見出し画像

いい歳してセーラームーンにハマった話

 1月中旬。卒論という地獄(年明けからようやく手をつけて2万字書いた←本気で留年を覚悟した)からようやく開放された。提出し終わった直後は燃え尽きてもう一生脳みそ使いたくないなどと思っていたものの3日もすると私は暇を持て余し始めた。自粛ムードの世間で遊び回ることも出来ず、前々からいつか見ようと思っていたセーラームーンがアマプラとNetflixで配信されていることに気づき、何も考えず暇つぶしに見ることにしたのだ。この暇つぶしで沼に沈むなんて思いもよらなかった。

 最初は苦痛だった。ノーテンキで明るい主人公、夢と希望に溢れた中学生。テンションに馴染めずやや置いていかれ気味な22歳女(卒論で魂が抜けている)。こういうパンを咥えて「いっけなーい!遅刻遅刻!」と走って学校に行くような元気印キャラは自分とは正反対で好きになれた試しがなかった。根暗で友達の少ない人間の僻みとも言える。
 ネタとして捉え始めてからはようやく楽しくなってきた。敵の妖魔は女児向けにしては絵柄がホラーだし、展開のスピード感(いい意味でご都合主義っぽさ)も笑えた。さらに主人公うさぎ役の声優さんは大好きな三石琴乃さんだ。(三石琴乃さんは私の推し、エヴァのミサトさんや中学生の頃からずっと見続けている長寿洋ドラ「グレイズ・アナトミー」のひねくれ女医メレディスの吹き替えをやっている)

 変身シーンと必殺技のシーンは長いので飛ばしつつザーっと見ていくと、うさぎの仲間になるセーラー戦士が次々に登場し始めた。冷静沈着で優秀な頭脳をもつ亜美ちゃん、ツンデレ霊感少女レイちゃん。そして3人目、背が高くて喧嘩が強い、怪力少女のまこちゃん。

  まこちゃんは初登場からかっこよかった。女児向けアニメにしてはやたらガラの悪い不良に絡まれたうさぎちゃんの前に颯爽と登場し、あっさりと不良をやっつけて「気をつけてな」と薔薇のピアスを煌めかせて去っていく。え、なにこのカッコいいスケバンは!とグッときた。しかも内面は乙女チックで可愛いお弁当を手作りしちゃうのだ。これだけまこちゃんについて語っているので隠しようもないが、まこちゃん推しである。個人的に気になるのは亜美ちゃんがまこちゃんと初対面のシーンで、まこちゃんの笑顔を見て顔を赤らめているところだ。私は確かに百合の香りを嗅ぎとった。

 4人目の美奈子ちゃんを迎えてようやくセーラー戦士が揃う。美奈子ちゃんはとにかくお茶目で可愛くて、声優さんは私が大好きな洋ドラ「クリミナル・マインド」のキレッキレFBI捜査官エミリー役の吹き替えを担当している深見梨加さん。落ち着いたアルトの声の印象だったが声域が広いのかハツラツとした美奈子ちゃんのキャラは最高だった。


とにかくセーラーチームがワーワーギャーギャーやりながら敵を倒していく。けっこう抜けていたりギャグ要素も満載でとても楽しめた。何しろ暇だったので延々見続けていると数日で無印(シーズン1)の最終話近くまで進んだ。
 セーラームーンを見たことがなくてもその存在は知っていた。アニメ史上伝説となったトラウマ回。セーラー戦士全員死亡という悲劇は当時女児たちに大ショックを与えテレビ局はクレームの嵐だったのだとか。(だから後に続いたプリキュアは絶対に死なないらしい)私も覚悟して見たものの真っ先に死ぬのが推しだなんて聞いてない!!と目を覆った。自分を巻き込みながらも渾身の一撃で敵を道連れにしたジュピター...。もう戦いたくないと取り乱すうさぎと完全に覚悟を決めていて冷静な仲間たち。そもそも戦いの前に家族サービスに努めたりと死亡フラグはばっちり立てていたのだが、中学生が死を覚悟して地球を守りたいなんて思うかね......。
そして推しの死から立ち直らないうちに亜美ちゃんが死亡フラグを立て始めた。「ここは私が食い止めるから先へ進んで」なんて言って生き残るキャラがいるのだろうか。しかもマーキュリーは攻撃技を持たないのだ。亜美ちゃんも敵の武器を破壊して散っていった。さらに美奈子ちゃんも敵を倒して命を落とし、うさぎとレイちゃんだけが残った。

