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【リリースイベント】Groov編集会議vol.1 イベントレポート

編集会議のテーマ「いま地域に必要な情報は?」

様々な分野で活躍する地域のプレイヤーが情報を発信する、ソーシャル地域メディアGroov(グルーヴ)。Groovは、キュレーターが発信する情報を見てオンラインで楽しむだけでなく、投稿される情報をオフラインの場でキュレーター・ユーザーが議論することで、地域に必要な情報をみんなで作り上げていくというところに大きな特徴があります。

今回のイベントでは、「いま地域に必要な情報とは?」というテーマでGroovキュレーター3名をお迎えし、ディスカッションを行いました。また、当日はリアルタイムでコメントが投げ込める「Slido」というツールも活用し、ユーザーはSlidoを通して議論に参加しました。
過度に情報が溢れ、分断や情報格差が起きやすくなった時代に、Groovが地域にできることとは。3人の会話の中からヒントを探していきます。


パネリスト/Groovキュレーター紹介


武田修美 氏
事業環境創造研究所[BEECL]所長/株式会社MGNET 代表取締役

山本一輝 氏
Inquiry合同会社 代表社員兼CEO/ラーニングデザイナー

木村有希 氏
NIIGATAマイプロジェクト☆LABO事務局/株式会社LX DESIGN

モデレーター:株式会社DERTA 代表取締役CEO 坂井 俊


必要なのは、情報の引き算を考えること。

山本:
「いま地域に必要な情報とは?」というテーマでの議論ですが、最近はSNSなどで情報が溢れすぎていて必要な情報にアクセスしづらくなっているので、逆に「どんな情報を排除すべきか」を考える必要があるんじゃないかなと思います。
最近ではタイパ(タイムパフォーマンス)・コスパ(コストパフォーマンス)よく情報収集することが是とされてしまっていて、情報のファストフード化が起こっているんじゃないかなと。
例えば、学生は授業録画を倍速で見てたりするわけじゃないですか。

武田:
学生って倍速で授業の録画を見ていても、意外としっかり要点を掴んでいるんですよね。倍速で動画を見たりすることって僕らの時代じゃ無かったので、これは進化なのかなって解釈しています。
一方で、知識をひたすらインプットし続けることで頭でっかちになってしまうという懸念もありますね。小学校で授業をした時に、簡単な言葉を使って説明していると小学生に「語彙力(笑)」って笑われたことがあります。(笑)
最近は情報の取得が誰でも簡単にできるようになってきたので、学校はただ勉強を教えるだけの場であってはいけないような気がします。


参加者からは「情報のインプットばかりだと、自分で考える余白がなくなってしまいそう」という意見も出ており、共通の課題であるように感じます。

情報を伝える側が鍛えるべき力とは。

木村:
学校では、情報を教えるだけじゃなくて情報へのアクセスの仕方や取捨選択の仕方を教える必要があると感じています。情報取得のためのコンテンツは沢山あるけど、そのコンテンツの選び方が分からない子どもが多いんです。「ティーチングからコーチングへ」と言われているように、子どもたちがやりたい、学びたいと思う方向に行くためにはどうしたらいいのか、問いを出しながら一緒に考えて伴走してあげることが必要だと思います。

山本:
参加者からのコメントに「葛藤保持力が大切」とあるように、学校教育では正解・不正解と白黒つけること、いわゆる「ポジティブ・ケイパビリティ」を教えられることが多いですよね。でも何が正解か分からない今の時代、複雑な状況の中で自分の意見を一旦保留して相手の意見を聞き入れたり、簡単に白黒つけずに情報を吟味して葛藤したりする力、いわゆる「ネガティブ・ケイパビリティ」が必要になると思うんです。これは学生はもちろん、先生にも身につけてほしいと思っています。

武田:
私も大学で授業をすることがあるのですが、学生が授業で出したアイデアを別の科目の先生に見せに行ったところ、「私はもう歳だから分からない」と先生に拒否されたという話を聞いたんです。これって実はすごくもったいない。知らないことは仕方ないですが、相手を知ろうとする姿勢を持たないと思考停止になってしまうんですよね。


人や情報との出会いやすさの違いが問題の根幹なのか

坂井:
会場では「地方は人口密度が低いことが根っこになっている気がする」というコメントが出ていますね。

山本:
確かに人口密度についてはよく語られますよね。都会ではインフラコストも安くて人が簡単に移動できるので、その分出会う情報も多くて新しいものが生まれやすいですが、地方は都会よりも人口密度が低く、人に会いに行くための移動や集まる場所に大きなコストがかかってしまいます

