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【#金魚飼育研究】金魚の寄生虫対策〜原因不明の症状があるとき

はじめに〜原因不明の不調

金魚飼育を始めてから、欠かさず水換えをして、定期的に細部まで洗い、フィルターを交換し・・・と様々なお手入れを欠かさずしているにも関わらず、金魚が死んでしまう。病気になった金魚を抗菌薬で薬浴や塩浴し、ちょっと持ち直したかな。と思うけれどもまたすぐ崩してしまう。見た目にはほとんど変わりはないけれど、段々と元気をなくしていく・・・
結構な数、こういう方がおられるのではないかと思います。

もしかしたらそれ、寄生虫かもしれません。

私の経験上、どんなに良い店から購入してきても、必ず金魚には何かしらの寄生虫がついています。そして一旦駆除しても必ず季節で復活してきます。

金魚の寄生虫の症状は一見してほとんど症状がわかりません。
※ここでいう寄生虫感染は、目に見えてわかる白点病(ウオノカイセンチュウ)やウオジラミ、イカリムシなどを除いた原虫系の寄生虫を指しています。

単生虫類(ダクチロギルス、ギロダクチルス)
旋毛虫類(トリコディナ、キロドネラ)

旋毛虫類は特に症状が進むと、赤斑病のような症状を発生させます。赤くなってしまった=赤斑病=グリーンFゴールドやエルバージュと脊髄反射しがちですが、特に腹やヒレの付け根が赤く充血する症状は、サルファ剤でいくら薬浴しても治りません。

サルファ剤薬浴では治らない赤斑
※注 薬剤はサルファ剤とメチレンブルーの混合

そんなとにかく厄介な寄生虫感染について、私の経験を書いていきます。

なぜ寄生虫がついているのか

金魚の寄生虫は様々あります。緊急度の高いエラに寄生するものから、体内に寄生するものまで様々です。
金魚に寄生虫がなぜついているのかというと。


元々ついているからです。


アクアリウムショップや金魚卸から金魚を買ってくることがほとんどだと思いますが、お店に来る前、ほとんどの金魚は外の池で飼われています。
池から上げられた金魚には実に様々な寄生虫がすでにくっついています。

そして色々な流通を経て、そこでも新たな寄生虫がくっついたりするかもしれませんし、新たな細菌にもさらされて家までやってきます。

私たちはそうした流通に乗った金魚の中からなるべく元気な子を選んでお迎えしてくるのです。

もちろん、高級な金魚を取り扱うお店では入念なトリートメントをし、健康チェックがされています。お店によっては寄生虫対策をしっかり行なってくれている店もあります。

が、私の経験上、ほぼ100%寄生虫を持って家までやってきますし、家でも駆除した寄生虫は気温が不安定になる時期に必ず復活してきます。

ほとんど必須なのに、ほとんど対策されない寄生虫対策

まず最初に、金魚を長生きさせるためには寄生虫対策は必須です。必須にも関わらず、一般家庭ではほとんど対策されません。

理由はいくつかあると思いますが、寄生虫対策がほとんどされない理由の一番は、【見た目ではほとんど症状がわからない】という点だと思います。

エラに寄生されると、酸欠になるため、かなり早く目に見えて活性が下がってくるので、比較的すぐにわかるのですが、体表や体内への感染だと数ヶ月かけて金魚の体を蝕んでいきます。
なんだか痩せてきたな、特に怪我をするようなこともなかったのに、ヒレが裂けたり裂けやすくなった。(尾ぐされ病のように裂けたヒレが白くなっていない、スパッとキレている、壊れた傘のようにボロボロになったりします)体表には何もないし白点もでないけど体を擦り付けるような泳ぎ方をする(ローリング)そんな魚がいる時は要注意です。
因果関係はわからないのですが、魚の数に対し比較的水量の少ない環境で進行が早い印象があります。

寄生虫感染が進むと、細菌感染を併発することも多く、多くの人はここで症状に気づき、対策をすることになります。体表が赤くなったり、消化不良を起こしたり、浮いたままになって活性が低くなったりしてきます。

そこで使うのは大体、抗菌薬になります。すると細菌感染は一時的に収まり、魚も元気になったように見えますが、抗菌薬は寄生虫を一時的に抑える程度の効果しかなく、1ヶ月程度経つとさらに症状が悪化して再発するのではないかと思っています。

寄生虫対策ができていないと、結局、弱い金魚から弱っていき、薬浴を繰り返すことになり、金魚が長生きしないという結果につながっていくのです。

金魚飼育が長い方であれば、なんとなく思い当たる節があるのでは、と思います。

寄生虫対策は金魚が元気なうちに行う

金魚の根本的な寄生虫対策は、季節ごとに行うのが一番だと思います。
特に水温が変動しやすい春と秋は必ず実施したいです。
金魚も特に症状が出ていなくても行います。

しかし、ここで問題があります。
寄生虫対策を実施するには高い壁があります。

それは・・・

薬がほとんどない。

ということです。昔は許可されていたけれど、現在は使えない薬もありますし、素人が取り扱うには取り扱いが難しすぎるというものもあります。
※ホルマリンや過マンガン酸カリウムなど。

