市場縮小で太陽光発電のコスト削減を目指すという経済産業省の奇策
ITmediaスマートジャパンのソーラーシェアリング連載、今回の記事は3月23日に経済産業省から公表された2020年度のFIT価格についてまとめました。
ソーラーシェアリングへの影響は記事を読んでいただければと思いますが、今回のFIT価格引き下げ+制度変更には、FIT制度における太陽光発電の終息を図りたい経済産業省の意図が見えます。
これまで導入件数の95%を占めてきた低圧規模の事業用太陽光発電を全量FITから除外し、入札範囲も250kW以上にまで範囲を拡大してきました。50kW以上の高圧規模の太陽光発電設備は、年平均3GW程度が導入されてきていますが、2019年度の入札募集枠は750MWしかなかったので、今後段階的に1/4にまで削られていきます。
FIT制度について経済産業省が頑なに口にしないのが、「この制度変更によってどれだけ市場拡大効果があるか」です。第5次エネルギー基本計画で再生可能エネルギーの主力電源化という方針が示された以上、基本的に新たな施策は導入拡大を図る内容になるはずです。低圧案件の全量FIT除外であれ、入札対象の拡大であれ、「これで市場は更に拡大する」というアナウンスと共に実施されるのであれば何ら批判を受けることはありません。
「再生可能エネルギーの最大限の導入と国民負担の抑制との両立」を図るために、コスト削減を推し進めよという姿勢は構いません。ただ、市場経済においてコストの削減は市場の拡大あってこそです。薄利であっても多売するだけの市場があるなら、企業は市場に残り続けるでしょう。
今回の制度変更を見るに、市場縮小の中でコスト削減を図るという経済産業省の奇策が試されるのが、2020年度の再生可能エネルギー市場になりそうです。