atari

こだわりとか特になくて、でもそれがこだわりというか。

見渡せば、金色が多い。
電子タバコ、ピンセット、腕時計。全部金色。

金色が好きなの?一番好きな色は金色?

そういうわけではない。例えば、赤色も好き。
スマートフォン、ゲームのコントローラー、キーホルダー。全部赤色。

じゃあ結局何色が好きなの?一番は何色?

そういうのないんだよね。本当に。だってバランスだし。

もう少し掘り下げると、赤色が好きな時期もあれば、緑色が好きな時期もある。
一時期は、なんでも緑色であれば良かった。

上着も、中に着るTシャツも、コインケースも。キャラクターだって、目玉が飛び出てる緑色のネズミが好き。でもそれはそういう時期だったから。

はじめ、好きな色を意識したのは小学生の時だった。
ずっと青色が好きだった。
クールでかっこいいし、あとなんとなくカクレンジャーレッドにはなれないと思っていたから。でも、二番目ならイケると思ってたから。

けど、オレンジ色が好きという子がいた。
なんというか、びっくりした。
大人だと思った。
だって、カクレンジャーにオレンジはいなかったから。
オレンジ色が好き、というあの子は自分とは違う世界にいるんだと思った。

少しして、あるキャラクターが流行った。
派手な色のアフロを担いだ、犬のキャラクター。
いろんな色があった。

世界が広がった気がした。
カクレンジャーはわかりやすかった。
赤、青、黄、白、黒。
でもそうじゃない。それだけじゃない。
緑色や紫色、ピンク色に茶色。オレンジ色だってあった。

同じくらいの時、あるペンも流行った。
ペンの見た目は全部同じ銀色だけど、キャップの色が違う。
書いてみると、やはり全部銀色。どのキャップのペンを使っても、全部銀色で描かれる。
でも描いたものを消しゴムで擦ると、キャップと同じ色に変わる。
このペンで描いた手紙、キャラクターの絵をクラスのいろんな子と回しあった。
喜ばれるように、一文字一文字、違う色のペンを使った。
四角を描く時も、四辺全て違うペンを使った。

なんというか、それが正解とか、間違ってるとかじゃないはず。
いろんな色が好き。それでいいはずなのに。
世の中には、好きな色を持ってないと気が済まない人がいる。

そして分かった。
キラが好きなんだ。

いろんな色が光沢を持って輝いているあれ。
あれ何色?虹色?プリズム?

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