ですので、ここで紹介するのは2つ。
プラジクアンテルとトリクロルホンです。

トリクロルホン系の薬剤は、かなり魚毒性が高いように思います。この薬を使ったことで調子をくずす魚もいます。個人的にはちょっと使いにくい薬だと思っています。

ですので、私は魚毒性の低い、プラジクアンテルを主に使って季節の寄生虫対策を行なっています。

薬事法の関係なのか、プラジクアンテルを液体に溶かしとても使いやすくしたプラジプロという製品があるのですが、日本では買えません。
海外からの個人輸入で手に入れる必要があります。
効果も比較的マイルドで、予防やトリートメントにはとても使いやすいのですが簡単に手に入れることができないのが残念です。

日本では、粉末のプラジクアンテルが販売されています。
商品名はハダクリーンやプラジクアンテルとして販売されています。
プラジクアンテルは高価なのが難点ですが、大切な金魚を長く飼育したい、金魚が長生きする環境を整えたいという方にとっては安い出費だと思います。

プラジクアンテル(粉末)の使い方

薬浴の場合

必要なもの(100リットル分)

  • プラジクアンテル3g

  • エタノール 10ml

  • お湯  適量

使用方法は簡単です。
プラジクカンテル 3gをエタノール10mlでよく溶かします。
よく溶かしたら、お湯を入れペットボトルなどに入れてよく振ります。
その後、少しずつ水槽に入れていくだけです。水換えをしっかり行なった後に実施するようにし、薬浴後は24時間経過したら水が汚れやすくなっているので、早めに水換えをします。
体表にいる寄生虫は24時間でほぼ落ちます。

このプラジクカンテルは水には溶けません。
どんなによくエタノールに溶かした後もお湯の中で粉が舞うような感じでダマになると思います。

エタノールに溶かしてそのまま水槽に入れる方法もありますが、少なからずエタノールの影響があるので、私はお湯でエタノールを飛ばしてから水槽に入れるようにしています。

水槽にプラジクアンテルを入れると、寄生虫がついている魚は数分以内にヒレを震わせたり、エラを激しく動かしたり、ローリングしたりすると思います。

プラジプロに比べて、魚の反応が早く、激しく反応します。
いずれも、体表についている寄生虫がモゾモゾと動くせいなのか、魚は激しくかゆがります。

中には激しくぶつける魚もおり肉瘤が充血してしまったりするので、スレによる二次感染などをなるべく起こさないよう水換えをしっかりした後が良いと思います。また、飛び出しなども気をつけたいところです。

薬餌の場合

プラジクアンテルは体内の寄生虫にも効きます。
繰り返す消化不良(絶食をさせてもすぐに消化不良を起こす)や、妙に痩せてきたな、という場合は、体内の寄生虫を疑っても良いと思います。
悪化すると手遅れになる場合が多いと思います。

現在は、パラクリアというハーブなどを使った寄生虫予防&駆除ができる餌があります。症状が出てからだとちょっと効果が遅い(1ヶ月程度かかる)のと、この餌自体がちょっと消化不良気味になる傾向があるのです。餌としてあんまり調子がよくないので現状は、常用に至っていません。※パラクリアの使い方はもう少し研究したいところです。

  • いつもの人口餌 100g

  • プラジクアンテル 1g

  • 食用油 2g(スプレーできると⚪︎)

食いつきが悪いようであれば、砂糖(2g〜3g)を添加するという方法もありますが、そこまで食いつきが悪い経験がないので、砂糖は入れていません。
人口餌にプラジクアンテルを満遍なく混ぜたら、食用油をスプレーしてさらによく混ぜます。(手で混ぜる時は手袋をしましょう。)
色が白から元の餌の色に近くなったらキッチンペーパーなどの上に出して余計な油を取ります。

これを普段の餌として症状がなくなるまで与えるとよいと思います。

季節の変わり目と新しい金魚を導入するときに

少なくとも我が家の金魚水槽(屋内)は、夏は3日に一度、冬は長くとも1週間程度で水換えをしています。※水温は17℃〜30℃で冬眠するほど水温は下がりません。

それでも季節の変わり目には、プラジプロやプラジクアンテルによる寄生虫の駆除が必須だと感じていますし、新しい金魚の導入時の安心感は段違いです。これをするしないで、新規導入した金魚の生存率が段違いです。

エラや体内(消化不良を起こすほどの)寄生は、致命的ですが、体表にちょっとついているという程度であれば、平気にしている魚もいます。
ですが、1匹、また1匹と調子を崩していきます。特に体内の寄生虫については、ゆっくりと半年程度かけて進行していくので、なんだか見た目がずいぶん変わったなぁなんて思っているうちにさまざまな症状を発症して、最終的に落とすことになります。
消化不良の段階で、一度絶食をしても治らない。というような場合は、体内の寄生虫を疑っても良いと思います。

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