うさぎとレイちゃんは絶対的に信頼関係がありながら顔を合わせると子供っぽい喧嘩をする姉妹みたいなものだった。誰よりうさぎが好きだろうに世話のやける妹のようにあしらうレイちゃんを私はひっそりツンデレイちゃんと呼んでいる。最後に残るのはレイちゃんだろうなと思っていた。仲間の死に涙を流すうさぎを引っ張って先へ進みながら「喧嘩ばかりだったけど楽しかったわ」と静かに語りかける。そして引き止めようとするうさぎに「やーね!死ぬって決まったわけでもじゃないでしょ!」と笑顔で敵に向かっていったマーズは一人で2体も敵を倒して息を引き取った。

 この回はセーラー戦士が命を落としたことより、うさぎの反応の方がトラウマなのではないだろうか。いっそ大泣きして感情を爆発させてくれたらここまで悲しくならなかった。うさぎは呆然と表情を無くして立ち尽くした。きらきらしていた目が虚ろで、アニメ的には相当クる画になっていた。そして戦いを放棄するように座り込んで「これは夢だ」と泣きながら呟く。そこで散っていった仲間の幻(亡霊とは言いたくない)に励まされるのだが、まこちゃん亜美ちゃん美奈子ちゃんが励ましの声を掛け、最後にレイちゃんの「うさぎ、立って」という声にうさぎは反射的に立ち上がる。ここだけでこの二人の絆の強さが感じ取れてイイ。最後に背中を押すのはやっぱりレイちゃんなのだ。

 実はこの回の少し前からうさぎ役の三石琴乃さんが急病でクライマックスは代役の声優さんが担当した。セーラー声優チームは三石さんの分まで、と全力以上の力を発揮したようでセーラー戦士たちの断末魔がガチすぎるのもこの回の凄みを増している。三石さんはさぞ無念だっただろう。ワンピースのロビン役の山口由里子さんがエニエスロビー編のロビンの一番の見せ場の時に産休で参加出来ず大変悔しかった、という話を思い出した。まして三石さんは主役で最終話も近かったのだから計り知れない。私もこの回は三石さんの演技で見たかった。個人的に三石さんは演技の天才だと思っている。セーラームーンの影響とご本人の雰囲気で明るいキャラクターが似合うように感じるが、三石さんの魅力はむしろ大人の女性の方が分かりやすいのだ。エヴァの15話は鳥肌モノだしグレイズ・アナトミーの絶妙なニュアンスでテンポの早い掛け合いは本当に神業だ。

 セーラームーンは無印→R→S→SS→スターズ(→割と最近になって作られた原作準拠の新シリーズ)とだいぶ長いシリーズなのだが、Rの劇場版は特に素晴らしかった。まず冒頭のお出かけでみんながバスに乗っているシーン。このシーンは主題歌ムーンライト伝説が流れる中で画だけでサラッと流されるところなのだがその席順が問題だった。前からレイちゃんと美奈子ちゃんが和やかに談笑していて、次にうさぎとちびうさ(未来からきたうさぎの娘、幼女)がお菓子の取り合い、そのまた後ろに本を読む亜美ちゃんと頬杖をついて窓の外を眺めるまこちゃん。この最後列二人の雰囲気にやたら目を惹かれて冒頭のほんの10秒ほどのシーンを延々とリピートしてしまい、起承転結の起に辿り着くのに数十分を要した。この二人から微かだか確かに百合の香りがする!

