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中小企業診断士二次試験受験生インタビュー② 需要が分からないなら、全部売ってしまえばいいじゃない

*昨年のインタビュー*

今日は先週末、二度目の中小企業診断士二次試験に挑戦されたばかりのフエコ選手にお話を伺います。フエコ選手、試験お疲れさまでした。
ありがとうございます。

去年は涙をのまれた訳ですが、今年の手応えはいかがでしょう?
覚悟してましたが、難しかったです。特に事例Ⅳは去年に引き続いて難問でした。事例Ⅳのあとは正直、「これはやってしまったな」と青ざめました。でも、どうやら私だけじゃなかったみたいで。一方で、易化したという噂の事例Ⅱで失敗してしまったので、その減点分がどれくらい事例Ⅳの得点調整でカバーできるか次第かな、と思っています。

結果が出るまで不安な日々が続きますね。さて、去年は前日にあまり眠れずコンディションも万全ではなかったようですが、今年はどうでしたか?
今年はコンディション調整に命かけました(笑)。
去年は試験の数週間前から寝つきが悪くなって、前日は殆ど眠れない状態でした。今年はヤクルトのY1000を少しずつ買いためて、冷蔵庫に賞味期限順に並べて在庫管理しながら試験前に2週間ほど飲み続けたり、睡眠にいいというコエンザイムQ10を飲んだりしました。
前日は自宅の方がよく眠れるかなと思いつつも、当日の交通トラブルで自律神経を乱しては元も子もないので前泊することにしたんですが、会場近くの知らない町ではなく、あえて職場近くのホテルに泊まりました。過保護なまでにトラブルを避ける涙ぐましい努力のお陰で、前日に眠れたときには感激しましたね。まだ、試験は始まってもいないのに。

それくらいコンディションが重要な試験だということですよね。
おっしゃる通りです。80分×4事例は想像以上に過酷なレースです。体力のある若者ならともかく、中高年にとっては最後まで集中力を維持できるかどうかギリギリの負荷がかかります。それを身をもって知っている多年度生の優位性を活かすためにも、コンディション調整とペース配分にこだわって、直前期にはセルフ模試を繰り返しました。それでも本番の消耗は別次元でしたが。

それでは事例ごとにお話し伺いましょう。事例Ⅰは農業法人の問題でした。
与件文もボリューミーで、助言問題も多くて手こずって、最後に残しておいた第1問で時間が足りなくなってしまったりはしましたが、おおむね想定したプロセスで取り組めました。でも、やぱり最初の事例で焦っていたのか、あとから読み直すと「どうしてこれをスルーした!?」の連発です。でも、事例Ⅰは皆さんも苦労されたみたいなので、そこまで差がつかないことを期待しています。

事例Ⅱは失敗したとおっしゃっていました。
そうなんです。事例Ⅱにしては会社の規模も大きいし、環境変化に対応してドメイン拡大してみたり、一方で顧客に関する情報が薄かったり、どこか「事例Ⅱらしくない」与件文でした。そのせいか、最初の与件文読解でうまく全体像を掴めなくて。私、与件先読み派のマイノリティなんですよ。
なので、いつもSWOTは最後に解くんですが、他の設問に行く前に情報を整理した方がいいな、と思って第1問の3C分析から解き始めました。今思えば、強みだけざっくり整理して、いつも通りのプロセスで解けばよかったのに、焦ってプロセスを崩してしまいました。そのせいで、第1問は30点も配点がある超重要設問だったのに、不本意な答案を作ってしまったのがとても悔やまれます。

年に1度の試験を「いつも通り」にやることがいかに難しいかですね。事例Ⅲはいかがでしょう。
事例Ⅰ、事例Ⅱと食べ物系が続いたので、事例Ⅲは金属加工かな、金型とか来るかな、と思っていたら本当に来ましたね。とにかく「生産の現状」が無茶苦茶複雑で、「やばいな、これは絵に書きだした方がいいかな」と思いながらページをめくったら思い切り図示されていてズッコケました。でもそれに安心しすぎて板金加工製品のことか頭から吹っ飛んでしまったのがマズかった。切り分け以前に、全貌を把握するのが本当に難しい事例でした。定番のデジタル化問題も、問われ方が特殊なので動揺して支離滅裂になってしまったり。「いつも通り」ってホントに出来ないものですね。

