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ガードレールについた傷を撫でて、なんとなく愛しくなる

このままなんにも、分からないままでいたい気持ちだったり、全部を知りたいって気持ちだったりが体の血管を巡っていて、口から出したくもない声が漏れるような夜です。何も言わないほうがいい。何も知ろうとしなくていい。何もしなくていい。何も聞かなくていい。何も、何も、何もかも関わらなくていい。なんて、都合の良いような慟哭。歯と歯の間から逃げ出すように出ている音は少し悲しくて、細くて長い息に巻かれて外に弾き出されるけれど、逃げ場がない世界よりよっぽど綺麗な背伸びが出来るような気がします。未完成であることを、楽しんだほうがいい。頭を撫でるような優しさで回る地球。誰もいない誰かが居た部屋。感傷的な夜。ガードレールについた傷を撫でて、なんとなく愛しくなる。ほんとうにしょうもないこんな声。振動。音。響き。夜が溶ける。明日も、明後日もきっと。怖いものなんてなにもなかったね、って確かめ合う日々が、足りませんでした。情けない毎日を、出来損ないの毎日を。あなたもきっと、そうでしょう?

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