と私が繰り返しまこちゃんと亜美ちゃんの関係を疑うのはまこちゃんは両親を亡くして一人暮らしで、亜美ちゃんは仕事に忙しい母との二人暮し。孤独を知ってる人間は同じような孤独を持つ人間を求めるものだし、二人とも精神年齢が高そうだから自然と心地いい雰囲気になる気がする。ただ、惚れっぽいまこちゃんは失恋した先輩のことを引きずっている。(キャラソン「あなたのせいじゃない」もやたら雰囲気のある失恋ソングだった。まこちゃん役の篠原恵美さん(音大卒)が圧倒的な歌唱力と表現力を発揮した結果、もはや中学生とは思えない仕上がりでかなり味がある曲になっている。しかもサビがベルばらのオープニングと同じコードなのか「バラはバラは♪」と歌える。)個人的にはその惚れっぽいまこちゃんを見つめる亜美ちゃんがモヤモヤしつつそれを嫉妬とも気づかないくらいが一番美味し(ry

 話が逸れてしまった。映画では何やかんやあって最後にみんなのパワーを集めて地球を救うという展開になるのだが、ここでmoon revengeという神曲が流れる。声優陣が歌っているのだが2番のAメロからソロパートとなっていてそれぞれがうさぎとの思い出を反芻するのだ。セーラー戦士たちはうさぎと出会う前は周囲に馴染めず孤独を抱えていて、うさぎの無邪気な明るさによって救われていた。こんな回想シーンここで流されたら涙腺決壊するに決まってるだろ演出最高か!あとまこちゃん役の篠原さんの歌唱力えげつない!と鼻を啜りながら言うことしかできない。
パワーを全開にした結果、危機を脱したもののうさぎが倒れて目を開けないというところで一番必死なのはやはりレイちゃんだ。「うそつき!あんた死なないって言ったじゃない...」と無印のトラウマ回と立場が逆転しているのが憎かった。あの時みんなを救えなかったうさぎのリベンジ。それがmoon revengeということなのだろうか。うさぎはタキシード仮面(前世からの恋人的な人。よく攫われたり意外とか弱い)のキスで目覚める。めでたし。

 そんなこんなで物語は続く。私はただまこちゃんという推しを追いかけ、レイちゃんとうさぎの友情にほっこりして平和ボケしていた。
そんな時事件が起きた。

カリスマの登場だ。

男装の麗人天王はるかと上品なお嬢様海王みちる。
登場するやいなや「どぅ〜どぅ〜♪」とやたら雰囲気のあるBGMが流れ、画面の中で薔薇の花びらが舞った。
高校生ながらはるかは天才レーサー、みちるはヴァイオリニスト、そして画家として地位を固めていた。なんだそれ。しかもこの二人何だか異様に距離が近い。微かな香りなんてものじゃない。むせ返るような百合の匂いがする!

二人が登場するたびに花びらが舞い、どぅーどぅー鳴る。主人公でもないくせにいきなり空気を(そして作画も)変えてしまう。主役は遅れて登場ってか?!と思っていたが正直セーラー戦士たちの無垢で明るい雰囲気が精神的にキツくなってきていたため(子供向けってそういうとこあるよね)ミステリアスで百合の香り漂う二人に興味が湧いてしまった。絵面が美しく、はるか役はなんと緒方恵美さん!うさぎを「子猫ちゃん」なんて呼んで歯の浮きそうな台詞で誑かすのだが、エヴァのシンジがミサトさんに「大人のキスよ。帰ってきたら続きをしましょ」と送り出されるシーンを思い出すと面白い。

 二人は新たに登場したセーラー戦士でセーラーウラヌスとセーラーネプチューンに変身する。
変身し始めるとヴァイオリンの華麗で優雅な音楽が流れるのもカリスマ感がある。私はこの二人の変身シーンや必殺技シーンは飛ばしたことがない。むしろリピートする。はるか→ウラヌスの変身はカッコいい。髪をかきあげて伏せていた目がキラっと開かれると一瞬目が合ったような気がしてドキッとする。風の音が入っているのも流石だ。必殺技は手のカットから入るのが最高にかっこいい。あのデュン!という音が好きすぎて何度でも見れる。みちる→ネプチューンの変身は美しい。髪のかきあげ方が優雅で、一瞬可愛らしく首を傾げるのがポイントだ。しかもみちるさんはタレ目というのが個人的に最高にツボに入った。二人とも必殺技の破壊力が本当にえげつないのも素晴らしい。どっかのタキシードよりよっぽど頼りになる。

