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僕は君たちに武器を配りたい

学校がお休みの間に読む本の紹介vol.11
今日紹介する本は瀧本哲史著の「僕は君たちに武器を配りたい」です。
ハードカバーの単行本ではなく、500円(税抜)のエッセンシャル版(文庫本)のほうになります。瀧本哲史氏はエンジェル投資家であり経営コンサルタントであり、そして大学で起業論の教鞭をとっていたというマルチな人物であった。
ここで過去形となっているのは大変残念なことであるが、瀧本氏は昨年(2019年)の8月に亡くなっている。47歳で概ね私と同世代であり、この時代に警鐘を鳴らして若者を導くために戦った有望な人材が失われたことは残念に思う。

本書を通じて若い人たちに知って欲しいのは、昨日の投稿にも通じるところがあるが資本主義との向き合い方である。昨日紹介したルトガー・ブレグマンが資本主義の残酷な面を社会システムがどう緩和しつつその中で各人が人生に価値を見つけてていこうというスタンスであるのに対して、瀧本氏は資本主義という荒野をサバイバル能力を高めて力強く生き抜くための方法論を本書で若者に提示しようと試みる。

彼は商品だけでなく人間や人間のスキルもまた資本主義経済の中で「コモディティ化」していくことに危機感を持てと強く述べる。そして、そうならないためには投資家的視点を持ち投資家的なアクションを重ねることによって「スペシャリティ」な人材になれというメッセージをここに残している。
日本社会に漂う閉塞感がどこから来るのか、若者が集団自殺のようにブラック企業に吸い込まれるのはなぜか、働くことや稼ぐことにおいて何を重視すべきかを社会情勢やデータを駆使して伝えてくれる。約10年前に書かれた本であり、その当時から現在までの変化を思い返すと、この間日本や世界が大きなうねりの中にあったということを感じることができるとともに、彼の主張はこれから社会に出る若者にとって当時と同等かそれ以上に重要な示唆を孕んでいるとわかる。

この国は護送船団方式で一番劣るものに合わせて全体が動いていくほど甘い社会ではなくなったのだ。丸腰で油断したまま社会に出れば搾取され卑屈に生きていかなければならない。現代社会は確実にそういう一面を持っている。そんな社会の中で生き抜き、理不尽や不条理の壁を打ち破っていくための武器とは何か。その答えが本書には散りばめられている。

高校生でも決して早すぎるということはない。
武器を取って立ち上がれ!自分の大切なものを守り、未来を切り開け!
自分の学びを武器に変えるための新しい視点をこの本から身につけて欲しい。

ではまた明日〜

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