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深夜特急5 トルコ・ギリシャ・地中海 沢木耕太郎

学校がお休みの間に読む本の紹介vol.20
 一週間ぶりの読書投稿となります。令和元年度から令和二年度へあわただしい年度末が今年はコロナの影響で例年以上に世の中が騒がしいです。今シリーズも本来であれば新学期のスタートとともにこのvol.20をもって衣替えの予定でしたが、石川県では引き続き5月6日まで一斉休校が続くということで、もうしばらくお付き合いください。

 この5巻から深夜特急の舞台はヨーロッパへと移っていくわけですが、その前にアジアとヨーロッパの結節点であるトルコでの滞在エピソードが描かれます。トルコといえば台湾と並んで大の親日国というイメージがあり、私も一度は行ってみたいと思っています。そしてトルコが舞台の”13章 使者として”は私の中で一番好きな章になりそうな予感がするほどはまり込んで読むことができました。(後に大好きなイタリアが出てくるので暫定ではありますが)

 トルコで最初に訪れたエルズルムのドミトリーでのドイツ人との「禅」についてのやり取りも、トラブゾン行きのバスの車中でのおじさんとの会話も楽しいのだが、トラブゾンでカードゲームをしていた老人との会話や描写が面白い。読まないとわからないと思いますが、特に「ムスタ~ファ~」という鼻歌を歌いながらカードゲームをしている様子がユーモラスで最高なんです。さらにこの後に出会う少年との散歩とそれを締めくくるコインの話。益々トルコに興味がわいてきました。
 こんな軽快なリズムから打って変わってアンカラでは使者としてのミッションを果たすべくある女性と時間を過ごすことになります。これがまた深夜特急始まって以来のセンチメンタルな話で、なぜかページをめくるリズムもゆっくりとしたものに。物語のリズムとページをめくるリズムがマッチしてくるのも深夜特急シリーズの特徴なんだろうかと思いながら読みました。

 トルコ編が終わると、5巻も折り返しを過ぎています。これを読み終えて6巻を読んだらこの旅も終わってしまうのかと急に寂しくなって、今度は読み進むのがもったいないような気分になってきました。本物の旅が折り返し地点を過ぎたころから寂しくなるように、この読書の旅もまた同じような感覚に浸ることができる。私は深夜特急によって本当にユーラシア大陸の旅を経験させてもらっているんだなとなぜか感謝の気持ちがわいてきました。

 沢木耕太郎もまた旅の終わりが見えてきたころに自分の旅が「壮年期」にさしかかり、青年期のような刺激や感動が薄れてきていることを感じて、同時にどのように旅を終えるかということを考え始めるようになっていきます。ギリシャから地中海へと進み、旅は最終盤へ。

 6巻には私が(行ったことないけど)大好きなイタリアも登場するので楽しみでありつつ、この度がどんなフィナーレを迎えるのか期待と不安が入り混じったような感覚でページをめくることになるんでしょう。楽しみです。

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 深夜特急ではそれぞれの国でご当地のB級(C級?)グルメが出てくるんですが、今夜は事務所の近くの居酒屋さんからたこ焼きをデリバリーしてもらって食べながら書いていました。コロナに負けないようによく食べてよく眠るようにしたいと思います。

 深夜特急6巻 南ヨーロッパ・ロンドンもお楽しみに~

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