二人は自分たちの使命を絶対としながら、しかし手を汚すことに躊躇いがないわけではなく苦悩する。そしてお互いだけを信じて支え合う運命共同体なのだ。エモーショナルが過ぎる。うさぎたちの純真さが眩しくなってきたところでこの影の部分を担う二人はことさら目を引く。世界を守るには綺麗事だけでは済まない。犠牲がでるのは仕方がない。そんな二人と博愛主義のセーラーチームは相容れず対立してしまう。

106話では二人の出会いが回想されてこれまた素晴らしかった。セーラー戦士になる者は何かしらその予兆を感じ取るらしい。はるかは自分の運命から逃れようともがいていて、みちるは戦士として覚醒済み。みちるははるかも戦士になると気づいていて接触を図るが、はるかは冷たい態度をとる。
みちるははるかを豪華クルーズの演奏会に招待した。
はるかはみちるの描いた世界の終末の絵を目にする。この絵がまた恐ろしくて中学生が描いたなんて精神面が心配になるレベル。しかしただの空想ではなくみちるはこの光景を予知しているのだ。あなたもそれを感じるはずだと問い詰められ反発するはるか。

「馬鹿らしい。僕は日本初のジュニアレーサー、天王はるかさ。前世の記憶も世界の終末も、僕には関係ない。誰かがやらなければならないなら、君がやればいいさ。僕のことを勝手に調べるのはやめてもらいたいな」

「勝手なこと言わないで。私だってごめんだわ。私にはヴァイオリニストになるという夢があるの。世界を破滅から救うなんて馬鹿馬鹿しいこと、やってられないわ」

喧嘩別れした二人。その後はるかの目の前に敵が現れはるかが覚醒しかけたとき、駆けつけたみちるが「それを手にしたら二度と普通の生活に戻れない」と止め、その場でネプチューンへ変身する。この敵というのが人間が妖魔に変えられてしまったものなので実質人間相手に戦っていることになる。敵に攻撃をしかけてトドメを刺そうとするみちるをはるかが止めるがみちるはこれ以上犠牲を出さないため手段は選ばないと告げる。そこで敵が体勢を立て直しはるかを狙い、庇ったみちるが怪我を負いながらも間一髪で敵を倒した。
 敵が元の人間に戻ったことに安堵の表情を浮かべながら、しかし次はきっと殺すだろうと呟く。人間相手に戦うことが平気なわけではないが、それが宿命だからと。このシーンで明かされるみちるの想いはあまりに切なくて女児向けアニメがラブストーリーのクライマックスに見えた。

「私は、あなたがもう一人の戦士だからあなたのことを調べたんじゃないの。
あなたがその人と分かるずっと前からよ…。
あなたが初めてレースに出た時に、近くで見ていたわ。
一度でいいからあなたの車で海辺を走ってみたかったな……。
あなたは誰にも甘えられない人。そしていつも自分の気持ちに素直な人。私はあなたのことを、あなたよりよく知っているの。だってずっと見てたんだもの。 あなたにだけは、私と同じ道を歩んでほしくないの。 ただあなたが、その人だと分かった時、私、嬉しかったな……。
ごめんね…こんなこと、話すつもりなんかなかったのに...」

はるかはみちると共に戦う道を選んだ。

 この二人は登場以降うさぎたちと絡みを見せながらも、戦闘中に颯爽と現れ使命を第一に動くかイチャついて視聴者を惑わしているかで等身大の人物像が見えていなかった。しかしこの回で普通に生活して夢を追いかけたいという年相応の願いがあって、それを戦士としての使命のために犠牲にして戦っていると明かされるのだ。これ以上沼を深くしないでほしい。


そして極めつけ、伝説の110話。冒頭から女児向けアニメとは思えない演出。この回は演出が本気すぎてかなり芸術性が高い。そのくせ敵にやたらコメディの才能があるので視聴者は心配したり笑ったり感動したりと忙しい。