次は鬼門の事例Ⅳです。終了後に「生産性」というキーワードがネットを席巻しました。
生産性、私の嫌いな言葉です。
「今年の経営分析は意外とオーソドックスだな」と思いながら読みすすめて、最後の「ただし、生産性入れてね」で、ああ、やっぱり来たなと。過去問至上主義者なんで、財務指標といえば収益性・効率性・安全性ですよ。生産性は門外漢です。しかも、設問2は「劣っている指標」縛り。そんなの、この謎の生産性に決まってるじゃないですか。経営分析を落とすのは致命的ですが、どうせみんなわからないはず、と判断して捨てました。それでも20分くらい使ってしまったかな。

みんな出来ない問題ならいい判断だったのでは?
ところが、結構書けてる人が多いみたいなんですよね。まあ。仕方ないです。勉強時間は有限なので。

さて、去年は解答の順番を誤ったのが致命傷でした。その点、今年はもちろん対策されたんですよね。
もちろんです。経営分析→記述→NPV以外→NPVというオーソドックスな順番でいきました。
今年は記述問題も対策してたので、ヒントが与件分にあることも分かってたんですが、2つ書くべきリスクが1つしか見つからない。もう一度与件を読めば見つかるかも、と思いましたが、泥沼回避を優先して先に進みました。

天下分け目のセールスミックスですね。
はい。ぱっと見て、ああこれは解けるはずだ、と思いました。繰り返し練習しましたから。ところが、何遍読み返しても需要に関する情報が見つからない。
経営分析を捨てて、記述を半分捨てて、もう後がない追い詰められた状況です。きっと焦って見落としてるんだと思いました。でも、水を飲んで、深呼吸して、ゆっくり読み返してもやっぱりない。時間はどんどん過ぎていく。
「需要は教えないってことなら、もちろん作った分売ってくれるんですよね(怒)」と、もう営業本部に喧嘩を売る生産本部長の気持ちですよ。これでも喰らえ、とヤケになって製品Aを作りまくりました。

実際のところ、需要情報は書かれていたんですか?
なかったみたいです。そして、今のところ出てきている情報を見る限り、製品Aに全部のせ、で正解なのかな。

怒りの生産本部長が勝利したわけですね。
でも売れなければ、除却を出して怒られるのは私ですから。今でも根に持ってます。
設問2は線形計画法でしたが、こちらも『30日完成』で嫌になるほど繰り返していたので解き方はわかります。そして、「営業本部は全部売ってくれるらしい」と仮定さえしてしまえば迷いはありません。でも、ここまでの波乱万丈の流れで精神状態はボロボロ、心臓バクバク、脳みそは空回り、集中力はゼロです。長々とした計算が合ってる自信は皆無でした。

まさに去年の地獄の再来ですね。
あんなに勉強したのに、と情けなかったです。第3問に取り掛かる頃には、設問を冷静に読むことも難しくなってました。読んでも全然意味が頭に入ってこないので、早々にあきらめて第4問のリスクの残り半分を埋めに行って、第1問の虎の子の指標2つと、合っている気がしない第2問の見直しに移りました。第1問を解いているときは冷静だったつもりなんですが、棚卸資産回転率の単位が「%」になっていたりしていたので、すでに十分動揺していたんでしょうね。

去年、単純ミスで経営分析を落とした反省が活かされました。
でも、第3問だって落ち着いて解ければ解けたはずなので、悔しかったです。あんなにNPV問題を勉強してきたのに、1ミリも活用できなかったわけですから。
でも、自分が解けないならみんなも出来ないはずだ、と思えたことは勉強の成果だったのかもしれません。それだけに、試験終了後、両隣の受験生の完璧に埋まった答案用紙を見た時には絶望しましたが。

それは恐怖体験でしたね。
あぁ、やってしまった、と思いました。全受験生のうち数パーセントもいない事例Ⅳモンスターに挟まれていたなんて、どんな確率やねん、と今だから笑えますが。

去年は試験直後から今年の二次試験に向けた勉強をはじめました。今年はどうしましょう。
しないと思います。というか、今年落ちていたら、これ以上何を勉強したらいいのか途方に暮れそうです。去年は、あんな勉強もこんな勉強もしてみたい、とやりたいことがどんどん湧いてきました。一年間という時間を贅沢に使って、やりたかったことはだいたいやり切りました。もしも駄目だったら気持ちを切り替えて、また一次試験の勉強からやり直せるか、今はまだ自信がありません。

……本当に合格しているといいですね。それでは最後に、ここまで応援してくださったファンの皆さまに一言。
一年間、応援ありがとうございました。どんな結果になっても、この一年間頑張ってきたことには胸を張りたいと思います。これからもよろしくお願いいたします。

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