見出し画像

2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史

Reading at Home vol.8は休校中の高校生や大学生にぜひとも読んでほしい本です。瀧本哲史の本を読んでから社会に出るか、それとも彼の本と出合わずして社会に出るかによって人生は変わるとさえ私は思っています。瀧本哲史氏はそれほどの存在であると最初に明言しておきます。

彼の言葉は常に若者へのエールです。若者が次世代を自分の力で切り拓いていくためのエッセンスに満ちています。

本書の第一章(この本では第一激と称されている)の「自ら明かりを燈せ」のところで、人々が偽の絶対的存在に依存してしまったためにヒットラーのナチス政権をすすんで受け入れてしまったことを指摘しつつ、仏教の「自燈明」のことが書いてあります。少し長いけど引用します。

仏教には「自燈明」という言葉があります。開祖のブッダが亡くなるとき、弟子たちに「これから私たちは何を頼って生きていけばいいのでしょうか」と聞かれて、ブッダは「私が死んだら、自分で考えて自分で決めろ。大事なことは全て教えた」と答えました。
自ら明かりを燈せ。つまり、他の誰かがつけてくれた明かりに従って進むのではなく、自らが明かりになれ、と突き放したわけです。
これが極めて大事だと僕は思いますね。

新型コロナで休校中の高校生や、大学生活が本格スタートしない新入生のなかには、この時の弟子たちと同じ問いに対して”親切な”対応を相手がしてくれないことに右往左往している人も少なくないのではないでしょうか。
少し話がずれますが、新型コロナがある程度終息した後のライフスタイルとして厚生労働省から「新しい生活様式」なるものが提案されましたが、こんなことを政府から提案されなければならないほど、私たちは誰かの明かりを頼りに生きているということです。そんな大人たちを真似していては、とてもではないけど自ら明かりを燈すことができる人間になることは出来ません。
新型コロナの休校の後に本当に試されるのは私たちおじさんたちではなく、若者や子どもたちなのだと思います。私たちいわば旧世代がよく言えば慣れ親しんできたやりかた、悪く言えばバージョンアップを怠ってきた方法論はコロナによってほぼ否定されました。これでもまだ今までのやり方を踏襲し続ける国や地域には見切りをつけたほうがいいとさえ思います。

ただし、自分を愛し自分の家族や友人を大切に思うならやはり現状を変えるという選択肢を捨てないでほしいと私は強く思います。

そのために必要なこととして、瀧本哲史は若者に三つの姿勢を求めます。

第一に「自身のコモディティ化を全力で阻止せよ」
第二に「投資家として(投資家的視点をもって)生きよ」
第三に「カリスマに依存せず、まずは小さなリーダーになることを目指せ」

それぞれがどういう意味かについては彼の本を何冊か読むといいと思います。これについて詳しくここで語ってしまうことは、学びを阻害することになると思うので止めておきます。ぜひとも購入して読みましょう!(そっと買って机に置いておきましょう)

ついでに言うと、まだ瀧本哲史の本を一冊も読んだことがない人にはこの「2020年6月30日にまたここで会おう」をお勧めしたいと思います。これは東京大学での講演会を収録したものなので、難しい文体でもないし、参加者との質疑も含まれていて非常に読みやすいと考えるからです。
付け加えるならば、この後に「僕は君たちに武器を配りたい」を読むことをお勧めします。文庫のエッセンシャル版が読みやすいでしょう。これらを読んでから、自分の未来について考えることが若者自身の未来の可能性を変え、ひいてはこの国や世界を変えるきっかけになるのではないかと思います。

この本を紹介するにあたって、残念なことが二つあります。

一つは、20代30代は可能性に満ちているが、40代にもなればその後の人生は現在の延長線上にしかないと本書で指摘されていることです。私の心にぐさりと刺さって血が出そうでした、、、
例外になれるように私も学びと実践を重ねていきたいと思います。

もう一つは何といっても瀧本哲史氏が2020年を待たずして昨年47歳という若さで亡くなってしまったということです。まだまだ多くの若者にエールを送ってほしかった。残念でなりません。彼には遠く及びませんが、私も自分が関わる塾生たちに”激”を飛ばし続けていきたいとあらためて誓う次第です。

最後まで読んでくださってありがとうございました。
次回もお楽しみに~



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?