トーマス・ロックリー氏の弥助問題の経緯と現状


はじめに

私の見解はこれです(2024年7月23日現在)。

アサシンクリード(アサクリ)シリーズについて

アサクリというのはUbisoft(「UBI」と表記されることも多い)が出しているゲームのシリーズの名前です。すごくざっくりいうと「ドラクエ」みたいなものです。

今回炎上しているのはその最新作である「アサシン クリード シャドウズ」の歴史考証がおかしいのではないか、というところに端を発します。

経緯

話の流れを時系列で追ってみます。早期に深いところまでたどり着いた人、後から追いかけた人が混在しているため、貼っているツイートのタイムスタンプが前後することはありますがご了承ください。

アサクリ期

公開されたトレーラーの動画から、時代考証がめちゃくちゃであることが指摘され始めます。

まだこの段階では笑えるトンデモくらいのものでした。「たかがゲームでしょ」の時期です。

弥助問題期

本編の主人公である弥助の扱われ方に疑念が高まっていきます。

誰がこんな珍説をUbisoftに吹き込んだんだ?と調べていくことになり、そこから「弥助は昔の日本に居た黒人の伝説的な侍である」という説が世界的に広まってしまっていることが知られていきます。

このあたりで問題はアサクリから離れつつあり、「弥助問題」として認知されていきます。

トーマス・ロックリー期

さて、ではこのトンデモ歴史の元凶って何? というのが調査されていきます。

このトーマス・ロックリーという人物がどうもきな臭いですね。氏は日本大学 法学部 外国語科目 准教授のようです。

アーカイブ:https://megalodon.jp/2024-0722-1425-40/https://researcher-web.nihon-u.ac.jp:443/search/detail?systemId=b821967215ac2300740660f458cd5cad&lang=ja

アーカイブ:https://web.archive.org/web/20240720021010/https://researchmap.jp/7000004775

アーカイブ:https://web.archive.org/web/20240715141605/https://www.tuttlemori-authors.com/?page_id=1187

アーカイブ:https://web.archive.org/web/20240706202652/https://nihon-u.academia.edu/ThomasLockley


アーカイブ:https://web.archive.org/web/20240717215100/https://www.britannica.com/contributor/thomas-lockley/13043574

またwikipediaにおいて「鳥取トム」と名乗り、2015年ごろから活発に自分の「研究」をベースに編集していたことも明らかになります。

このあたりで全貌が見えてきます。

また、ここまで出揃ったところでAbemaが薄っぺらい取り上げ方をしたこともあり、炎上に弾みがつきます。

↑42:35あたりから

すでに弥助問題期に入ってずいぶん経つのに、「たかがゲームでしょ?」のアサクリ期の認識のまま放送したことで総ツッコミされる事態となりました。

デービッド・アトキンソン期

トーマス・ロックリー氏に批判が寄せられ始め、Abemaが火に油を注いだことで一気に注目が高まります。

ここで予想外の展開が起きます。菅義偉元首相のブレーンだったデービッド・アトキンソン氏が介入してきたのです。


アトキンソン氏のアカウントは今は鍵アカになってしまっていますが、当時は以下のような、端的にいえばウザ絡みともいえる短文コピペレスを連発していました。

鍵アカなのでツイートを貼れませんが、アトキンソン氏は普段は自分が書いた東洋経済などの記事に批判的なツイートを取り上げて「説諭」するようなスタイルで、自分から何かのテーマに首を突っ込むというよりは自分のフィールドから離れない受け身の姿勢でした。

それがロックリー弥助問題については突然自分から「エビデンスは?」と突っかかり、屁理屈を捏ね、結局鍵アカウントに籠もった今もなおレスバを続けているようです。

トーマス・ロックリー氏とデービッド・アトキンソン氏については何の繋がりも見えません。親交もないようだし、仕事も重なりそうにないし、せいぜい「イギリス人である」というくらいしか共通点が見えません。それがなぜこんな突っかかり方をしたのか、そこに興味を持つ人がちらほら出てきます。

人文系アカデミア編

トーマス・ロックリー氏は特に難民問題に詳しいわけでもないようですが、難民支援協会という団体の記事でいろいろと語っています。

またデービッド・アトキンソン氏は国土交通省のサイトにあるとおり、アイヌのウポポイの有識者として参加しています。

これを短絡的に繋げてしまうのは不用意かもしれませんが、「イギリス人である」以外の共通点が何かありそうなのもまた事実でしょう。

さらに関係性が見えづらい人たちも参戦してきます。

戦線が拡大しすぎていて「どこまで広がるんだこれ……」となっているのが現在の情勢です。

個人的なアサクリへの感想

急にゲームの話に戻りますが、発端であるアサクリについての個人的な考えを書いておきます。

まず史実でないフィクションはゲームに限らずありふれていますし、そのクレームや対応もよくあることです。

「信長の野望」シリーズで知られる日本のコーエー(現コーエーテクモ)が出したゲームに届いたという「うちの先祖はビームを出しません」が有名なところです。

Paradoxが販売した、第二次世界大戦を舞台とする歴史にかなり忠実とされるシミュレーションゲームHOI2(Hearts of Iron 2)では、日本の国家元首の名前が海外版では「Hirohito」なのに日本語版では「大本営」になってるというような事例もあります。

他にもローカライズの問題で一部地域では出せないゲームの話もたくさんあります。例えばドイツ向けにヒトラーやナチスが出てくるとダメですし、中国向けに「天安門」とか出てきたらやはりダメでしょう。それはそういうものです。アサクリ問題(弥助問題)がこれらと並ぶものといえるかは微妙ですが、Ubisoftなどはそのように見せかけたい動機はありますね。

そのアサクリですが、メインストーリーに弥助が出てくるし、それは多分にロックリー氏の主張する「True Story」の影響を受けていることでしょう。すでに世界的に歪んだ弥助観が広がっていることも知られたし、ポリコレ圧力でディズニー等がいろんなものを黒人化しているし、BLMのような騒ぎが日本に持ち込まれる口実にされるかもしれない。「戦国大名のあいだで黒人奴隷を持つのが流行っていた」というロックリー氏のなろう小説の設定が史実扱いされて世界中に流布されるのは誰だって嫌だし無益でしょう。

アサクリから始まったこの問題は、「経緯」で書いたとおりもはやアサクリから遠く離れた大問題にまで発展しています。今後どこまで行くのかはわかりませんが、アサクリの新作自体がどうなるかは結局Ubisoftの出方次第です。販売中止まで求めるかはともかく、「その弥助は史実と異なるポカホンタスだ」と指摘し、それを広めたであろうロックリー氏の実態を暴露しておくくらいは正当な抗議だと思います。

アサクリを抜きにしたって、ロックリー史観を正当な史実だと主張する理由は何もないわけです。多くの人があの弥助をフィクションだと認識すれば問題ないわけですから、アサクリ問題を「たかがゲーム」の問題に留めるためにこそ、ロックリー氏のやったことを白日の下に晒しておくという考えもあります。

アサクリの最新作がどうなるかも含めて、引き続きこの問題に関心を持って見ていこうと思います。

追記

Ubisoftが謝罪


産経新聞が報道

記事の内容は内藤陽介氏の発言を紹介するものです。

見出しにもある内藤陽介氏は下記の動画の方です。

岡美穂子氏がロックリー氏より先に同様の主張をしていた?

岡美穂子さんは文系アカデミア編に出てきた人で、こういうツイートをしていた方です。

ただこのアカウントが本人のものかどうかは今のところ確証が取れていません。

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