まちだガールズ・クワイア『オリオン座流星群』の感想(とりいそぎ)

音源を聴いての各曲の印象などを。
とはいえ、歌声に音響・照明・ダンスがついてこそ楽曲の完成という感もあるので、ライブで見たらすぐに違う事を言い出すと思う。

1.星めぐりの歌
 お祭りのステージに出演するときに出番前のリハ代わりに『赤とんぼ』をアカペラで歌い、そのコーラスで客席を驚かせていた頃を彷彿とさせる、美しいコーラスの魅力を最大限に活かし、聞き手を一気にアルバムの世界観に引き込む楽曲。
 アルバムを聞き慣れてきてシャッフル再生する時も、とりあえずこの曲が最初に来ると嬉しい気がする。

2.プラネタリウムのある町で
 冒頭2曲で、良い意味での『みんなのうた』感を出せるのが、アイドル界隈を主として活動するまちガの最大の特長であり武器であるという感も。
 キャッチーかつポップなメロディと歌声の裏で流れているトラックの演奏が、ゴリッゴリにカッコ良いというギャップも楽しい一曲。

3.星空のシンセサイザー
 初めて聞いた時は歌詞の遊び心に多少なりとも驚いたけれど、よくよく聞くとこの曲の歌詞の雰囲気こそ、まちガメンバーの普段の雰囲気にマッチしてしる気がしてきたりも。
 「歌い上げる」というよりも「口ずさむ」という表現のほうが合っている歌声も、『歌を楽しむ』というグループのコンセプトを彷彿とさせるのも楽しくて。

4.銀河ステーション
 あいねさんの歌唱力の進化も感慨深い再録版。
 後半のトラックで鍵盤が大きくフィーチャーされているところは、最近(とはいえかれこれ2年くらい前くらいから)の鍵盤重視なアイドル楽曲に通じるものを感じたりも。
 そして間奏のギターソロの余韻がコーラスに重なるアレンジによってライブ感が増しているのも印象深かったり。
 アウトロのギターソロはそれなりにフレーズが変わっているけれど、それに合わせて振り付けが変わったりするのかも楽しみで。

5.ひとつぼしポラリス
 打ち込みによるキラキラ感のあるトラックと、歌謡曲を彷彿とさせる歌のメロディが重なる、スッと心に染み込みつつも、気づけばハートを掴まれているという不思議な感触の楽曲。
 冒頭のソロ回しもライブで見られるのが楽しみ。

6.Voice In Space
 リバーブ強めなコーラスに文字通り包み込まれる心地よさを、高い音響機器を揃えた部屋で体験してみたい楽曲。
 愛しい誰かに呼びかける歌詞を歌い上げる、大人なまちガの歌声も新鮮な感が。

⑦セブンスターズ
 個人的には本作での一推し曲。
 もえかさんが歌い上げる力強く優しいソロから、華やかなコーラスに繋がる冒頭の展開は、何度聞いても心を掴まれるキャッチーさが素敵すぎて。
 まちガ自身を描いているようにも取れる歌詞を歌い上げる歌声が、グループの(アイドルとしては)長い歴史の果てに、ようやくはっきりとした一つの答えを見つけたような清々しさに満ちているのもとても印象的。
 余談ながら、同じく永原真夏さんが楽曲を提供しているSUMMER ROCKETとの対バンで聞いてみたいし、さらに余談を述べるならサマロケによるカバー版も聞いてみたい気持ち。

8.Moon base
 シングル版と比べると、もえかさんの声が少し抑え気味になっていて、コーラスを強調しているアレンジという感。
 この曲を爆音系のハコのフロアが揺れる重低音で聞いてみたいとは常々。
 楽曲とはあまり関係ないけれど、オリジナル版含めて各所でタイトル表記が揺れていて、Moonとbaseの間にスペースを入れるべきかいつも迷う一曲。(まちガ版はスペース有りで統一されているかも?)

9.遊星少女マチルガ
 インディーズアイドル曲としては珍しい気もする、ホーンセクションの音がしっかりしたトラックが印象的。
 歌詞のポップさには『星空のシンセサイザー』と通じるところを感じたりも。
 スカに鼓笛隊的な要素を加えた曲調は、なかなかアイドルイベントでは聞かない曲調なので、照明・音響演出がどうなるのかとても楽しみ。

10.星ノ栞
 初めて聞いたときには、イントロにLiLii Kaona楽曲のコンセプトであるオーガニカの空気感を強く感じて、出だしの歌声がKOYUKIさんではないことに少し驚いたりも。
 こちらも三嶋さんの特徴でもある大人の切なさに溢れた歌詞を、まちガメンバーがしっとりと歌い上げているのも新鮮、なはずなのだけれど楽曲とマッチしていて全く違和感を感じないのがすごい。

11.ブラックホールと太陽
 バッチバチにテクノなトラックに重なるコーラスは、合唱的なコーラスというよりもボコーダーアレンジされた歌声に近い印象。
 『遊星少女マチルガ』同様、楽曲の圧倒的なテンションの高さをどのようにステージ演出で表現してくるのかが楽しみな一曲。

12.宇宙のしがらみ
 ショーキチさん、もしや志賀さんのことを思って?という歌詞にニヤニヤしてしまう楽曲。
 しがらみという、ともすればネガティブに捉えられがちな繋がりを「I love you」と言い切ってしまうショーキチさんの博愛精神のカッコ良さも。
 志賀さん楽曲、ということでラップ曲が来るかと思いきや歌モノ楽曲だったという驚きはありつつも、ストリングスが華やかに彩る、疾走感に溢れた展開に聞いていて気持ちも上向く一曲。

13.くじら座のミラ
 『宇宙のしがらみ』と同じくストリングスをフィーチャーしつつも、全くイメージが異なるところも印象深い曲。(そしてそこはかとなくアレンジにキンモクセイの香りも感じつつ)
 個人の物語を宇宙のスケールに例えるという点で、このアルバムのコンセプトを最も凝縮しているという感も。

14.オリオンのベルト
 「これぞ石田ショーキチ(さん)プロデュース楽曲!」という雰囲気に溢れた、前を向き突き進み続ける力強さと優しさの詰まった一曲。
 前回のオリジナルアルバムからも、最後のシングルからもかなりの期間が開いて、正直活動ペースが心配になることもあったけれど、アルバムの最後にこの曲を入れたということは、まだまだ活動に区切りをつけるつもりはないのだろうな、と思わせてくれる。

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