トーマス・ロックリー氏の弥助問題の経緯と現状
はじめに
私の見解はこれです(2024年7月23日現在)。
ロックリー氏本人が歴史的事実であるかのように吹聴してますし、それこそが弥助問題の根幹です。https://t.co/TLZ5NY8UkJ
— 緑茶計画 (@GreenteaPlanner) July 22, 2024
アサシンクリード(アサクリ)シリーズについて
アサクリというのはUbisoft(「UBI」と表記されることも多い)が出しているゲームのシリーズの名前です。すごくざっくりいうと「ドラクエ」みたいなものです。
今回炎上しているのはその最新作である「アサシン クリード シャドウズ」の歴史考証がおかしいのではないか、というところに端を発します。
経緯
話の流れを時系列で追ってみます。早期に深いところまでたどり着いた人、後から追いかけた人が混在しているため、貼っているツイートのタイムスタンプが前後することはありますがご了承ください。
アサクリ期
公開されたトレーラーの動画から、時代考証がめちゃくちゃであることが指摘され始めます。
悪意に触れるけど、アサクリのPV笑っちゃったなwデカい琉球畳と富豪村なら一発アウトの縁に正座で座る家臣。上座が板間になってて、そこに何故か主人が正座ってワンシーンで何個間違えてるか数えらんねぇよwwwンアーッ!障子がデカすぎますwww pic.twitter.com/g9zNRPxA3T
— 人妻 (@ishizakiganmen) May 28, 2024
個人的にアサクリで一番気になったのはこのショット。(いや畳も気になるけど。)
— Coco (@_cocos_) May 20, 2024
フードじゃなくて頭巾かぶれや!!!あと日本人のシノビなら口元隠せ! pic.twitter.com/a3Dl0u5Jc1
アサクリのアレやこれやで、カオスセオリーのとんでも日本の画像バズらないのかな〜とか楽しみにしてんだけど、やっぱり古すぎるか笑
— えぽっく (@apoc3) May 20, 2024
畳の部屋に大仏置いてあったり、それはそれは面白いシロモノなんだけど pic.twitter.com/tg0lAAto55
おれアサクリ最新作はなんやかんや言われながら買うけどさぁ。やっぱり日本の考証って英語史料だけじゃつらいんやろうけど、もうちょっと気使ってwww
— もへもへ (@gerogeroR) June 17, 2024
なんで田植えの時点で弥助さん豊作とかいってんのwww pic.twitter.com/UWodDaJm1X
まだこの段階では笑えるトンデモくらいのものでした。「たかがゲームでしょ」の時期です。
弥助問題期
本編の主人公である弥助の扱われ方に疑念が高まっていきます。
Wikipediaに出典付きでフェイクを載せられたら10年間誰も気づけない件を追加しました。「日本人の知らない珍説が世界中で大拡散!歴史家「日本では弥助が日本の歴史を変えたと見なされてきたのです。」アサクリ以前から始まっていた弥助の史実ブーストとその歴史&Wikipedia.. https://t.co/L1pmejl0DH
— ラム・マイヤーズ (@laymans8) May 30, 2024
誰がこんな珍説をUbisoftに吹き込んだんだ?と調べていくことになり、そこから「弥助は昔の日本に居た黒人の伝説的な侍である」という説が世界的に広まってしまっていることが知られていきます。
このあたりで問題はアサクリから離れつつあり、「弥助問題」として認知されていきます。
ブラジルのカーニバルに日本が参戦! 2023年のサンパウロのサンバチーム「モシダデ・アレグレ」が優勝しました。同チームは、日本初の黒人侍弥助の物語を語りながらパレードを行いました。モザンビークで生まれた弥助は1579年に日本に連れて来られ英雄となりました。
— 駐日ブラジル大使館 🇧🇷in🇯🇵 /Embaixada do Brasil no Japão (@BrazilEmbassyJP) February 22, 2023
