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全統共通テスト模試(数学)を解いてみた!

進学塾GRIP 代表 高橋正浩

休校期間もだんだんと終わりが見えてきたとはいえ、本当に長い春休みが続いています。昨年度末に休校がスタートしたときはまさかこんなに長くなるとは思いませんでした。まだ一度も新しいクラスで顔を合わせていない生徒や、それどころか入学したもののまだ進学先にもほとんど行っていない人も少なくないでしょう。
巷では9月入学についての議論も始まっているようですが、私は否定的にとらえています。今回の休校についてはほぼすべての地域で行われており特定の生徒が著しい不利益を被っているわけではないので、すべての学校で先生と生徒が協力しながら遅れを取り戻しつつ平等に入試を受けたり進級したりすればいいともいます。
こんな時じゃなければ変えられないというわりと乱暴な議論も見受けられますが、なんでも混乱に乗じて進めればいいというものではないはずです。

さて、こうして休校が続いている間に大学受験を目指している高校三年生や浪人生の皆さんが受験する予定だった模擬試験のうちのいくつかは中止になったり自宅受験に健康されたりしました。模擬試験には自分の力を試す役割全体における自分の位置を確認するという役割の二つがありますが、自宅受験ではなかなか正確な成績を出すのは難しいので、後者の方はあまりあてにならない数字になってしまいます。というわけで受験する意義は半減です。

しかしながら、来年からは入試制度も新しくなりますので、入試の動向や方向性を知るためという点で例年よりも模擬試験が重要であるともいえます。国公立大学の二次試験などの記述テストについては大きな変更はないものの、センター試験から共通テストに変更されたいわゆる一次試験のほうは数学と英語について大きな変更があります。

私もそこがやっぱり気になって、河合塾の全統模試(共通テスト模試)の数学を受けてみました。

感想としては、「かなり解きにくい」というのが実感です。数ⅠAもⅡBも時間が足りませんでした。おそらく受験した高校生や浪人生は相当戸惑ったのではないかと思います。これまでのセンター試験の対策と同じことをしていてはおそらく歯が立たないのではないかと思います。

それはなぜか?

これまでは「基本的なことを正確に早く解く」というのがミッションでしたが、今回の模試から私が受けた印象はそれとは異なり、「出題者の意図をくみ取って流れに乗る」という感じでした。ちょっと違和感を感じたのは、「論理、確率、統計といった数学の要素を身に着けたかどうかを測る」という試験であるべきですが、模試からはそのような意図は伝わってこなかったということです。

数学のセンター試験について少し書いてみると、問題そのものは難問ではないものの、もしもこれが記述式の問題であれば制限時間内に解くことができないような問題をオーソドックスな解法の流れに沿って数値を埋めていくというスタイルだと私は認識しています。本来はいくつも解法がある問題のほうが試験映えするとは思いますが、それは二次試験に譲って「基本的なことを正確に早く解く」ことができるかどうかを一次試験で測ることが目的だからでしょう。二段階選抜としては悪いやり方ではありません。
ところがこれでは数学の力を測ることができないという議論もあり、新しい学力観に沿った試験に変更しようということでした。そこで共通テストでは記述式ではなくなったものの出題のスタイルを変更するという流れです。でもそれって「じっくり考える」こととセットでなければ成立しないのではないかと思います。しかし、制度上それは今の段階では難しいので、結局こんな感じの問題になっちゃうんだよなぁというのが、今回の模試から受けた私の印象です。

模擬試験とはいえ、その道のスペシャリストが考えているわけですから本番の試験もこんな感じになるんでしょう。大丈夫かなぁ、、、

さて、話を戻すと今回の模擬試験から私が感じたことは、これを解くために必要なのは基本的な数学の力に加えて「出題者の意図を読み取る力」だと感じたわけです。具体的に言うと、出題に対する解答を”太郎と花子”が会話文の中で検討しあったりする問題があったり、データ分析において相当なボリュームの問題文を読みこなさなければならなかったりするのです。データ分析について身近なデータを使うために問題文のボリュームが増えるのは仕方ないとしても、制限時間がタイトな中でのんびり第三者の対話の中から正解を導びくことに意味があるとは思えませんでした。生徒自身の成績も重要ですが、文科省はこうした模試のデータから自分たちが身に着けてほしいと考えていることを測ることができるのかどうかについて民間とやり取りしてほしいですし、その上で作問をお願いしたいものです。

とはいえ、私も塾生をあずかる身ですからどんな試験になっても塾生が納得することができるような結果を出すためのサポートをしていかなければなりません。具体的にはこれまでの対策が試験がアップデートする前の対策であった以上、基本は同じであってもやることは変わってきます。これまでのように教科書や学校傍用問題集さえきちんとやれば、、、というだけでは現役生は思うような結果が出ないと考えるので、早いうちから対策が必要になるでしょう。したがって、まずは新傾向の出題形式にのっとった問題をしばらく解いてそこで必要なスキルを確認してから通常の数学の勉強に戻るようにしたいと思います。逆算して対策するという感じでしょうか。
それは邪道だという指導者の方もいるかもしれませんが、数学が得意でない人にとってはその方がよいはずです。

学校が再開すれば進学塾GRIPも早朝の数学道場が再開できます。再開後に朝練で鍛える内容について再考しなければならないので面倒ではありますが、こうした出題する側との知恵比べもまた楽しいものです。

そういえば、出講先ではフェイスシールドをつけての指導もしているんですが、マスクとの合わせ技によって酸欠で途中から頭が回らなくなってしまいます。早くこんなのつけなくてもいい日常になることを願って今日はこの辺でおしまいにします。

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頑張れ受験生!

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