「ずるいじゃないか。自分だけの世界へ行くなんて。僕を置いていくなよ。」

視聴者を置いていくなよ。
ついに二人の使命がかかった正念場。使命を果たすには犠牲になる人間を見殺しにしなければならない。(どうせこの手は汚れている)と自分の手を見つめるはるかを何とも言えない表情で見つめるみちる。おもむろに近寄ったみちるははるかの手を取って自分のそれと絡める。この画がやたらとエロチックで目が離せない。

「はるか、大丈夫よ。私はあなたの手が好きよ」

使命は一旦置いといて、とりあえず式場へ行ってどうぞ。いや、式場が来い。
はるかは宝塚の男役のようにとにかくカッコよくて戦闘力も高いが、実は精神的にはみちるの方がずっと強い。みちるははるかと一緒なら、はるかのためならなんでも出来るし、はるかが苦悩すればその姿に心を痛める。そしてそれをモノローグで語ったりせず黙って目を伏せるような奥ゆかしさがいい。相方のはるかが苦悩型で(生きるべきか死ぬべきかそれが問題だとか言うのが似合う)葛藤が分かりやすいだけにみちるの強さが引き立つ。みちるの指針はいつも一つ、はるかだ。そのブレない芯の強さがいい。ルックスやキャラ設定の緻密さに反してシンプルで純粋な内面。はるかが一緒なら問題なし。お上品なお嬢様キャラなんて一見すると女子ウケが悪そうだが、健気なくらい深い愛ではるかに寄り添うみちるの強さに惹かれていくのは時間の問題だ。
 この二人、こんなにもお互いがいないとだめなのに「互いにもしものことがあっても助けたりせず生き残った方が使命を果たす」なんて約束をしているのだ。案の定守れはしなかった。
みちるははるかの危機にボロボロになって駆けつけて命を落とす。このシーンはベルばらのアニメ版でアンドレが死ぬシーンを思い出させる。はるかは「ずるいじゃないかみちる、自分だけの世界へ行くなんて」と使命を果たす前に後追い自殺のような真似をしてしまう。あなたはどうしてロミオなの。

 何だかんだその後二人は復活するのだが、その後のシリーズでもこの二人の思わせぶりな振る舞いは本当にゴールデンタイムの子供向けアニメかと首を傾げたくなるほど怪しかった。いやまじで。世紀末って怖い。そして人々はこの二人をこう呼ぶようになったのだ。

百合界のカリスマ


それではここで二人の名(迷)言集を見てみよう。(どうしてもやりたかった)

ファーストキスの話で盛り上がるうさぎたちにキスのトリビアを語った後で
みちる「ファーストキス...大切にしたいわね」
(ここではるかと意味深に見つめ合って微笑む)

夕暮れの海辺をオープンカーでドライブしながら(※高一です)
はるか「このままずっと二人で走ろう。今夜は帰さないぜ」

みちる「休日の公園にいるのはデートのカップルか鳩だけよ」(休日の公園にペアルックで来ているあなた方はそういうことでよろしいんザマスか?)

組んだ腕を引っ張るみちるに
はるか「痛いよみちる...もっと優しくしてもらいたいな」
みちる「よくってよ。あとで二人っきりになったらね」

みちる「大人になった方が、楽しいことがいっぱいあるのに。大きなお世話よね。」
はるか「(赤面して咳払い)」

はるか「みちるが僕以外の誰かに目を向けるのが許せない」

はるか「寝言はベッドでしか聞かないことにしている」

はるか「僕の切れ味は、鈍ってないはずだけど?」
みちる「試してみる?」
はるか「二人きりのときに、ゆっくりとね...」

みちる「はるかのいない世界なんて、守ってもしょうがないじゃない」


こんなやり取りを視聴者はほぇーと口を開けて見つめ、ハッ!なんだったんだ今のは?!と巻き戻してしまう。そうして笑ったり惚れたりしているうちに沼に落ちているのである。私も気がついたら「あ〜愛しいあの人、お昼ごはん何食べたんだろう?」みたいな状態になっていた。油断は禁物だ。ちなみにキャラソンのモノローグなんかはラブレターそのもので大変なことになっている。

