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【基礎から学ぶ人事制度│等級制度編②】等級制度設計で決めるべきことは?設計前に検討することを解説します

このコラムは、グローセンパートナーの人気セミナー「動画で学ぶ人事制度」の内容をまとめたものです。人事制度から人材育成・教育に関する全体像を理解し、人事制度設計で押さえるべきポイントを説明します。

動画で学ぶ人事制度とは
動画とテキストに沿って演習や事後課題を進めることで、人事ポリシーの設計、等級・評価・報酬制度の概要設計、教育体系などの概要設計ができるようになっています。より詳しく学びたい方は、ぜひテキストをダウンロードして動画をご覧ください。

今回は、等級制度設計するうえで考慮すべきことについて解説します。


等級制度設計の難しさ

等級制度は、会社固有の事象・現状の問題点・人材育成/適材適所・他の制度との関連性を加味して構築していく必要があります。

  • 会社固有の事象(ビジネスモデル、成長フェーズ、組織風土、組織構造)例えば、製造部門で一人育成するのに10年かかる会社と、店舗経営のように1年経つと店長になれる会社など、ビジネスモデルの違いによって等級数が変わります。また、組織構造の違い、管理職の階層が3階層なのか4階層なのかによっても等級制度が変わってきます。

  • 現状の問題点(適材適所、人材育成、採用・人材定着、人件費過剰)
    例えば、「人件費過剰」に関して、管理職層の人数を減らしたり、多くの人が滞留する等級という概念を盛り込んで等級制度を設計するケースもあります。

  • 人材育成/適材適所(適材適所、キャリア、多様な働き方、教育機会の提供)
    一般社員として働く期間(キャリア)、地域限定の概念(多様な働き方)、ライフイベントによる労働時間の短縮なども考える必要があります。

  • 他の制度との連動性(昇進・昇格制度、異動、評価制度、報酬制度)
    等級制度は異動の有無、コース転換の有無や、評価制度、報酬制度、細かく言うと退職金の掛け金とも深く関わってきます。

等級制度設計前に決定しておくこと

等級制度を設計するにあたり、以下のような点を決定しておく必要があります。

  1. グローバル展開している企業は、日本の等級制度では何を選択するのか?
    基本的に海外企業はジョブ型人事制度(職務等級制度)です。一般的な日系企業では、海外拠点はジョブ型、日本はメンバーシップ型が多いです。

  2. 親会社がある場合は、親会社との等級制度の連動性をどう確保するのか?等級数は親会社と同じにしておいた方が、双方にとって異動/出向しやすいです。

  3. 多様な働き方(地域限定社員・非正規の社員登用・短時間労働)の提供をするのか?
    条件面では勤務時間・職務範囲・勤務地という形で、社員の区分としては全国社員・地域限定社員・職種限定社員・短時間労働社員という形で設計されます。多様な働き方を提供することが当たり前の時代になってきており、社員の区分もきちんと設計していく必要があります。

職種限定社員・地域限定社員の処遇についてのデータをご紹介します。下記は、「いわゆる正社員」区分の賃金を100とした場合の、「多様な正社員全体(事務所限定・残業なしなど)」「職種限定あり」「勤務地限定あり」の賃金水準を調査した結果です。一般的な正社員を100とした場合に、これら限定社員の方に関しては80〜100%未満の方が実態として多いことが見てとれます。当社が人事制度を設計する場合も、だいたい90%水準ぐらいで設計をしています。

出典)厚生労働省「『多様な形態による正社員』に関する研究会報告書」

等級制度設計前に確認しておくこと

等級制度の設計前に、ぜひ下記のような年齢別の人員分布を作成してください。5年後の人員がどうなるのか、10年後の人員がどうなるのかを検討することは、報酬水準の決定に一番影響を与えます。また、60歳以上、65歳以上の雇用をどうするのかの検討材料として必要になってきます。

職種別の考え方の整理

職種別に年収≒貢献可能性が異なる場合は、職種別の賃金体系も導入する必要があるでしょう。一方で、職種別賃金体系を導入することはあまりおすすめしていません。

職能資格制度を導入する場合は、能力で等級を定義します。役割等級制度を導入する場合は、役割で等級を定義します。いずれも職種ごとに求める役割基準は基本的に同じなので、各等級の報酬の上限は同じです。職種別賃金体系を導入する必要はないでしょう。つまり、職務等級制度(ジョブ型)以外では、職種別賃金という考え方が馴染みません。

あまりにも職種ごとに異なるようであれば、職務等級制度を導入する、職種別報酬体系を導入する、職種別に昇格基準を変えるなどの方法があります。職種別に処遇を異ならせる場合、特にお勧めしてるのが「職種別に昇格基準を変える方法」です。例えば営業部門や開発部門の方は昇格スピードを少し早めに、生産部門の方は昇格スピードを少し遅めにすることによって、職種別の平均賃金を変えることができます。

より詳しく学びたい方へ

より詳しく学びたい方は、動画をご覧ください。テキストと演習用ワークシートは弊社HPからダウンロードできますので、ご利用ください。

動画

テキスト・演習用ワークシート

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