卒業式の翌朝。父親のひとりごと。

 昨日僕の息子は卒業式を迎えた。学校の決まりで、保護者の参加は各家庭1名まで。しょうがない。僕はもちろん妻に任せた。どちらかしか参加できないなら、僕が行くより妻が行くほうが息子は喜ぶ。(どのみちその日は仕事で半日休むのも難しかったし)


 帰宅して、妻がとった写真や動画を見た。先生から呼名されて、立ち上がる息子。小学校の時のような「ハイッ」ではなく、割と普通の声量。そりゃそうだ。もう15歳だもんな。大きくなったよ。

 入退場では当然ながら子どもたちも先生も、みんなマスクをしたまま。これが今の普通の光景。

 みんな大変な一年だったな。中学生にとっての一年は、僕ら大人の一年とは違うよね。休校で学校に行けない日が続いたり、いろんな行事がなくなったり縮小されたり、そんな中で人生で初めての受験を迎えたり。大事な一年間をよくがんばった。子どもたちも親も先生も、みんながんばったよ。


 リビングのテーブルには子どもたち同士の寄せ書きが置かれてる。いまでもやるんだね。息子が普段どんな風に過ごしているのかよく想像できた。当たり前だけど、当たり障りのない言葉に交じって、親が見ても嬉しい言葉がいくつも並んでた。

「やさしくしてくれてありがとう」 そうか、お前、優しいもんな。気が弱いけど、少なくとも誰かをことさらに馬鹿にしたり乱暴に扱ったりしないもんな。それは信用している。

「頭がいい」 頭いいのか。うちの中ではゲームしてるか母親とおしゃべりしてる姿しか見ないけど、お前、学校では頭いいと思われてるのか。あ、確かにバスケ選手の名前だしたら身長体重まですぐに出てくるもんな。記憶力はいいな。

「たくさん話せて楽しかった」 ほら、やっぱり学校でもおしゃべりなんやろ。しゃべるのはいいけど、程々に空気も読めよ。でも読まんよな。まあええわ。これからそれも勉強していけ。

 本人が日頃から言っていた通り、仲の良い子が多いクラスで一年過ごせたんだろう。大変だけどいい一年だったみたいだ。もともとインドアだし、コロナでもあったので、あまり父親らしいことは(今年だけじゃなくてこれまでも)してやれてないけど、本人が楽しければそれでよかった。


 やっと15年。もう15年。よくがんばったよ。おめでとう。

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