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リモートラーニングはリモートでは習得しにくいという矛盾 その2

 4月6日(月)です。明日にはいよいよ国内の一部地域において非常事態宣言が出され、日常生活における制限が一層高まりそうです。私が住んでいる石川県においても5月の連休明けまでの休校となりそうです。進学や進級をまたいで学校が休みになることは子どもたちの学びにとって影を落とすことになると思いますので、今回もそれを緩和するために何ができるのかについて私なりに書いてみたいと思います。なお、小学校の課程については専門外なので中学生や高校生を対象とした内容になっています。

最も影響を受ける学年は

 はじめに進学進級に伴う休校で最も影響を受けるのは何年生なのかについて私見を書きます。最も影響を受けるのは中学校では新二年生、高校では新入生であると考えられます。(普通の公立中学校や進学校が対象)
 中学校の新一年生については、基本的にゼロからのスタートであることと、入学後の序盤の学習内容がそれほど難しくありません。進学前の春休みが長くなったと考えて、ゆっくり本を読むとか小学校の算数を復習しておくなどに時間を使いましょう。あまり中学校の内容を先取りすることを意識しすぎる必要はないでしょう。一方受験を控える新三年生についてですが、中学校のカリキュラムでは2年生の内容が数学や理科で厚くなっていますので、数学や理科の復習に時間を充てましょう。三年生の序盤の数学は難易度が比較的低いので慌てて予習する必要はないと思います。あくまでも復習が大切です。
 それと比べると中学二年生にとってこの一カ月が失われることは相対的に影響が大きいと思います。数学、英語、理科についてボリュームが大きく難易度が高いため、学習時間を十分にとることができないと理解が追い付かない生徒が増えると思います。その対応については後にまとめて書きます。

 高校生については圧倒的に新入生への影響が大きいはずです。普通の公立中学校から進学校に進む場合、単純に言って高校では中学校の一カ月分の学習量を一週間でやるようなスピードで進んでいきます。その切り替えのタイミングが休校によって一カ月以上遅れてしまうことになるのです。中学校でいえば一学期が丸ごとなくなるような学習機会の喪失と考えてください。それをどこかで取り戻さなければなりません。あわせて、人間ですからやっぱり休みには気も緩んでしまいます。その状態からリスタートするのは簡単ではないでしょう。その点で、新二年生や新三年生はすでに大学入試に必要な学習量をある程度把握しており、学校からの課題も出ていたりそれ以上に独自で取り組むタスクをきめていたりするでしょうから、むしろ休校によって成績が伸びる場合すら少なくないはずです。また、たとえば文系の生徒の場合は高校三年生現時点で数学や英語のカリキュラムはほぼ終わっており、あとはそれを繰り返してレベルアップするのみですから、演習の段階ですので一人でできることがたくさんあるといえます。

 中学校の新二年生と高校の新入生は要注意だと私が考える理由は以上です。この点についてはいろいろな考え方があって、これはあくまでも私見です。ましてやそれ以外の学年は油断していても大丈夫という話ではないので、その点をご理解ください。

ネット学習ツールの種類

リモート ラーニング (3)

 タイトルの画像をもう一度確認していただきながら進めていきたいと思います。今回の全国での休校措置によってインターネットで学ぶことができる様々なコンテンツが解放されています。なんとなくこの流れに乗って取り組み始めてみたいと思う方や、学校や塾から新しく取り組みを促されている方も少なくないでしょう。せっかく始めるならば効果的に使うことができるように私なりのアドバイスをしてみたいと思います。
 昨日は2種類に分けて説明しようと考えていたのですが、わかりやすくするには3種類に分けるべきだと考えなおして説明していきます

①遠隔授業型
 これは学校で行われている授業形式のものを動画視聴するタイプです。先生が黒板やホワイトボードの前で説明している映像をイメージしてください。CMでおなじみの「いまでしょ!」の先生のタイプです。ライブ配信してたくさんの生徒が同時に見るものもあれば録画を配信しているタイプ(こちらが主流)もあります。
 メリット:先生が出てくるので比較的集中して視聴可能
 デメリット:一コマが長い傾向がる/ライブは時間を合わせる必要あり
こんな感じなので、まずはこのタイプから慣れていくことをお勧めします。ただ、そもそもたくさんの人に向けたコンテンツなのと集中力を持続させるためのパフォーマンス重視なので単位時間当たりの学習効果は高くないと思います。

