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シオンとアベ。

2年位前かなぁ?SNSをきっかけにバイクを見に来てくれたのが最初の出会い。

ほんの2年前の話だけど、あの頃は若い世代の客が少なかった。

若い世代への継承。
と言うのは建前で、本音はジジィばっかり相手をしていても先は無いぞ。
若い世代に目を向けてタネを撒かなきゃ明るい未来は見えないじゃん。
とりあえず出来る事として、SNSで30歳以下の人には値段安くしますよ!って呼び掛けたのです。

その投稿からしばらくして店に現れたのがその人。シオン。
年齢は30代半ば、落ち着いた雰囲気の小柄な青年。ま、実年齢よりは老けてみえる。よく言えば味わい深いタイプの見た目。確実に文系顔。小説とか好きで、そっち系の感じ。若い頃は日の目を浴びないが、歳を重ねるに連れ渋みを深める的な。
意外とおっさんになってからモテるタイプ。歳の離れたギャルみたいな嫁さん捕まえて、さんざん振り回された挙句に捨てられる。そう言う見た目。

でも実は、まだ実年齢はおろか、名前すら知らない。
だってまだ初めましてだもん。コッチの勝手なイメージよ。

バイクを見ながらおしゃべりしていると、バイクの事は気に入ってくれたみたいだ。
48年スピードツイン。リジッドフレームに500ccのアイアンヘッドエンジン。オリジナルが適度に保たれた玄人好みのツウな1台だ。
彼のキャラクターにもしっくり来る。

ここまでは、普通にありがたいだけの話よ。バイクも店も気に入ってくれて高価なバイクを買ってくれそう。これから長い付き合いが出来ると良いなぁ。お互いにとって良い関係を築いて行ければいいなぁ。ってさ。

しかし彼は、そんな幸せな空気をぶち壊すセリフを言ってしまったのです。

「あのぉ、若い人には安くしてくれるってインスタで見たんですけどぉ、、?』(上目遣い)

ん?どした?んん?
あぁ、俺より年下は全員対象と勘違いしてやがんな!違う違う。若いってのはせめて20代の事だぜぇ?
おかしいな?話してる感じじゃ、そんな空気読めない感じじゃないけどな。
と、思いながら
「えっ?何歳?」と聞くと
「24です。」

稲妻に撃たれました。
先ほどまで楽しく話していたこの渋めの青年が俺にウソついて値切ろうとしている。。。

悲しい。悲しきことこの上ない。

こちらとしては、長い付き合いを、、、
なんて好意的に受け止めていただけに、この裏切りはやってはいけない。

完全に見損ないましたね。もう知らない。
知った事ないヨォォォ!アンタの事なんてぇ!

アッタマ来た俺は言ってやりましたよ。えぇ。言ってやりました。
「ちょっと免許証見せてみ?」
どうせ、今持って無いんでぇ。みたいにスットボケやがるんだろ。百戦錬磨の俺様に敵うと思うなよ。そのチンケでコスい交渉術にケチつけて塩撒いて追い返してやるわ!ビンテージブリティッシュのお店に来たはずが歌舞伎町の裏路地でぼったくりバーのボーイさんに言われるセリフを聞かされるのです。
「ホレ。免許、みしてみ?」(オラオラ)

アレ?すんなり出すジャン。
え?偽造免許?そこまで用意周到か?さてはプロ??

ガーン。ホントに24才じゃん!!
偽造免許証かどうかの真贋を見極める術は無いし、ウソ言ってる感じも無い。

マジかよ?つーか、それより名前よ。
シオンて。あんた、シオンてぇぇぇ。

と、心で叫びながらも。冷静な顔して言いました。

「ホントだね。」って。

シオンも。「ホントっす」って。

俺は『24才のシオン君』をまだ飲み込めて無いけど、当の本人もなんだか飲み込めて無いっす。って顔してるし、仕方ないよね。

「や、安くするよ」

しかし、安くするならそれなりの苦労もしてくれないと釣り合いが取れない。輸入新規(リジッド公認)の車検取得や、車両の整備は出来る限り自分でやって貰う。もちろんアドバイスは無料でしてあげるが、コッチに頼むならその分は追加で費用が発生するからね!と。

それからは近県とは言えども数時間をかけて店に通い、車両の整備を共に進め、いよいよ車検取得。堂々の公道デビューを無事に迎えるのです。





本日は時間切れ。寝ないとマズい時間になって来たから今日はここまで!

『シオンとアベ』ってタイトルだったけど、シオン前編って感じだね。

アベについては触れても無いけど、まぁ、そのうちまた!

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