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【基礎から学ぶ人事制度│等級制度編④】昇格制度の設計とポイント

このコラムは、グローセンパートナーの人気セミナー「動画で学ぶ人事制度」の内容をまとめたものです。人事制度から人材育成・教育に関する全体像を理解し、人事制度設計で押さえるべきポイントを説明します。

動画で学ぶ人事制度とは
動画とテキストに沿って演習や事後課題を進めることで、人事ポリシーの設計、等級・評価・報酬制度の概要設計、教育体系などの概要設計ができるようになっています。より詳しく学びたい方は、ぜひテキストをダウンロードして動画をご覧ください。

今回は、昇格制度の設計とポイントについて解説します。


昇格制度設計にあたり

人事制度運用の肝となるのが昇格制度です。部門長の推薦を人事部門・役員で承認するという形で運用していくと、管理職が増え過ぎたり、管理職に不適格な人が登用されたりと、後で問題が発生しますので、昇格制度こそ厳格に運用する必要があります。

昇格制度により、経営者人材や管理職人材を選抜・登用します。これが経営側のメッセージや人事ポリシーを伝える非常に大切な機能となります。人件費をコントロールしたい場合、昇格・昇進は相対評価であるべきであり、相対評価で昇格者数管理をすることも徹底する必要があります。

昇給制度設計のポイント

等級定義の考え方

将来のキャリアを社員に見せたいので、等級定義はできる限り明確にしたい(絶対評価)、一方で、実際に選抜される人数には限りがあるので、等級定義はできる限り曖昧にしたい(相対評価)というジレンマが発生します。
昇格に関しては相対評価で運用するため、等級定義は柔軟性(恣意性)を確保できる表現に留めることをお勧めします。

等級定義の例

等級別求める行動の作り方

等級定義のほかに、評価制度(行動評価)を運用するにあたって、求める行動を整理する必要があります。昇格した際に、どのように行動を変化させてほしいのかを中心にシンプルに表現するとよいでしょう。等級定義はある程度の(柔軟的な運用のための)あいまい性が必要ですが、求める行動は、評価基準にもなるので、できる限り具体的な記述が好ましいです。

求める行動の例

▼等級別の求める行動のつくり方と活用のポイント(求める行動ディクショナリー付)について詳しくはこちらをご覧ください。

昇格者数を管理する

人件費コントロールの具体策として、昇格者数管理をするための方法をお伝えします。等級別人員構成比率を守ることによって、1人当たりの平均人件費を維持するという考え方です。職種別賃金を導入する必要もなくなり、人材選抜を相対化できるというメリットもあります。

具体的には下記のような職種別・等級別の人数、構成比、人件費を管理する表を作成します。

職種別・等級別人員管理表の例

等級や職種ごとに、それぞれどれぐらいの構成比で人数が必要なのかを事前に設計し、その構成比を維持することで、1人当たりの平均人件費を維持できます。つまり、この構成比率を維持することによって、昇進昇格の人数をきちんと管理できるようになり、一人当たりの平均人件費に変動がない形での運用が可能になります。

職種によって等級の構成比に変化をつけることで、職種別の平均年収を変えることができます。表現を変えると、昇格スピードを変えていくことによって、職種別賃金の実現ができます。職種別に平均賃金が違うと表現するよりも、昇格者数をコントロールすることによって、実態として職種別に平均賃金が異なるという運営は可能です。ここは見える化しない方が、社員の抵抗感が少ないでしょう。

▼職種別・等級別人員管理表を使った昇格者数管理術(人員管理表テンプレート)について詳しくはこちらをご覧ください。

職種別・等級別の人員構成の考え方

営業部門・生産部門は、所属長のアンケートによって理想的な人員構成を把握できます。開発部門は難しく、最終的には投資という経営的な意思決定になるでしょう。スタッフ部門は、全社のうち15%〜20%が理想と言われています。戦略的にアウトソーシングができていると、10%ぐらいまで抑えることができるでしょう。管理職は、マネジメントコースに関しては組織のポスト数で決まります。スペシャリストは、定期的な審査をして、人数が増え過ぎないように管理する必要があります。

昇格制度と人材育成の関連性を高める

昇格時に、昇格した等級で求められる行動の理解促進と行動スキル習得を促し、昇格審査でそれをチェックをするというPDCAサイクルを回すことをお勧めします。

求める行動の要件定義の作成に時間をかけても、実際には有効活用されず、行動評価のチェック時に使用するだけということが多いようです。

本来は、昇格時の研修で、その等級の年収水準に見合った行動の要素を噛み砕き、「どのように行動を変えていったらいいのか」を考えることが重要です。研修では、行動するために必要な知識やスキルを研修で学び、さらに、当該等級を何年で卒業するのかというキャリア設計もできるとよいでしょう。

上司は、本人が求める行動に対してどのような行動を発揮できていたのかコメントし、面談で伝えます。昇格面談の際に、求める行動を満たせていない場合は昇格見送りとし、次回再挑戦してもらうPDCAサイクルを回せることが理想です。

昇格者数管理のやり方

まず、職種別等級別のあるべき人員構成から、人事部門が職種別に等級者数案を各部門に提示します。各部門で昇進させたい人材を絞り込んでから、推薦します。この流れを実施することで、各部門で優秀者を相対的に絞り込むことができます。

▼昇格推薦書の活用法(昇格推薦書テンプレート)については詳しくは以下をご覧ください。

昇降格を決定する判断基準

一般的には、「過去の評価結果の累積」「部門長推薦」「その他の判断(将来の可能性)」で昇格降格を決定します。「その他の判断(将来の可能性)」は、管理職への登用や管理職手前の登用の際に、より厳密に判断する必要があります。特に、個人で成果を出せるが、組織の長として成果を出せる器量を保有しているのかなど経営的な判断が必要になるでしょう。経営判断の方法は様々なやり方がありますので、以下は参考までにご覧ください。このときに、上記の昇格者数管理などをしていると、優秀者から上位を選ぶという方法が可能になります。

昇降格決定の判断基準の例

昇降格のルールを制度化した事例をご紹介します(下記表)。評価の累積点で、地域限定社員と全国社員を分けるケースです。全国社員の方が点数が低いので、昇格の水準が低くなります。第一要件は評価の累積点になります。第2要件は、アセスメントや面談、小論文で絞り込みます。

昇降格ルールの例

参考資料のご案内

等級制度運用に活用できる資料をご案内をします。ダウンロードしてご活用ください。
▼昇格推薦書の活用法<昇格推薦書テンプレート>

部門の昇格推薦書(一般職と管理職の2種類)と、昇格面談での昇格推薦添付チェックシート(課長用・部長用・役員用の3種類)のテンプレートをダウンロードできます。昇格推薦時に活用してください。

昇格面談でのチェックシートには、等級別に求める行動(=行動評価の基準)が記載されています。その等級に求められる行動が定着しているか、事前に上司にチェックしてもらい、昇格面談で役員が審査するという流れをお勧めしています。

▼専門職・スペシャリストコース導入のポイント(専門職認定審査シート付)

専門職(スペシャリスト職・プロフェッショナル職など)コースの専門性を審査するシートのテンプレートです。専門職は一度配置されると既得権益になっているケースが多いです。それを排除するために、1年または2年ごとに審査することをお勧めしています。

より詳しく学びたい方へ

より詳しく学びたい方は、動画をご覧ください。テキストと演習用ワークシートは弊社HPからダウンロードできますので、ご利用ください。

動画

テキスト・演習用ワークシート

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