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旅先でごねる子

まだお盆休みの方も多いかと思います。

今年は帰省されたりしているのでしょうか。いまだにままならない日が続きます。ご旅行の際などは、感染だけでなく、熱中症などにも充分お気を付けください。


さて、


お盆といえば、僕も子供の頃は、両親の実家の愛媛県今治市へ、家族全員(両親 姉 僕 妹)で一斉帰省していました。

小さな子供を連れて、新幹線と瀬戸内海を渡る船(当時瀬戸大橋なんてありません)を乗り継いでの一大旅行。さぞかし両親は大変だったと思います。

旅行の道中も、新幹線では大騒ぎでトランプ大会。

周りも、さして怒り出す人もなく(むしろ面白がって見物人が群がっていたように思います)、今では考えられないくらい大らかな時代でした。


さて、無事に愛媛に着くと、それはもういろんな親戚家族が一堂に会します。


典型的な現代の核家族のうちにとっては、未知の体験。

普段、味わったことのない、いろいろな刺激に囲まれます。

お爺ちゃんお婆ちゃんに可愛がられたり、よくわからない叔父さん叔母さんに挨拶したり、いとこ同士仲良くなったり、ならなかったり。

ところで、

こういった旅行のような「普段と違う」シチュエーションに置かれると、

急に「ぐずり」出す子供っていませんでしたか?

僕は典型的なそのタイプで、

普段内弁慶な分、ちょっとでも気に入らないことがあると、すぐに「ごね」出す子供でした。

やれ、

・水着を忘れてきて、貸してもらったのが気に入らない
・藤沢でやっているテレビ番組がこっちでやってない
・いとこにゲームで負けて馬鹿にされた

などなど。

本当に些細なことで、すぐヘソを曲げて、周りを困らせていました。

一度、

いとこが持ってきていた文房具の「コンパス」を見て、

「これ、どう使うの?」

と尋ねたところ、

「こうやって、円を描くんだよ。」

と実演して見せてくれたのに、いたく感動して、

「あれが欲しい!!」

と言い出したことがありました。

さあ、大変。

田舎で、しかもお盆に、そうそう都合よくやっている文房具店が見つかるはずもなく、親戚一同大わらわ。

やっとのことで、見つけてきてくれたコンパスは、短くなった鉛筆を、脇についた洗濯バサミのようなクリップで挟んで使う、旧式の物でした。

「違う、違う、違う!!」

僕の欲しかったのは、あのお兄ちゃんが持っていた、専用の芯をはめ込むタイプの、最新式の、もっとカッコイイやつなんだ!!

もう、大騒ぎです。

「ごね健」(本名:吉田健吾)の本領発揮。

しかも、それが帰りがけのことだったので、もう新幹線の時間が無い。

大泣きするのを、引きずられるように帰ったように覚えています。


本当に申し訳ありませんでした。


この場を借りて、お詫び申し上げます。



大変ですね。


「ごねる」子のいるご家庭って(笑。


でも、


そんな体験が、その後、


「あんなのを使う職業に就きたい。」


と思わせたのかもしれません。


僕はもう建築の仕事はしていませんし、コンパスを使う建築士も今はいないと思います。


でも、やっぱり、外の刺激に触れるって、何がしらの影響を及ぼすものです。


ひと夏の小さな思い出。


案外覚えているものです。



「ごねる」子のいるご両親様。


お盆休みでぐったりしたら、


大人のかき氷」でもどうぞ。


少しはクールダウンすると思います。



神保町へお越しの際は、是非お立ち寄りください。

このお休みにまたカウンターを塗りました。触りに来てくれないとごねます(笑。

お待ちしております。


Summer (feat. Bridget K) / Pixie Dust
coolpigeonmusic
2021

(本文の最後に、お店でよくかける音楽を紹介しています。お家でお酒を飲まれる際に是非どうぞ。今度お店に聴きに来てくださいね。)

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