この物語を知っていましたか? pic.twitter.com/fKVFYn6xWD
日本に古くからある弥助像として広く拡散。南アフリカのアーティスト、ニコラ・ルースが2017年に制作した芸術作品で、リサイクルされたゴムタイヤチューブから作られている。アサクリ騒動では、弥助が実在した証拠、日本で尊敬されている証拠として大量に投下された。 pic.twitter.com/NeSQej8ExE
— ラム・マイヤーズ (@laymans8) June 23, 2024
アサクリ弥助問題に関し好き放題話す外国人女性2人の認識
— 😏 (@nevada928) July 6, 2024
全然分かってないやん、反応調べるにしても認知おかしくね?何様?何知ってる?レベルなんだなあ
あと弥助を日本人や日本の一部扱いするのはそれはそれで問題あると思う
彼のルーツと奴隷で白人に連れてこられた地に含めていいのかっていうね pic.twitter.com/KdWdIvRkkG
ChatGPTに
— Kazu (@kkazu34) July 21, 2024
「16世紀の黒人奴隷売買に日本は関与していますか?」
と聞いたところ、「関与している可能性がある」と回答が…
回答の根拠としてwikipediaのyasukeが挙げられている
トーマス・ロックリーの歴史改竄の影響はここまで来ている
これ、まじでやばいぞ pic.twitter.com/4UZQ6fIvtd
— kkzzz (@Miew5dzYiy1hi2s) July 21, 2024
トーマス・ロックリー期
さて、ではこのトンデモ歴史の元凶って何? というのが調査されていきます。
アサクリ問題とかトーマス・ロックリーとか見てる人はロックリー本人の昔のインタビューも目を通した方がいいよ。妄想全開の俺が考えた最強の弥助と奴隷なんていなかったって好き放題で本当にやべえから >Was There Really A Black Samurai?? https://t.co/1TdfU3Woyh pic.twitter.com/QrqoLpuZv4
— kenzi (@kz403) July 17, 2024
【驚愕】全ての元凶、ロック・リー氏の正体がヤバすぎる....https://t.co/irSt0Vo8Sr pic.twitter.com/aZXbEeoYbv
— 頼むぜエディタ (@tanomuzeA) July 12, 2024
トーマス・ロックリー、当時の絵師てまある狩野内膳の絵でも多数の黒人に荷物を持たせる南蛮人の姿が象徴的に描かれてるのに何が「イエズス会士は奴隷制に反対でアフリカ人を伴う事はなかった」だ
— かに (@Bananabuton) July 18, 2024
彼らが反対したのは『布教の妨げとなるポルトガル人商人による日本人奴隷の輸出』だよ歪曲させんなボケ pic.twitter.com/jgbWkNiV6T
このインタビューでは、特に1分50秒からと11分20秒からを聞いてください。インタビューアーがPhD candidate in Japanese Historyなので、あなたは小説家ですか?これは歴史小説では?と質問していますが、彼は学術書籍を読みやすくしたものでほとんど史実だと答えています。https://t.co/7GbCz7WGpD
— Hidekazu Shiozawa (@shiozawa_h) July 21, 2024
このトーマス・ロックリーという人物がどうもきな臭いですね。氏は日本大学 法学部 外国語科目 准教授のようです。
アーカイブ:https://web.archive.org/web/20240720021010/https://researchmap.jp/7000004775
アーカイブ:https://web.archive.org/web/20240715141605/https://www.tuttlemori-authors.com/?page_id=1187
