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ワクチンの話②

私はこれまで、何と三度も帯状疱疹に罹ってしまった。一度目は20代の頃。二度目は40代後半。ちょうど20年ほどで水痘ウイルスに対する免疫が落ちてくるらしい。これはまあわかる。三度目は昨年。二度目から3年半ほどでまた罹った。

知覚神経の神経節に影を潜める水痘ウイルスは、加齢、過労等で免疫が落ちた時に帯状疱疹として暴れ出す。

私は、己れの性質として、過労に弱く、その結果は帯状疱疹として表れると思い知った。過労と言っても、慣れた仕事での疲労蓄積のみだと耐えられる。これまで帯状疱疹になったと判明した後には必ず思い当たる別の原因があった。

二度目は、長女の地区会役員、二女の子供会役員、職場の組合委員などを安請け合いして務め、殊に地区会での学園祭に向けての作業がひと段落した頃に罹った。

三度目は、慣れない資格試験の勉強が思うように進まなかった、というか、ほとんどない家事を夜終えて、イライラしながら無理矢理夜中に勉強をやろうとしていた。結局居眠りしかしていないが、このことが原因だったと振り返れば分かった。

しかし、三度目の帯状疱疹はコロナワクチンの副作用だとワクチン接種を受けていない医療従事者から言われて驚いた。
「コロナワクチンでコロナの方ばかりに免疫が行くから、帯状疱疹になる。やっぱりその通りのことが起こっている。」とのこと。
「ワクチン接種を受けない自分の判断は正しかった。」と顔に書いてあるように見えたが、あくまでも私のひねくれた主観である。

コロナワクチンの添付文書の副作用に帯状疱疹とは書かれていなかったが、ネットで検索すると、「一例」という表現で報告されていたものを見た。その報告ではコロナワクチン接種を受けた直後に帯状疱疹を発症していた。

影響されやすい私は再度思い返したが、コロナワクチン接種から数ヶ月以上経過しており、上述のように思い当たる原因がはっきりあるので、それには当たらないと思っている。

三度目は三叉神経の第2領域、右鼻の辺りに発症した。
「次に出るとすれば第1領域、つまり頭や眼といった、さらに中枢に近い危険な箇所だ。」と私は考えた。今年も資格試験を受けようとしている。老化は進むが、相変わらずいろいろなことで忙しくしている。

「帯状疱疹ワクチンを受けよう!」

私は強く決意した。

一般の人より、私はリスクが高いと考えた。帯状疱疹ワクチンは任意接種で、高価だが、自分こそ接種を受けるべき人間だと強く思った。

……そして、今、2か月間で2回目の接種を終えたところである。昨年帯状疱疹になったばかりでまだ免疫がしっかり残っているせいかどうか分からないが、副反応がとてもつらい。

誤解しないでほしいが、ほとんどの人はほぼ何事もなく過ごせるようだ。

私の方がかなり珍しいので、「あの人がひどかったからやめておこう」というのはやめてほしい。それは本意ではない。

あの頃、ネガティブな情報を発信し、それを信じてワクチン拒否の人々が増えたのだろうか。初めてコロナワクチン接種を受けたと思われる人々が、高い体温を示す体温計の画像と共に投稿していたものだ。それとは違うと言いたいが、これから述べるのはネガティブな情報で残念だ。

1回目の接種後は腰から下の関節痛、倦怠感があり、接種後2日目はとにかく眠かった。3日目にはほぼ落ち着いた。

2回目の今回は、発熱した。そして接種部位の痛み、そして接種側の腋窩(のおそらくリンパ節?)がひどく痛む。3日目を過ぎてなお、痛みはあるが、ようやくピークは越えたようである。

6時間毎に手持ちのアセトアミノフェンとお付き合い中。痛みが強いと弱気になる。このまま続いたらどうしよう。

何が申し訳ないと言えば、仕事を休んでしまったことである。
♫24時間、戦えますか♫
と時任三郎が拳を突き上げて元気よく歌うリゲイン世代の私は、未だ休むことに罪悪感がある、いや今はそんなことはなく、お互い、働ける時に一生懸命働きましょう、のスタンスではあるが。

副反応がつらいと分かっているなら、接種日を休日前にずらすなどすれば迷惑をかけなかったと反省しきりである。

「任意接種のワクチンで…こんな思いをしてまで…」とついつい愚痴が出そうになる。しかし、思い直す。

これまで、何人かの患者さんを見て来た。頑張って手術を乗り越えた。術後の状態も落ち着いて来て、そろそろ退院の話も…その頃、眼の辺りに発疹が広がる人がいた。内科的疾患で入院して、投薬治療を耐え、持ち堪えたその時、同じく頭に発疹ができる人がいた。

暑い夏もようよう過ぎ行き、やっと涼しい秋の声が聞こえて来た頃、帯状疱疹の薬が処方されることを知っている。
いずれも70-80代の高齢者。高齢で帯状疱疹に罹ると、重い神経痛が残ることが多く、その後もつらい症状や治療が続く。

リスクベネフィットを考えると、今数日間ワクチンの副反応でつらいことと、実際高齢となった頃に再び帯状疱疹に罹り、その後の経過のことを天秤にかけると、私にとっては前者を取るべきだと考える。

ちなみに、私はコロナワクチンの副反応では発熱はなかった。倦怠感等はあった。mRNAワクチンだから、遺伝子組み換え不活化ワクチンだから、副反応が出る、出ないで論ずることはできないと思う。あくまで、個別の反応だと私自身の経験から思う。

突然世の中に出現した(ように見える)mRNAワクチンではあるが、それだけが特別後遺症がひどく、副反応が強い、と断ずるのは早計ではないか。

帯状疱疹ワクチンの場合、発症率を抑える効果を高めたい。コロナワクチンの場合、発症率はもちろん、それの効果が難しい場合、罹患後の重症化を防ぎたい。

闘う相手が強い場合、ワクチンの作用も強く、ある程度の副反応も予想される。実際罹患した時の症状よりは軽いはずだ。

といくら言っても、コロナワクチンに対して拒否感情が成立している人とは相容れないままであろう。

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