1つ

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小児がんと分かるまでに半年もかかってしまった

―病気が分かった時のことを教えてください。

お母さん:病名が分かるまで、時間はかかりましたね。最初に入院した病院では“硬膜外血腫”って言われたけど、私はちょっと信じられなくて「セカンドオピニオンに行かせてください」って言って。そこから診断名がつくまでに、半年ぐらいかかりました。がんと告げられたときは…ショックでしたね。
 
本人:最初に病気が分かった時は3歳だから覚えてない。7歳で再発した時のことは、ちょっとだけ。小学2年生の時、病院に行ったことだけ覚えてるかな。
 
―どんな治療をしましたか?
お母さん:抗がん剤・放射線・移植・陽子線と辛い治療を頑張りました。
本人:お薬は今も朝、月火水が3つで、夜が4つ飲んでる。
 
―治療で特に大変だったことはどんなことですか?
本人:あるけど…あれなんて言うの?

お母さん:「抗GD2抗体(免疫療法)※2」じゃない?最近承認された薬なんですけど、本人が辛くて途中でやめたんです。

本人:そう、あれが1番嫌だった。痛くて。
 
お母さん:普通の抗がん剤は、痛みはそんなに出ないけど、「抗GD2抗体」は入れた時の痛みがすごくて。麻薬系の鎮痛薬を使っても、痛みが強かったんです。痛み止めを入れすぎると意識が遠のいちゃって。
 
本人:1回意識が無くなった。4日ぐらい意識がなかったみたい。そのことは、覚えてないから知らなくて、この間、初めて聞いたの。
 
お母さん:意識が無い時に、娘が好きな「なにわ男子のライブに行くんでしょ!」って言ってみたんです。そうしたら起きたんです。それだけは無意識の中で「なになに?」って聞いてたのかも(笑)

※2 免疫療法は、免疫の力を利用してがんを攻撃する治療法

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治療中の写真

再発は自分で気が付いた

お母さん:再発した時は、自分で「先生のとこに行こうかな」って言ったんです。検査の後だったから、もう大丈夫って思ってた時なのに、自分で「今日は先生のところに行こうかな」って。そこで再発がわかりました。
 
本人:具合が悪い日は、何かいつもと違う感じがするの。朝起きた時とか。そういう時はお母さんに言うようにしてる。
 
お母さん:同じ熱でも、先生のところ行く熱と行かない熱。あとは、今日はダメっていうのも自分の感覚でやってて、その日の感覚があって。なんか感じてるんだろうなって思っています。

鼻血が止まらなくて血液が足りなくなる

本人:週2回ぐらい病院に行って、抗がん剤と輸血をしてる。(ルートを入れた状態で)病院で友達と遊んでたら終わるけど、輸血は病気になってからずっとやってる。病院からお家は、高速に乗って30分ぐらい。いつもお母さんと行ってる。1回いくと5~6時間。2回やるともっと長くなる。
 
お母さん:鼻血が出ると止まらなくて血が足りなくなるので、輸血をやっています。1回出たら、1時間ぐらい。止まらない時はもっと続くときも。
 
本人:止まらない時は、病院行くか、自力で止める。止めるしかないもん。学校にいる時も1回出たことがあって、その時は保健室に行って家に帰った。

いま、わたしの髪の毛がなくても普通なこと

―お友達には小児がんということを伝えていますか?

お母さん:うちの学校はもうみんな理解しているけど、新入生が入ってくるとまた言われちゃうんだよね。だから、一緒に小学校に行ってるお姉ちゃんも苦しんできてて。嫌なことを言ってくるのは(小児がん自体が)知られてないからだよね。
 
お姉さん:一緒に帰ったりしてる時、指をさされたり、めっちゃ大声で”髪の毛がない”って言われたり、辛い思いをしてきました。でも私は(病院の付き添いで)家にお母さんがいないことも、妹に髪の毛がないことも、特に何か感じたことはないです。だって、小っちゃい頃からそうだったもん。
 
本人:わたしは学校着いたら帽子取ってそのまま。隠さない。3年生ぐらいから、もう被るのが面倒くさくなったから取った。(髪の毛のことを)気にしてない。友達になら、別にいいかと思って。

優しく見守るお母さんとお姉さん

お母さん:結局、この子たちの友達や、分かってる子たちが助けてくれて、多分、その子たちが普通に接してくれるから、周りも普通なんだなって思ってくれて、それが広がっていったんだと思います。娘の学年は、もうみんな理解してくれてて、治療の影響で髪の毛がないことも、(色々な場面で)手助けが必要だよねって、もう言わなくても分かってくれてるので、行きやすいんだよね。
 
本人:(自分と接する時も)別に普通でいい。普通に話しかけてほしい。
 お姉さん:私も別に普通にしてくれればいいと思う。病気だから気遣わなきゃとかじゃなくて、普通に話して、普通に遊んでくれればいいと思う。

将来は服を作る人になって、おしゃれの選択肢を増やしたい

―どんな将来を描いていますか?

本人:(治療の影響で)体が小さいから、自分のサイズだと大人っぽい服がないの。点滴の時はこれが(点滴用の医療器具を常に装着している)ここに出てくるから、それが邪魔にならない服がいい。そんな洋服を作ってみたい。
 
お母さん:前に行った、補正屋さんにも憧れてて。「ああやって補正してくれたら、私もおっきいやつ着れる」と言ってました。
 
本人:お店に糸が並んでるのが好き。いっぱいの糸が、いろんな種類が並んでるのを見るの楽しい。いまはGUとかで、頑張って可愛い服を選んでる。
 
お母さん:ただ、ないんだよね、大人っぽい服が。あとは、かわいいのがあってもサイズがなかったら、ちょっとでっかいの買って着るかですね。4~5歳のサイズだと、ここ(お腹の真ん中)にキャラクターついてるもんね。
あと本人が言うのは、補正屋さんだったら、体力なくても座って仕事できたりとか。前に同じくらい小っちゃい人が補正やってるのを見て、「あ、できるんだ」って。イスの高さを合わせてくれればね、できるんだよねって。
 
本人:入院中も、おしゃれが気になることあるけど、パパが選んだ服は嫌だ(苦笑)
お母さん:ダサいの着せるから(笑)キャラ付き着せられちゃうもんね(笑)
 
本人:自分で自分のサイズに合わせた理想の服を作りたい。ギャルみたいな服も着てみたい!

カメラマンのリクエストにギャルピースで応じてくれた

~ゴールドリボンウオーキングは2007年東京からスタートした小児がんの子どもたちとそのご家族を応援するチャリティイベントです~


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