②中間型
 これは学習塾での個別指導や家庭教師を遠隔で行うタイプです。
 メリット:マンツーマンなので生徒も保護者も安心感がある
      わかりやすい
 デメリット:コストが高い/甘えてしまう
ここはかなり私の偏見も入っているのですが、デメリットとしてのコストと甘えてしまうということによる学習効果の低下があげられます。これはわかりやすさと表裏一体なので、必ずしもデメリットとは言い切れない面もあります。基本的に個別指導や家庭教師はその先生が自分の前にいないときの学習量が勝負を分けます。わかりやすい先生のおかげで、、、というのは長期的には結果につながらないと考えます。ただし、ひとりでぎりぎりまで積み重ねて、あと一歩のところまで来ている人には絶大な効果がありますので、ようは使い方次第。受験直前ではない今回の休校期間には向かないのではないかというのが私の考えです。

③自学支援型
 保護者の皆さんにとってはあまりなじみがないかもしれませんが、こういうタイプのツールが主流になりつつあります。私たちがわからないことがあるときに”ググる”ように子どもたちの中にはわからなことがあると”ユチュブる”子が少なくない。つまりもうわからないことを短い動画で解決してしまうんです。わかりやすい例でいうと料理サイトがありますね。ホタルイカと菜の花がおいしい季節ならこんな感じでしょうか。

こういうサイトの学習ツール版と思っていただければわかりやすいですね。
 メリット:検索して短時間かつピンポイントで学べる
 デメリット:そもそも自学力がいる/無数にあるので選ぶのが大変
私は、個人的には自学支援型のツールで勉強するのが一番いいと思います。前回も書いたように受験勉強の王道は自学自習だからです。加えて大学入試だけでなく学びをセルフプロデュースしたり、リモートでのタスク処理を高いモチベーションで遂行したりできる人材は今後確実に求められていくと考えているからです。しかし、デメリットに書いたように世の中には無数の動画がありますので、それをどのように駆使するかそしてどのようにモチベーションを維持するかについてのレクチャーがどうしても必要になるります。ここが自学支援型のツールを使いこなすためのハードルです。遠隔授業や個別指導はアクセスしてしまえばあとは相手のペースで進めることができますが、自学支援型はそうはいかないのです。これがタイトルの意味でもあります。

ネット学習ツールを使うときのコツ

 最後にこうしたツールを用いて取り組む際にだれでも使えるコツをそっと書いておこうと思います。

 一つ目のコツはテキストのあるツールを使え!です。ここが有料のツールと無料のツールの大きな違いだと思います。著作権の問題もあり教科書や市販の問題集を解説するような動画はあまりありません。動画に出てくる問題を書きとってやるというのは課目によっては非常に不便です。社会や理科などはそもそも図解無くして理解できないですし、英語だって長文を書き写すのは無駄です。手元にテキストを置いて取り組むことができるものを選びましょう。
 二つ目のコツは一人でやらないです。自学自習は孤独ですが、その孤独な学びをシェアすることは大切です。どの動画がよいか、どんなペースでやるか、あるいはZoomなどで別の空間にいても別のことをしていても一緒に勉強するという疑似空間を作ることもできます。切磋琢磨はネットでもできるんです。

最後に

 休校期間の間に学び続けることが重要だということは繰り返してきました。このコロナとの戦いは私たち大人が責任をもってけりをつけていかなければなりません。状況に応じて判断しアクションして責任を取っていく、ここでの経験値を後に活用できるように残しておくなど私たちがやるべきことはたくさんあります。
 だけど、子どもたちは最前線で戦う必要はありません。いまは学んで遊んでたくさんのことを吸収してほしい。できれば不安のない環境でそうしてほしいと願うばかりです。私にできることは自分の知見に基づいて休校中もどうしたら子どもたちが学ぶことができるかを提案することだと考えています。
 限られた経験の中からの仮説にすぎないので、参考になるかどうかは不安ですが、これからもいろいろと書いていこうと思います。
 次回「リモートラーニングはリモートでは習得しにくいという矛盾 その3」では実際に当塾でのとりくみについてご紹介したいと思います。参考になれば幸いです。

 長文を最後まで読んでいただき感謝申し上げます。
 ありがとうございました。


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