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白人の立場になってみる。

【紹介書籍】著者 ロビン・ディアンジェロ、監修 貴堂嘉之、翻訳 上田勢子、2021、『ホワイトフラジリティ 私たちはなぜレイシズムに向き合えないのか?』明石書店

 本書は、白人が日常的に行っているレイシズムについて指摘しています。また、差別行為をする白人の意識について具体例を用いて詳しく書かれています。
 
 本書では、「レイシズムは複雑で微妙であるから、完璧に学習したり学び終えることはない。」(p10)と述べられています。また、レイシズムとは悪人だけが考える思想であり、一般の白人はレイシズムに加担していたりこの考えを持っていないと大多数の白人は口にします。そして、これらの教えがメディアなどを通して理解されることによって白人はレイシズムについて理解することが事実上不可能であるようにも述べられています。また、白人は人種の話題に対するストレスに耐えることができないため、そういった話になると自己防衛反応が働き、どうにかして白人の優位性を保とうとすることを本書では「白人の心の脆さ(ホワイト・フラジリティ)」と定義しています。(p14、15)
 白人はどのような考えを持っているのでしょうか。本書では、白人の中でもリベラルな白人こそ非白人にとっては厄介であるように述べられています。その理由としては、自身は人種差別的でないと考えていたり非白人のことを仲間であるように考えているからです。しかし、この考え方が定着してるのであれば現代のアメリカでの最も複雑なジレンマは出てこないと指摘しています。そのため、白人の多くは人種偏見があると指摘をされると、自分は恥ずべき悪人と言われているように感じ、人種偏見についての考え方は変えようとせずに品性をとにかく守ろうとする(p39)と述べられています。これが自己防衛反応の一例として具体例を用いながら説明されています。また、歴史上、メディアによってレイシズムとは「不道徳な人間による意図的な人種上の差別行為」(p23)と簡略化されたことにより、白人の多くは社会化プロセスを全く理解しておらず自身は客観的で特別であるように考えてしまっているとも述べられています。
 では、どのように白人は考え方を変えなければならないのでしょうか。本書では、知らないことの違和感や人種によって自由である違和感を培うことが必要であるように述べられています。(p31)また、白人は人種に対して謙虚さをもつべきであり社会力学からは避けようがなく、レイシズムの考え方から自身を除外することはできないと考えるべきであるように述べています。(p27)白人がなぜ他の人種より特権が与えられてきた歴史があったのかを理解することも必要です。そして、自分は他者と違うという感覚を除外できることは社会を大きく見ることができる批判的な能力であるようにも述べられています。(p29)

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