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【確報】2020年度の太陽光発電FIT制度調達価格

既に速報を投げましたが、2月4日に開催された第55回調達価格等算定委員会で2020年度のFIT制度調達価格(委員長案)が公開されました。太陽光発電は、以下の通りです。

 10kW未満 21円/kWh

 10kW以上50kW未満 13円+税/kWh

 50kW以上250kW未満 12円+税/kWh

 250kW以上 入札

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10kW以上の下げ幅は、これまで毎年3~4円/kWhの引き下げが続いてきましたが、今回は小幅な動きに留まっています。昨年度の調達価格等算定委員会で引き下げられたIRRを含めて、今回は多くの想定値が据え置かれた影響が大きいでしょう。

その他に、大きな変更点としては下記が挙げられます。

●住宅用となる10kW未満の調達価格一本化

●10kW以上50kW未満は原則として余剰売電のみ(30%以上の自家消費)

●営農型太陽光発電は10年以内の一時転用許可条件を満たし、災害時の活用が可能な場合は10kW以上50kW未満の事業でも全量売電

●入札対象となる事業規模は250kW以上に拡大

地上設置型の低圧規模案件は2019年度までの全量売電対象から、2020年度は自家消費による余剰売電のみとなったこと、一方で営農型太陽光発電は条件付きながら低圧規模案件でも全量売電が残りました。

なお、「災害時の活用が可能」とは、下記の通り定義されています。

災害時のブラックスタート(停電時に外部電源なしで発電を再開すること)が可能であること(自立運転機能)を前提とした上で、給電用コンセントを有し、その災害時の利活用が可能であること

災害時の給電が可能という点は、2019年9月の千葉県における大停電の教訓などから、地域での活用が期待される低圧規模の太陽光発電には今後必須の機能だと言えます。

ただ、自立運転機能を備えたPCSの選定が必要となりますが、海外メーカーを中心に非対応の機種が多く、今後数年間は国内の太陽光発電市場の縮小が見込まれる中で、どこまで新規開発が進むかは不透明です。

来年度はFIT制度の抜本見直しの議論が本格化することから、今回のFIT制度見直しを地ならしとしつつ、更なる制度変更が検討されると思われます。

これまでの調達価格等算定委員会ほか各委員会の議論の中で、完全に抜け落ちてきたのは「市場拡大なくしてコスト削減なし」という経済の基本的な視点です。

FIT制度の抜本見直しにあたっては、「この制度を入れればこれだけ市場が拡大する」という想定を、大前提に置いて議論が進められるべきです。

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