インジケータを学ぶー『移動平均線のいろいろ』

 前回、単純移動平均線の基礎的な考え方について考察しました。

 『単純』移動平均線です。

 移動平均線には、その発展型のいろんな形があります。

・単純移動平均線(Simple MA)

・加重移動平均線(Weighted MA)

・修正移動平均線(Modified MA)

・指数平滑移動平均線(Exponential MA)

etc...

※MA = Moving Average = 移動平均

 いっぱいありますねぇ。

 正直、星の数ほどあるので全部挙げるのは不可能に近いのですが、主要っぽいものを取り上げてみました。


 では、それぞれいったい何が違うんでしょうか?

 計算式からみてみましょう。

ただし

N:何本の期間を参照するか
A○:期間内の○本目のローソク足の終値
ex)期間30の場合
A1:29本前のローソク足の終値
A10:20本前のローソク足の終値
AN:最新のローソク足の終値(現在値)

とします。

また、複数の証券会社や投資家さんのサイトを参考にしましたが、同じ名称でも異なった算出方法で説明されていることもありました。

ここで挙げるのは、あくまで私が調べた一例だと思ってください。


単純移動平均線(Simple Moving Average)

SMA = (A1 + A2 + ・・・ + AN) / N

日本語訳:

期間内のローソク足の終値を全部足して、ローソク足の総数で割った数値。

めちゃめちゃシンプル。


加重移動平均線(Weighted Moving Average)

WMA = { A1 + ( A2 * 2 ) + ( A3 * 3 ) + ・・・ ( AN * N ) } / ( 1 + 2 + 3 + ・・・ N )

日本語訳:

今に近い相場を重要視するため、最近の終値に大きな数字をかけた上で平均値を算出する。

画像1

 例えば日足、期間30で現在のWMAを求めるにあたって。

 現在の終値(現在値)の1pipsの動きはそれぞれ

1日前の約1.0345pips
10日前の1.5pips
20日前の3.0pips
29日前の30.0pips

の動きに相当する重要度を持っている。ということです。

期間を10に設定するとこうなります。

画像2

現在のローソク足の1.0pipsの動きは

1日前の1.1111pips
5日前の2.0pips
9日前の10pips

の動きに相当します。

 期間を長く設定すればするほど、1日前、数日前の重要度は下がり、期間を短くすると期間にギリギリ入っているローソク足の動きもWMAに反映されてくる、ということも頭の片隅に入れておいたほうがよいかもしれませんね。


修正移動平均線(Modified MA)

MMA = { 前回のMMA * ( N - 1 ) + AN ) / N

日本語訳:

 「前回のMMAの値」が計算に用いられていることがミソ。

 前回のMMAの値は、ある程度相場に則って修正されたものという前提。

 その数値に、現在のローソク足の価格を( 1 / N )の比率で組み込むことで、その数値をさらに修正する。その数値はさらに次の日のMMAを算出する際に利用され。。。

 という具合。


指数平滑移動平均線(Exponential MA)

EMA = { 前回のEMA * ( N - 1 ) + AN * 2 } / ( N + 1 )

日本語訳:

 上の修正移動平均線(MMA)から、今のローソク足の重要度をあげたもの。

 単純移動平均線(SMA)と加重移動平均線(WMA)の関係に似ている。

 修正移動平均線(MMA)では現在の価格を( 1 / N )の割合で平均線に組み込んだ。

 指数平滑移動平均(EMA)では、現在価格を約( 2 / N )の割合で平均線に組み込む。

※正確には2 / Nではないのだが、理解しやすさを重視し、『約』という前置きをつけてそう表現した。詳しく考えたい人はご自身で計算してみてくれ。

 以上、いろんな移動平均線でした。

 まとめると。

・単純移動平均線(Simple MA)
  範囲内の終値を全部足して、総数で割るだけ。シンプル!

・加重移動平均線(Weighted MA)
  今を重要視して、数値の重要度を調節した上で平均値を算出する。

・修正移動平均線(Modified MA)
  過去のデータを読み込みながら、新しいデータを一定の割合で取り込んでいく。

・指数平滑移動平均線(Exponential MA)
  基本的には修正移動平均線と同じ。新しいデータの重要度が少し高い。

 他にも、移動平均を出した値の平均をとった平均線があったり、範囲内の値段の中央に近い値を重要視する平均線があったりしましたが、調べて分かった。

当たらぬも八卦、当たらぬも八卦。

(((大差ないやんけ。)))

 そういう世界に見えました。

 単純すぎると、短いスパンでの価格の上下を捉えることができず、現在の価格を重要視しすぎると相場のちょっとした揺らぎを受け止めやすくなってしまう。(ダマシにひっかかる)

 テクニカル分析というものは面白いですが、変なところで沼に引っかかるとテクニカル分析評論家(笑)になってしまいそうで、注意が必要だと思いました。

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