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発電側基本料金まとめ②

今回も引き続き、発電側基本料金のまとめです。

前回の記事はこちらから

③発電側基本料金の調整措置(小売電気事業者の託送料金減額分)

発電側基本料金として全ての電源に賦課される、年間1,800円/kWという金額を再生可能エネルギーに適用するとどうなるかが、資源エネルギー庁の資料の中で以下のように整理されています。

発電側基本料金_201912-19

調整措置として、一番下に「小売の託送料金減額分」という記述がありますが、全ての電源に関連した事項で、発電事業者から発電側基本料金を徴収することで、小売電気事業者の負担していた託送料金が減額されます。

この小売電気事業者の負担軽減分は、発電事業者と小売電気事業者の取引価格に適切に転嫁されるべきと言うことで、その転嫁分が0.5円/kWhとなっています。

では、この図を見るとkWhあたりの負担額が電源によって大きく異なる再生可能エネルギーについて、どのような調整が検討されているでしょうか。

④発電側基本料金の調整措置(FIT案件)

上の図で大きく整理されているとおり、小水力発電・バイオマス発電・地熱発電はFIT制度で想定される設備利用率だと、発電側基本料金の徴収額は小売の託送料金減額分の範囲に収まります。

一方で、設備や地理的特性で設備利用率が異なる太陽光発電・風力発電は、追加的な調整措置が検討される必要があります。その1つが、追加的な再エネ賦課金による補填です。その制度設計の論点は、下記のようになります。

●電源種や規模によって、発電事業者の事業状況をきめ細かく踏まえた制度設計とするか。あるいは、対象にかかわらず一律のシンプルな水準とするか。

●他の電源種との公平性をどのように考えるか。

●太陽光発電において、特別高圧・高圧の事業用太陽光発電は基幹系統増強費用を一定程度負担しているが、低圧は原則求められていない。

●太陽光発電の利潤配慮期間で32円/kWh以上の事業については、運転維持費が調達価格等算定委員会で想定した水準より低くなっており、その差分で発電側基本料金を吸収できるのではないか。

電源によって事情が異なる点や、発電事業者と小売電気事業者の間で調整すべき事項でもあるといった観点から、まだしばらくは議論が続きそうです。

まずは、現段階で一定の調整措置が検討されているものの、その中身は議論中というところで一旦は現状の整理となります。

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