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映画館へ行こう!キャンペーンをバックフローシンキングする

映画館へ行こう!

映連とメジャーシネコンさんが立ち上げた「映画館に行こう!」キャンペーン、役所広司さんがアンバサダーとしで、メディアに取り上げられてますね!


このキャンペーンですが、映画館に行ったことがない人は対象にしていないにしても、毎月行くコアファン向けなのか、年に数回行く人にも呼びかけているの、広く一般向けの公共広告的な位置付けなのか、どういう背景でこのキャンペーンを立ち上げたのか、「バックフローシンキング」を使って、勝手に分析してみようと思います。

バックフローシンキングについては、小川さんのnoteが詳しくまとめてますので、是非、読んでください。先日、小川さんのストアカにも参加して、私はローソンのPBについて分析するチームで参加しました!

バックフローシンキングとは

主にブランド広告やマスキャンペーンなどを、実際に世の中にある事例を元に、プランした人がどのような視点、思考プロセスでキャンペーンを設計したのか想像してみるエクササイズです、はい!

小川さんの記事とストアカコースから私なりに、それぞれの要素を咀嚼(少し拡大解釈)してみました。

ブランドを取り巻く環境:その名の通り、外部環境。現在、ブランドあるいはキャンペーン対象がどのような課題に直面していて、何を解決したいかまで、考察すると良いと思います。
施策の目的:後述の態度変容と合わせて、何故、そのメッセージを伝えるキャンペーンを実施するのか、提供したい価値、解決したい課題など
コミュターゲット:誰に向けたメッセージなのか、50代以上の男性など
クリエイティブターゲット:コミュターゲットのイメージの解像度を上げ、より具体化したペルソナ、小学生のころ観たETをきっかけに青春時代のほぼ全ての時間を映画に注いだ40代以上の会社員、会社役員など
現状(どう思われているか):そのブランドやサービスがどのようにターゲットに捉えられているか
求める態度変容:キャンペーンに接触したターゲットに期待する行動
インサイト:個人的には「アハ!」モーメントに近いと思います。腹落ち感
プロポジション:メインメッセージ
RTB(Reason to Believe):メッセージが成り立ち、インサイトなどが信じられる理由、背景
トーン:その名の通り、トンマナ

「映画館へ行こう」キャンペーンをバックフローする

さて、この「映画館に行こう」キャンペーンはブランドキャンペーンではないので、本来は題材として最適ではないかもしれませんが、やってみましょう!

環境

緊急事態宣言期間中に映画館は閉鎖され、予定されていた大型作品は相次ぎ、公開延期。まだまだ、感染が続く中、映画館は3密で危険なのではないか。旧作を上映しつつ、映画館を再開したものの、まだ、観客の足取りは重い。

施策の目的

これは、間違いなく、各社しっかり感染予防対策を抜かりなくやっているので、みなさん、映画館へまた来てくださいということですね。

コミュターゲット

映画館に来てくれていた人であることは間違いなく、新規の映画ファンを開拓しようという意識は一切ないはずです。役所さんが日本映画って言い切ってますので、年間に邦画を観る(関ヶ原とかね!)映画コアあるいはコアとライトの中間の観客。年齢は40代以上の男性。

クリエイティブターゲットまたはペルソナ

週末や仕事帰り含め、月に2回は映画館へ足を運ぶ会社員。基本、シネコンでゆったり鑑賞するのが好きだが、興味のある作品の為にミニシアターも時々行く男性、40代から50代

現状

映画館って密じゃない?感染、怖い・・・

態度変容

新作はまだまだ公開しないけど、懐かしい作品もやっている。今週末は久々にシネコンへ行こう!

インサイト

役所さんも応援している、各社しっかり対策やっている。家で観る映画もいいけど、映画は映画館から家に帰るまでの全てが映画体験(役所さんのラーメンとか)。テレビや配信でない魅力満載。

プロポジション

映画館へ行こう!映画館は特別な場所。

RTB

これは弱いのですが、あの役所さんが言うなら。実際、空間としても感染リスクは特別高い場所ではないので、映画館へ戻って来てください。

トンマナ

ノスタルジック。子供の頃の思い出訴求

いかがでしたでしょうか

目的が明確で、態度変容もこれしかないので、分析、分解は簡単でした!あれ、そうかな・・・確かに映画館へまた来てねなのですが、、、、どうでしょう、役所さんの映画の思い出、ほっこりしますが、決して、アハモーメントではないのではないでしょうか。。。

日本映画において、役所広司は最上級の俳優さんで貢献者ではありますが、うーん、安全性の訴求になってますか?まあ、これは各シネコンのサイトに掲載されているのでそれを読んでねということで、ここではあくまでも役所さんという映画における偉大な存在が映画に関する思い出や映画関係者を労うメッセージを伝えることで、共感を呼ぶことで、ああ、映画っていいですねってことが伝わればいいのだろうけど・・・

これはこれで良いのだけど、これまで、海外の劇場が再開に向け、徹底的に安全対策の動画を作ったり、インフォグラフィックにしたり、それをプロモートしたり、どうやって、観客に寄り添うべきか、これはやはり作品訴求なのではないか、いっそ、配信を先にすべきか否かという議論が熱く展開され、そのウェビナーを観まくって来たので、なんか拍子抜けでした。

まあ、これはある種公共広告なので、議論の場ではないし、映画は特別な体験、みんなで映画を守ろうという大義名分の表現方法のひとつなので、正解ではありますが。。。

強烈な共感は生まれていないのではないでしょうか。

そして、ターゲットとしても、コアファン向けなのでしょうけど、コアファンは訴求しなくても来ますよ

ドラえもん映画を楽しみにしている家族、映画に行こうかカラオケ行こうか迷う世代(カラオケかどうかはわからん)は完全に取り残されている感じがしますが、エンタメのあり方、家族のあり方、仕事の仕方、時間の使い方に大小様々な変化が起きている(起きてしまった)現在において、もう少しターゲット選定を深く考えて、アンバサダー選定、メッセージを起こしてもいいのになあと思いました。もっと広げてもいいしね、、、、役所さん日本映画って言い切ってしまってるし。。。まあ、邦画の売り上げのが大きい日本ですが、、、スターウォーズみるでしょう、アベンジャーズコスプレするでしょう、ジョーカー劇場で3回観るでしょう。。。とか・・・

予算があるキャンペーンじゃないので、難しいのは重々承知ですが、役所さんがSNSでもって呼びかけても???ですし・・・

ものすごく、シンプルで古典的な故に、完全に消化不良なのでした。。。

まあ、これはこれですけどね。

配信、劇場公開に限らず、映画を効果的に宣伝することに興味があれば、是非、お声がけください。