アーカイブ:https://web.archive.org/web/20240706202652/https://nihon-u.academia.edu/ThomasLockley
トーマス・ロックリーが発表した弥助についての論文や書籍を整理すると
— 哲 (@yellobird9) July 15, 2024
①2016年1月(2月号)
出版社: 桜文論叢(日大法学部の論文集、第91巻に収録)
国会図書館所蔵(通常論文)
論説名: The Story of Yasuke: Nobunaga's African Retainer
査読有りhttps://t.co/dOvDTKgQc8 pic.twitter.com/ZAiOj25nM5
またwikipediaにおいて「鳥取トム」と名乗り、2015年ごろから活発に自分の「研究」をベースに編集していたことも明らかになります。
アサクリで弥助のwiki編集問題出出てきてるけど「鳥取トム」っていう人が日本の弥助wikiを2015年辺りに頻繁に編集してて、その人が弥助のとんでも本を書いた某大学教授ってあるね
— jk _ no30111 (@jkno30111) July 12, 2024
これ事実なら自分で弥助のwiki書いて自分で捏造して広めてるって事だよね?マズくない?https://t.co/jkheYK1K0V pic.twitter.com/yTC7WpZ1IA
鳥取トムのウィキ改竄が酷い
— 哲 (@yellobird9) July 15, 2024
2015年だけじゃなくて2018年10月に自分の日本語の本をリンクして「ロックリーはこの理論が最も説得力があると主張した」って書いてんの。
で、他の人から削除されてる。 pic.twitter.com/H3mwrcnbeb
鳥取トムがwikipediaをせっせと書き終えたのが2019年、すかさずCNNやBBCが2019/2020に弥助を実在した侍として記事にしていますから、いつもの日本を嵌める連携プレイだったのでしょうね。
— Atsuko Yamamoto🇯🇵 (@piyococcochan2) July 19, 2024
それぞれ日本語の記事は↓のリンクから読めます。
CNN https://t.co/ltyRX5A3o0
BBC https://t.co/KnpVVT91MM pic.twitter.com/3tTYSjVghq
このあたりで全貌が見えてきます。
時系列的には
— 蓮 (@bluelotus0) July 21, 2024
ロックリーが「弥助伝説」捏造→UBIがゲーム案として採用→ロックリーが自著を「ノンフィクション」として海外で売っているのでUBIも「史実に忠実」と発言→著作権違反&アジア人差別的発言で問題発覚
「アサクリ問題」と言うと「表現の自由」を盾に取られるので「ロックリー問題」が良い https://t.co/NMMkK5ia0s
★真のアサクリ問題まとめ★
— 筐体ヶ原キバ子🕹Vtuber レトロゲーム23時配信 (@kyoutaigahara) July 18, 2024
日大准教授ロックリー(Tottoritom)、弥助のwiki書き換え
↓
ロックリー、弥助の小説発表
「弥助は侍、イエズス会は奴隷制に反対していたが日本では黒人奴隷が流行した、弥助の記録がないのは日本人が差別していたから記録から消した、Wikipediaに載ってるから正しい歴史」… pic.twitter.com/oACQjCZqMN
また、ここまで出揃ったところでAbemaが薄っぺらい取り上げ方をしたこともあり、炎上に弾みがつきます。
↑42:35あたりから
abemaのアサクリ問題酷すぎる。ナガサワさんが問題点をとりあげるたびに番組側の人が露骨な論点ずらし。「ゲームに差別とかない」「発売が近くなったらフィクションだと言うと思いますよ」
— Nebula (@Mof4F) July 16, 2024
???
