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リクトのバイク

リクト。23歳。
まだバイクの免許は持ってません。

敷居の高い英国旧車専門店である筈が何故かこんなヤツも居たりします。

バイクの事は全然知らないし、ボクの事も近所のバイク屋くらいにしか思っていません。

勿論それは間違っちゃいないが、独特の雰囲気を出してボクなりに目一杯演出してるってのに、コイツには効果無し。なんなんだよ。全くよぅ。

SRに乗ってるカイトの友達で、リクトもカイトも23歳の若者だ。

近所の小僧なんだけど、間違ってボクんチにやって来ちゃったから仕方なくアレコレ面倒見ているウチにリクトがバイク買うの手伝ってあげる事になったので、その時の話を全編フィクションで書き綴るから、読んでってくれたら嬉しいな。

そもそもはカイトがSRを持って来て、SRをボクに自慢するからボクもムキになってトライアンフを自慢したんだよね。今になって考えるとなんでそんなにムキになるのか分からないけど、バイク乗りってのは自分のバイクが1番だと勘違いする生き物なので、そう言った意味ではボクは勿論、カイトも既に立派な『バイクの人』だった訳だから年齢差なんて関係無く、あっちゅう間に友達になっちゃったんだわ。

『友達がバイク買いそう』と来れば皆さん、そうでしょ?

自分のことの様にワクワクするのです。

そうです。それが正常なのです。

ボクの場合、バイク屋なのでビジネスチャンスなのですが、ビジネスの方は手がいっぱいなのでノービジネスモードです。ノービジネスと言ってもバイク屋なボクはバイクにまつわるアレもコレもがお手のものです。例えば個人売買の難関『陸送』もハイエースで余裕だし、登録や車検、目利きに関しても鼻垂れ小僧と比較になりません。

すっかりハメられたカタチにはなりましたが乗りかけた舟ですから、個人売買の現車確認にもしっかり同行します。

同行するだけじゃない。
せっかく行くなら持って帰って来ちゃえば良いっしょ。バイク乗りってのはせっかちな生き物ですから。
その場で交渉。交渉成立なら、即支払い、そして即引き上げ、で、持って帰って、速攻バラす。これがワンパッケージでしょ?

ここからはフィクション濃いめですが、バイクを見に行くと、バイクを見に行ったのに、なんでか知らないけど「うるさいおばさん」が登場したんだ。
リクトはババアのバイク見てカッコE!なんて痺れているし、頼みの綱で呼んでおいたショージさんは相場よりも安いからお買い得かも知れないなぁ。。と相変わらず肝心な事を見失っている。

ボクはおばさんと同じ空間で呼吸しているだけで目眩が止まらないし、コイツらの馬鹿さ加減にゲロが出そう。
早々にその場を引き上げ、帰りの車中ではショージさんが安く買えそうなそのバイクを個人売買サイトの手数料抜きで買う為におばさんとLINE交換しておくべきだったんじゃないか?とか何とか言ってやがる。
 
ボクは言いました。

「あのババアのお下がりで満足か?」

バイクとはロマンであり、ロマンだからこそボクらは夢中になるのだ。

ヒーローの乗り物だし、不良の乗り物なのでうるさいおばさんから譲り受けるものでは決して無いのだよ。

誰も理解してくれないかも知れないが、誰かに分かって貰う必要も無い。

バイクなんてそんなモンだよ。

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