二人の関係は共依存に近くお互いがいないと生きていけないだろうに、二人が寄り添っているのを見ると、まぁそんな愛も幸せだよなと思ってしまう魅力がある。この説得力こそカリスマがカリスマたる所以なのだ。
他にも二人の前世だとかその無限の孤独だとか沼どころか深海まで沈むポイントは山ほどあるのだが、これ以上語ると長くなってしまうので(もう十分長いか笑)この辺にしておく。

セーラームーンシリーズは、スターズまでの旧アニメシリーズから長いブランクを経て原作準拠のシリーズcrystal、その続編完結映画Eternalが製作された。この新アニメ版はうさぎ役の三石琴乃さん以外の声優陣が一新されたのだが、個人的にはそれが惜しくて仕方なかった。雰囲気は掴んでいるし、これはこれでアリともちろん思うのだが、「おかえりなさい」と言いたいのに「初めまして」になってしまうような感覚だ。

私はまこちゃんの力強さと可愛さを併せ持ちながら上品な響きの声が好きだったし、美奈子ちゃんのお茶目な喋り方もレイちゃんの情熱的で気が強いのに温かみのある声も大好きだった。親の声より聴いた気がするカリスマのやり取りもやはり変わってしまって、最近イッキ見したばかりなのに長年慣れ親しんだものと別れたように寂しかった。
サザエさんがCG化されて声優陣も一新された、となったら国民全員が同じ感慨に浸るだろう。

とはいえ素晴らしい部分ももちろんあった。特にエンディングテーマのカリスマのデュエット曲には震えた。また罪深いものを。私なんかは延々リピート再生しているうちにうっかり第3のパートを作ってしまい、カリスマとハモる遊びにハマってしまった。運転中の私はカリスマと一体化している。とても楽しい。


ところで、primaniacs(プリマニアックス)というキャラクターフレグランス専門店がある。
私は地味に香水を集めていて、これほど魅力的なものは他になかった。セーラームーンのキャラクターフレグランスがあったのだ。買わないなんて選択肢はなく、私はまこちゃんとカリスマの計3つの香水を手に入れた。3つともいい匂いで気に入っているのだが、注目すべきはその配合だ。カリスマ二人の香水はミドルノートとラストノートに同じ香りが使われていたのだ。うわぁエッチだ。
 しかしせっかくここまで公式がお膳立てしてくれたのだから当然遊んだ。左右の手首にそれぞれの香水をワンプッシュして、手首をグルグル回せばカリスマの香りに包まれる。満面の笑みでこんなことをしているのだから、人が見たら気が触れたと思うだろう。別にどうだっていい。私の手首はカリスマの香りなのだから。どぅーどぅー歌いながらグルグルしてやるもんね。

原作漫画ももちろん読んだ。細かくは書かないが、アニメではツンデレだったレイちゃんはクールビューティーなお嬢様でこれはこれで最高。みちるさんが意外とJKらしいJKの姿で描かれているところも新鮮だった。そしてまこちゃんが本当に可愛らしい。

映画も見に行ったし一番くじもやったしその他ランダム入りのグッズも買った。セーラームーンストアにも行った。大変な散財だった。反省はしているが後悔はしていない。

こんなに長々と書いたが、本当にセーラームーンにハマったというだけの話だった。書いといてなんだがこんなの読む暇があったらセーラームーンを観てほしい。なんなら「百合界のカリスマ」と検索して出てきた動画だけでも見て欲しい。多分通勤電車での地獄の時間があっという間に過ぎるはずだ。

一つだけ忠告させていただく。セーラームーンを見ていると声優さんが気になってくることもあるだろう。何せ長いシリーズなので推し声優の他の出演作を挟みつつ見るのもいい。ただ、「おるちゅばんエビちゅ」だけは間に挟んで見るのはやめておいた方がいい。うさぎ役の三石さんとレイちゃん役の富沢美智恵さんが共演していて庵野秀明氏も関わっている作品なのだが、とにかくお子様には向かない「汚いハム太郎」なのだ。具体的に言うとご主人ちゃま(富沢さん)が飼っているエビちゅ(三石さん)というハムスターがとんでもない下ネタを言いまくる。何それ面白そう。わかる。でもセーラームーンの合間に見てはいけない。子供向けアニメを見るのに一番大事なのはノリとピュアな心だから。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?