なぜこうも憶測で語りだすのか#AssassinsCreedShadows #アサシンクリードシャドウズ
Abemaアサクリ問題は結局現状を知らないヤツがぺちゃくちゃしゃべってなにこれ。構成作家と一緒に「フィクションでしょ?」って言ってる時点でご愁傷様。虚実を史実と言い張っているのが問題なのだけど。報道の片隅にも置けないなこれ。今すぐ降板どうぞ #アベプラ
— ねねね。 (@nenenepote) July 16, 2024
すでに弥助問題期に入ってずいぶん経つのに、「たかがゲームでしょ?」のアサクリ期の認識のまま放送したことで総ツッコミされる事態となりました。
デービッド・アトキンソン期
トーマス・ロックリー氏に批判が寄せられ始め、Abemaが火に油を注いだことで一気に注目が高まります。
ここで予想外の展開が起きます。菅義偉元首相のブレーンだったデービッド・アトキンソン氏が介入してきたのです。
菅元首相
— 金融の森 (@financialfores1) July 22, 2024
私アトキンソンさんの
言うとおりに今やってるんです pic.twitter.com/QJ53vsD2fj
アトキンソン氏のアカウントは今は鍵アカになってしまっていますが、当時は以下のような、端的にいえばウザ絡みともいえる短文コピペレスを連発していました。
そらアトキンソンくんもこうなる。 https://t.co/WksvsRVuei pic.twitter.com/k7va2ASscF
— ソルダム (@soldum_sour) July 23, 2024
鍵アカなのでツイートを貼れませんが、アトキンソン氏は普段は自分が書いた東洋経済などの記事に批判的なツイートを取り上げて「説諭」するようなスタイルで、自分から何かのテーマに首を突っ込むというよりは自分のフィールドから離れない受け身の姿勢でした。
それがロックリー弥助問題については突然自分から「エビデンスは?」と突っかかり、屁理屈を捏ね、結局鍵アカウントに籠もった今もなおレスバを続けているようです。
池田信夫氏に奴隷制度など無いと論破されたら、
— 猫 ミチル (@minpounokokoro3) July 22, 2024
支離滅裂なこと喚くアトキンソンが情けない。
「奴隷として使ったと誰も主張していない」のならば、
黒人奴隷と言っていた今までの主張は嘘になる。
しかも「10人の黒人いれば流行ってた」なんて酷い屁理屈だね。
余りにも酷すぎて見るに堪えないね。 pic.twitter.com/uFbxlqkeBU
難民支援協会と繋がっててロックリーを擁護して鍵垢で逃げたデービッド・アトキンソンが未だに逆ギレが収まらず吠えてて草
— ヒビキ034 (@Hibiki034JP) July 22, 2024
自分の巣穴でレスバするくらいならロックリーと同じく垢消しで逃げればいいのに
イギリスが難民問題で苦しんでるからって日本を巻き込むなよ#黒人奴隷問題を日本に押し付けるな pic.twitter.com/83iDRCUXaI
トーマス・ロックリー氏とデービッド・アトキンソン氏については何の繋がりも見えません。親交もないようだし、仕事も重なりそうにないし、せいぜい「イギリス人である」というくらいしか共通点が見えません。それがなぜこんな突っかかり方をしたのか、そこに興味を持つ人がちらほら出てきます。
人文系アカデミア編
トーマス・ロックリー氏は特に難民問題に詳しいわけでもないようですが、難民支援協会という団体の記事でいろいろと語っています。
あ、既出かもしれんがこれはやばいぞ
— ただのナニコレ (@nanikore55554) July 19, 2024
。トーマス·ロックリーは日本の難民支援協会に嘘八百を吹き込んでいたことが判明した。難民支援協会への苦情が多発するhttps://t.co/Qds2WtguuC
またデービッド・アトキンソン氏は国土交通省のサイトにあるとおり、アイヌのウポポイの有識者として参加しています。
ロックリーは日本難民支援協会のサポーター。アトキンソンはウポポイと関わっている。アイヌ新法を通したのは菅さん。だから私達は、
— エリー (@X7YK2ZkopqwCzRl) July 22, 2024
アフリカ難民大量受け入れを要警戒。 https://t.co/bXLJH5U7k6
これを短絡的に繋げてしまうのは不用意かもしれませんが、「イギリス人である」以外の共通点が何かありそうなのもまた事実でしょう。
