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【動画解説あり】火災感知器回路の解説② 増設編

※解説動画を撮影しました。合わせてご覧下さい。


前回の解説から引き続き、今回は既存回路からの増設、応用編です。

まだ前回投稿した解説を見ていない方はこちらを先に見ていただくとより分かりやすいと思います。

こちらは以前Twitterに投稿した増設感知器と既存感知器の結線方法です。
今回もこちらの画像を使ってより詳しく解説してみたいと思います。

既存が2芯送り配線の時の増設結線方法

画像2

Twitterの画像では既存配線が4芯送りパターンでしか例をあげていなかったので、既存2芯送りパターンも絵にしてみました。

4芯送りパターンとの違いをよく見てほしいんですが、2芯送りでも4芯送りでも触る線は既存感知器端子に差さっていた配線だけだという事が分かるでしょうか。

24Vが来ている電源側(一次側)を既存感知器L,C端子へ、残ったLC端子に新設感知器のL,C線を差し込む。残った新設4芯L,C線が返りの線となり、その線を既設の抵抗器へむかっている配線とジョイントです。

電気の流れ

画像2

電気の流れは図のようになります。
既設感知器Aの24Vが来ている側(一次側)を感知器端子に入れ、端子を通して新設感知器の赤白へ電源を供給している事が分かりますね。
新設感知器端子の赤白に電源が供給され、端子を通して青黄に電源を送ります。
青黄の線は既設感知器Aに戻り、その線は既設感知器Bへ電源を送るよう結線すれば元の電気の流れと同じになります。
このようにして、新設感知器回路が既設感知器回路に割り込む形で結線します。

何故4芯線を使うのか?

前回のnoteをTwitterに共有したところ、嬉しい事に沢山の反応がありました。
その中で黒ひつじさんに4芯送りが何のために必要なのかが分からない、と疑問を投げかけて頂きました。
凄く大切な事を解説し忘れていました、、、
黒ひつじさん、本当にありがとうございます。
(許可を頂いて引用しています)

部屋

まずはこの図面をご覧ください。
B室内に新規間仕切りを立て、奥側の部屋が感知器未警戒となる為増設しようとしている所です。
感知器回路のスタートは廊下煙感知器側からC室側の抵抗器へ向かっています。使用されている配線は2芯です。

もっとも楽な増設方法はB室の既存感知器から増設感知器へ電源を供給する方法です。使用する配線は4芯でなくてはいけません。
何故2芯ではダメなのか?まずは実際に2芯で回路を組んでみましょう。

2芯ダメ1

結線の基本通りやってみます。
まず24Vの来ている線を既存感知器端子に、もう片方の端子に増設感知器へ行っている配線を差し込みます。
すると抵抗器側への配線が余ってしまいます。
おまけに増設感知器の端子もL,C片方にしか配線がなく端子が余ります。
これではどちらかの感知器へ電源を送る事ができません。

2芯ムリヤリ

仕方ないので端子に無理やりねじこんでみます。
スタート地点から来ている24Vは既存感知器で分岐するように増設感知器と既存抵抗器側へと供給されました。

このように3本以上の線をまとめて繋いでいる事を「パラっている」と言います。語源はおそらく並列を意味するパラレルから来ています。
ですが並列とかパラレルとかは忘れて下さい。深く考えると混乱してしまいます。(そもそも自火報は並列回路以下略)
とにかくP型感知器回路においてパラっている事はいけない事だと記憶しましょう。

何故パラっているとダメなのか?

3本以上の配線をまとめて繋ぐことを「パラっている」と呼び、それが駄目だという事は先ほど言いました。
電気回路的には感知器は正常に作動するし、問題ありません。
パラっているからと言って電圧降下が起きたり感知器が不具合を起こす事もありません。
パラっている事の問題点は、感知器線が断線しても検知できない可能性がある事です。

2芯断線

火災受信機は常に終端の抵抗器を監視しています。(一部古い受信機は手動で調べます)
既定の抵抗値が感じられなくなると配線が切れていると判断し、「断線警報」を出します。

図のように感知器端子で配線をパラって分岐してしまうと、増設感知器への配線が切れてしまったとしても既存終端感知器に取付されている抵抗器まで辿りつける為断線を検出できません。

火災感知器は取付されている全てが火災時に作動しなくてはいけません。
100個中98個くらいが動けばいいという物ではないのです。

故に感知器はスタートから一筆書きで配線し、最後に終端抵抗器を取付ける必要があり、パラってしまうと回路が一筆書きにならず断線を検出できない配線経路が生まれる為、不適切となります。

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従って感知器を増設する時は図のように4芯を使用し行きの経路と返りの経路を作る必要があります。

2芯を使用した増設方法もある

とは言え必ず4芯でなければ増設できない、という事ではありません。
一筆書きさえ守れば2芯を使用できますが、4芯を使用する方法より面倒で、あまりメリットはありません。
その方法を図面にします。

2芯増設

2芯を利用した増設方法はこのようになります。
A室感知器の電源を増設感知器に送り、増設感知器からB室へ送ることで一筆書きの経路を変えています。
4芯を使用した増設方法だとB室感知器から増設感知器へ1本配線するだけで済むところ、2芯配線だと2本引いて1本撤去する必要があります。

以上大変長くなりましたが、感知器増設時の結線方法と4芯送りの必要性について解説しました。

自火報工事始めての方や新人教育に役立てば幸いです。

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