アップダウン

自転車のギアを変える
ガチャガチャ

普段からある、何気ない動作
ふと、彼を思い出す

「自転車のギアチェンジの音って、ダサくない？」
自分の挙動に合わせて、必死で最適を求める行為。これが彼の中のギアチェンジらしい

「で何より音がさ。ガチャガチャ、ガチャガチャって」
どうにも彼は、ギアチェンジの結果アウトプットされる音が気に入らなかったようだ

その話を聞いた時、ギアチェンジの音がダサいという一連の語感に少し笑った
一方で、ギアチェンジの音がダサいのかどうかは分からなかった

だから聞いてみたんだ
ギアチェンジの音がダサいって何？

彼の言葉を振り返る

まず、自分の挙動に合わせて、必死で最適を求める行為、について

最適を求める行為はもちろんギアチェンジに限らない
何かに対してもがき、あがく。これ自体は悪くない。あっていい

ただ必死で最適を求める、というポイントが、ギアチェンジにかかってくる、と考えるとマジで笑えるということだった
確かに笑える

そして、その結果アウトプットされる音
自分が多少走行しやすくなるためだけに出される音が、あのガチャガチャという音

「楽しようとして手首だけ動かして、ガチャガチャって音でそれがバレるじゃん。マジでダサいから嫌だわ」

そこまで聞いて本当に嬉しくなった
相変わらずとても繊細な感性を持っているんだと、感動したことを思い出す

いつも思い出す