さらに関係性が見えづらい人たちも参戦してきます。
NHKの時代考証などを担当する平山優氏が、なぜか突如、弥助問題に参戦。NHKはロックリーを出演させてウソの歴史を広めた放送局ですよね。
— 秋野つゆみ@マンガ・動画発信中 (@nihonnomanga) July 22, 2024
平山氏は、弥助が渡された短刀をなぜか「太刀」とすり替えるなどして「武士だ」と力説。
海外でも引用され、「侍と認めない人はレイシスト」という人が激増。 https://t.co/48xeZcyhZl
岡 美穂子氏。捉えどころのないフニャフニャとした擁護をする人がTLに上がってきたと思ったら、ゲームに対しての無関心さを表す出だしに火消し要素を感じた。さらに調べたら、彼女の関わった「つなぐ世界史」にロックリーが寄稿してるのね。
— マガとかおいちとか (@y_oichi13) July 22, 2024
自分に責任はないと言いたいのなら、そう言えば良いのに。 pic.twitter.com/qHgbQdfVy5
ロックリー関連で突如参戦してきた歴史学者2人
— ナッツ (@nuts_brown) July 22, 2024
1.岡美穂子
夫がロックリーの新著の推薦文を書いている
ロックリーの著書を元にしたNHKのドキュメンタリー番組を批判した自分の過去ブログを消した上で参戦
2.平山優
上記岡氏と繋がりあり 大河ドラマの歴史考証に関わっている
オープンレター呼びかけ人の隠岐さや香東大教授がロックリー問題に一丁噛みしてて草 https://t.co/yolQrDUKhF
— blackmore (@sdnfvsdnfv) July 22, 2024
戦線が拡大しすぎていて「どこまで広がるんだこれ……」となっているのが現在の情勢です。
個人的なアサクリへの感想
急にゲームの話に戻りますが、発端であるアサクリについての個人的な考えを書いておきます。
まず史実でないフィクションはゲームに限らずありふれていますし、そのクレームや対応もよくあることです。
「信長の野望」シリーズで知られる日本のコーエー(現コーエーテクモ)が出したゲームに届いたという「うちの先祖はビームを出しません」が有名なところです。
ゲーム会社に精通している人から聞いたが無双シリーズでお馴染みのコーエーには毎年「うちの地元出身の武将はあんなに弱くありません」といったような内容の苦情が寄せられるそうで、一度だけ直属の末裔から「うちの先祖はビームを出しません」といった苦情も届いたらしい。自分が電話担当なら多分笑う
— 秋菜↻ (@ev_Akina) January 24, 2013
「コーエー」がHOTワードに!と思ったらなるほど。そういえばTGSのブースに場に馴染まないスーツの方たち8名ほどがいらっしゃって、何の御用かとビクビクして聞いたら「戦国無双シリーズに当県の武将●●を出していただきありがとうございました!」と声を揃えてお辞儀されたことが有りました。
— コーエーテクモ (@koeitecmogames) January 24, 2013
ある意味武将のお陰で大きくなった会社ですので、それを生み出してくださった地元の方とは恩返しも含めて色々とご一緒させていただきたいと思うのです。かつ、エンタメ企業ですので、楽しいことをやってお返し出きればと。
— コーエーテクモ (@koeitecmogames) January 24, 2013
Paradoxが販売した、第二次世界大戦を舞台とする歴史にかなり忠実とされるシミュレーションゲームHOI2(Hearts of Iron 2)では、日本の国家元首の名前が海外版では「Hirohito」なのに日本語版では「大本営」になってるというような事例もあります。
「HoI2の大本営」とは、今は亡き某社がHoI2を日本語ローカライズした時、日本の国家元首がもろに「Hirohito」で写真そのまんま使ってたのを自主規制して、グラは国会議事堂で名前は「大本営」という謎のキャラクターになっていた件
— こなたま(CV:渡辺久美子) (@MyoyoShinnyo) August 23, 2016
他にもローカライズの問題で一部地域では出せないゲームの話もたくさんあります。例えばドイツ向けにヒトラーやナチスが出てくるとダメですし、中国向けに「天安門」とか出てきたらやはりダメでしょう。それはそういうものです。アサクリ問題(弥助問題)がこれらと並ぶものといえるかは微妙ですが、Ubisoftなどはそのように見せかけたい動機はありますね。