木村:
私はフリーランスで仕事する中で東京などの都市部にも新潟にもいたことがあるのですが、新潟と東京では入ってくる情報の種類が違うなと感じました。これは都市部で得る情報が優れていて新潟で得る情報が劣っているということではなく、その場所ごとに出会う人たちが持っている情報の質が異なっているということです。なので、結局はどこにいても自分が情報をどう選ぶのかによって得られる情報が変わるので、やはり情報の選び方が一番重要なんだと思います。

武田:
人口密度の話から派生して新潟県について考えたときに、新潟県って地政学的に見ると縦に長くて川などの地形によって物理的に分断されていますよね。なので地域ごとに違った文化があることは当たり前なのですが、現代ではそれが地域ごとに一つの情報としてまとめられてしまっている。そういう流れの中でも、「私たちはみんな違っててもいいよね」という考えを共通認識として持つことが大事なんじゃないかと思います。
例えば燕三条地域では、工場見学をすることで初めて隣近所の人が何をしているのか知って、そこから新しい仕事が沢山生まれているんです。お互いが違っていてもいいということを認め合うことで、新しい出会いや仕事が生まれていくんだと思います。

山本:
新潟の人は、もしかしたら異なる文化や意見との対立を避ける傾向にあるのかもしれませんね。新しいことを生み出したり成長したりするためには対立は必要なものですが、面と向かって対立することが少ないように感じています。


ポジティブな対立から新しいものを生み出す

坂井:
地域の中で何か新しいものを生み出す時には、ポジティブに対立する必要があると思うのですが、それはどう起こすべきなのでしょうか。ライバル関係のようにも聞く燕・三条エリアで活躍されている武田さんに伺いたいです。

武田:
実は、燕と三条って楽しく対立しているんです。燕と三条の職人さんは、お互いが「自分たちは世界一だ」と思っていてとても自信があるんですよ。なので工場見学をしあったり、燕vs三条で綱引きとかができるんです。もしかしたら、丁寧に議論することよりも体でぶつかった方がポジティブに対立できるのかもしれませんね。(笑)

木村:
私が所属しているある会社では、社内で誰かが対立した時に「〇〇の乱」って名前をつけて、「〇〇の乱」っていう名前のミーティングを設定しちゃうんです。(笑)
対立することは悪いことではなく、組織を成長させるための成長痛だと捉えているので、対立は積極的に起こしていっていいんです。
Groovで考えても、キュレーターさんが投稿した記事を見て自分とは違う捉え方をした人と一緒にディスカッションしてみるといいかもしれません。そしてその時には、意見が違っていてもお互いを受け入れる力であるネガティブケイパビリティが必要になると思います。

坂井:
なるほど。勉強になります。「〇〇の乱」、来週から使わせていただきます。(笑)
会場から、「乱を楽しむための考え方のTIPSを教えてください」とのコメントが来ていますね。

木村:
生まれた対立の中に、わざと遊びや笑いの要素を入れ込むことがコツなんじゃないかな。そうすることで対立を歓迎する雰囲気を作れるし、楽しみながら変化することができると思います。Groovで投稿するときも、面白さを含めながら学びもある投稿の方がいいね数が多かったりするのもあって、そういう秀逸な投稿をするように心がけています。


まとめ:いま地域に必要な情報とは

「いま地域に必要な情報とは」というテーマから始まり、情報過多な時代には情報の引き算が大切だという話や学校教育の在り方、ポジティブな対立の生み方など話題が様々に移り変わりながら議論が広がっていきました。

その中でも共通していたのは、アウトプットの機会や人と意見を交わす機会が不足しているのではということ。自分が発した情報や意見に対してフィードバックが返ってくる環境や、意見や主張が対立してもそれを受け入れて積極的に議論できる環境があることで、情報の質が変わり、新しいものを生み出す後押しにもなるのではないでしょうか。

しかし、地方では人口密度が低いことから人との距離が遠く、自分の発信にフィードバックが返ってきたり、異なる意見を持つ人との対話や対立が生まれにくいのが現状です。

現状を変革し地域がもっと面白い場所になるため、Groovのアプリだけに留まらず、イベントやコミュニティなど「人との関わる機会」「人の意見に触れる機会」を生み出して行くことが大切であり私たちの役目なのだ、と運営一同再認識した回でした。

面白い、聞いてみたいと思っていただけた方はアプリをダウンロードしてGroovの中をのぞいてみてください。次回のイベント参加もお待ちしております。

▼Groovアプリのダウンロードはこちら
iOS版:https://apps.apple.com/jp/app/groov-%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2/id6476492975

Android版:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.derta.groov

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