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何も分からなかった世界が、輪郭を取り戻す瞬間がたまらなく羨ましい。

カーテンの隙間から差している一筋の光の柱が、あまりにもきれいだからそのままにしておいた。光の、まっすぐで明るいところに憧れる。暗いところを照らしてくれて、何も分からなかった世界が、輪郭を取り戻す瞬間がたまらなく羨ましい。隙間から差し続けている一筋の光も、日が落ちるにつれて弱々しくなる。雲の動きにだって邪魔されたりするから、雲の動きのことを邪魔したくなる。一筋に見える光だって、いろんな光が反射して一筋に見えているだけ。だから、いろんな光が反射して、いろんなことが不意に分かるように、輪郭を掴めるようになるから、そのときがきっとくるから。安心していいんだよ、安心して暮らせばいい、きっと。一筋の光だけを育てるように、毎日を過ごせばいい、きっと。

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