そのアサクリですが、メインストーリーに弥助が出てくるし、それは多分にロックリー氏の主張する「True Story」の影響を受けていることでしょう。すでに世界的に歪んだ弥助観が広がっていることも知られたし、ポリコレ圧力でディズニー等がいろんなものを黒人化しているし、BLMのような騒ぎが日本に持ち込まれる口実にされるかもしれない。「戦国大名のあいだで黒人奴隷を持つのが流行っていた」というロックリー氏のなろう小説の設定が史実扱いされて世界中に流布されるのは誰だって嫌だし無益でしょう。
アサクリから始まったこの問題は、「経緯」で書いたとおりもはやアサクリから遠く離れた大問題にまで発展しています。今後どこまで行くのかはわかりませんが、アサクリの新作自体がどうなるかは結局Ubisoftの出方次第です。販売中止まで求めるかはともかく、「その弥助は史実と異なるポカホンタスだ」と指摘し、それを広めたであろうロックリー氏の実態を暴露しておくくらいは正当な抗議だと思います。
アサクリを抜きにしたって、ロックリー史観を正当な史実だと主張する理由は何もないわけです。多くの人があの弥助をフィクションだと認識すれば問題ないわけですから、アサクリ問題を「たかがゲーム」の問題に留めるためにこそ、ロックリー氏のやったことを白日の下に晒しておくという考えもあります。
アサクリの最新作がどうなるかも含めて、引き続きこの問題に関心を持って見ていこうと思います。
追記
Ubisoftが謝罪
『アサシン クリード シャドウズ』開発チームより、日本コミュニティの皆様へ pic.twitter.com/LYNZUx6P8k
— Ubisoft Japan (@UBISOFT_JAPAN) July 23, 2024
The Assassin's Creed Shadows team has a message for our Japanese community. pic.twitter.com/AIyWNU9YhG
— Assassin's Creed (@assassinscreed) July 23, 2024
UBI遂に謝罪するも内容が滅茶苦茶、IGNも路線変更でエイ春画で論破してて胸熱...https://t.co/V0NyGBb9sq pic.twitter.com/TlegBWO1Uk
— 頼むぜエディタ (@tanomuzeA) July 23, 2024
産経新聞が報道
記事の内容は内藤陽介氏の発言を紹介するものです。
戦国舞台ゲーム「弥助」の誤認識拡散、内藤陽介氏「正確な情報発信を」栃木「正論」友の会https://t.co/1OKoUTOSs7
— 産経ニュース (@Sankei_news) July 23, 2024
欧米で弥助に関する主な情報源となっている、英国出身の大学准教授による著作の存在に言及。「戦国時代の日本に黒人奴隷が存在していたかのような印象を与える記述がある」と指摘した
見出しにもある内藤陽介氏は下記の動画の方です。
【アサクリ問題】
— ニッポンジャーナル (@yaminabejournal) July 20, 2024
日本が黒人奴隷を生んだ!?
ABEMAの解説がイマイチだったので
内藤陽介さんが徹底解説してくれましたhttps://t.co/4SagNsh4nU @YouTubeより
切り抜き動画アップ致しました!
ぜひご覧下さい💪#ニッポンジャーナル #内藤陽介 #井上和彦#アサクリ #歴史改竄 #トーマスロックリー… pic.twitter.com/kPwe8UVdmt
岡美穂子氏がロックリー氏より先に同様の主張をしていた?
全然指摘されてないですけどロックリー本の日本黒人奴隷流行説って岡氏の著作を先行研究として参照した可能性があるんじゃないですかね。出版年は英語版の岡本の方が先みたいだし。書き方もほとんど同じ。 pic.twitter.com/4J0m4LcTVF
— 生き物 (@utu_100) July 23, 2024
岡美穂子さんは文系アカデミア編に出てきた人で、こういうツイートをしていた方です。
ただこのアカウントが本人のものかどうかは今のところ確証が取れていません。
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