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溢れる思いは幾つもあるけど。

君に伝えたい事は幾つもないな。

the peggiesと出会って丁度2年少しが経った。そして、明日には無期限で活動休止をしてしまうらしい。
らしいだなんて余所者みたいな言い方をしてしまうけれど、それくらいまだ実感が湧かない。

コロナ禍で楽しみにしていたイベントが全て消し飛び、大きな選択に迫られる時期もあった。そんな中で愛犬との別れがあったり、プライベートの何もかもが本当に上手くいかなかったり、あの頃の自分は布団の中でさながら泣声に溺れているようだった。


そんな時、部屋の片隅でインターネットを見ていた時に、偶然そのアニメに出会った。
そのアニメのタイトルは滅茶苦茶で内容もくだらないものかと思っていたけれど、ズタズタになった自分の心をもう一度立たせようとしてくれるにはあまりに十分すぎる内容だった。
「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」
人との繋がりが殆どなくなり、自分と世界の境界が分からなくなっていたこの時の自分は思春期症候群だったのだろうか。
この作品を見た時、作中に出てくる景色の美しさに度々心を奪われた。そして、オープニングテーマの疾走感と物語の情緒を高める演出に更に惹かれていった。

コロナで部屋に閉じこもっていた2020年9月、このオープニングテーマを聴きながら七里ヶ浜の海岸沿いを歩きたいと強く思い、久しぶりに外に繰り出した。
全ては君のせいなのだ。
江ノ電が狭い住宅道をかき分けて、やっとの思いで道路沿いに抜け出した時に目の前に広がった、煌々と太陽を反射して輝く一面の海はどんなドラマチックな脚本よりも美しく心に刻まれた。

こうして君のせいな思い出を作ったのが、私とthe peggiesの出会いだった。


私は何度も藤沢や江ノ島のあの海に向かい、そしてその度にペギーズの音楽に触れていくことになる。
劇中歌として使われていた「BABY!」の原曲はあまりにキュートで歌詞も天才的。YouTubeのおすすめに上がってきた「グライダー」は、夢を追う気力を全く失っていた自分の背中を強く優しく押してくれた。
「JAM」「スプートニク」「LOVE in the TOKYO」「センチメートル」…

そして、NEW KINGDOMのトレイラーから流れてきた一節。

「生きてるだけで素晴らしいんだ」って
言えるまであとどれくらいさぁ
素晴らしくない人と出会って
素晴らしくない景色を見て
素晴らしくない自分を、信じなきゃいけないんだよ

いきてる/the peggies

たった30秒にも満たない時間で、何も準備してない知らされていない人間を落涙させられるんだから、北澤ゆうほさんは本当に天才なのだと今でも思っている。
違ったとしても自分にとって絶対的なヒーローになるのに時間はかからなかった。

10月には藤沢のタワレコでHell like Heavenを買った。アルバムとしての全体感の完成度も、一曲一曲の密度も凄まじかったので大満足した。
その数日後には別の店に行って、そこに置いてあったsuperboy supergirlとアネモネEPを購入した。
江ノ島に行った後、はるばる小田急線を北上して下北沢のペギマにも訪れた。

数日前までまるで世界が終わってしまったかのように塞ぎ込んでいた自分を、こんなにもキラキラした世界に再び連れ出してくれたのがペギーズとその音楽だった。
流れてくる歌詞はどれも魅力的で、人間の心を突いていて、楽しかったりときに苦しかったりする人生そのもののように感じられた。
宇宙の隅に溺れて、助けてくれ愛してくれともがいていた僕の声を拾ってくれたのは、ペギーズの音楽そのものだった。


それから、人生で初めてバンドのライブにも行った。
生涯でライブに行くとすればそれはBUMP OF CHICKENが最初なんだろうなと思って過ごしていたのだが、BUMPを超えて「今すぐ見に行きたい!」とい気持ちにさせてくれたのはやはり君のせいだ。
センチメートルのCDを持っていれば入れるというプチライブに参加し、そこで初めてペギーズいいライブを味わった。

近くにいたペギーズファンのお兄さん、まだ顔のフィルム剥がしきれてませんよと優しく教えてくれたなぁ。最近どうしてるだろう、元気してるだろうか。
ステージの上で輝くthe peggiesの三人は、想像していた何倍も可愛くて、輝いていて、そして格好良かった。
その日の帰り、夜のライブに参加できる人が心底羨ましく思った。それ以降のライブは、行ける限り行こうと決心し通い続けた。

受け取るだけじゃ堪えきれず、溢れる思いを吐き出すためにお茶の濁りが溜まったようなアカウントまで作ってしまった。


最高の新曲や最高のイベント、最高の思い出もたくさん生まれた。



手に入れられる限りCDも集めた。


その全てが楽しく、
本当にあっという間だった。

身辺が忙しくなり、十祭に参加できないというかなり悔しい思いをした頃。丁度心が揺さぶられるような嫌な事件もあり、どうかしてるよこんな世界と思っていた頃。
あまりに唐突に、無期限活動休止のお知らせが飛び込んできた。

ここまでつらつらと書き連ねてしまったのは、あまりにこの二年間が自分にとって濃密で、かけがえのないものだったということの証拠なのだと思う。
君に伝えたい事はいくつもないんだと言っておきながら、いざ書き出せば止まらなくなってしまう。

それだけ、the peggiesに対する思いは時を追うごとに募っていったし、ペギーズを知らなかった頃の気持ちや思いをもう思い出せそうになくなっている。これから自分はどう過ごしていくのだろうか。まるで恋みたいだとも思う。


きっと君がいなくても僕は息を続けるだろうけど。
きっとこの先もまた新しい「大切」に出会うだろうけど。

だから君を選んだんだ

綺麗事ばっかじゃない、強がったり強がれなかったりするけど、そんな正直で人間味たっぷりで愛情に満ち溢れた三人が作る音楽が好きだった。
だから私はペギーズが本当に、本当に大好きだった。

自分だって、寂しくないなんて強がれない。
今ふと実感が湧いてきて涙が止まらなくなりそうになる。



でももう行かなくちゃ。何度も三人が教えてくれたことだから。

僕が僕でいられるように。
僕よ僕になれと叫ぶ。
僕は僕しかいないから。

溢れる思いは本当に幾つもあるけど、「君」に伝えたいことは幾つもない。



自分の人生に再び光を与えてくれて、自分を愛するためのきっかけを与えてくれてありがとう。

「本当はね分かっていた 永遠なんてない」

三人の作る音楽と世界に何回も救われてきました。楽しませてもらいました。ありがとうとかそんなんじゃ伝えきれないくらい背中を押されました。

「何度救われたっけ ちゃんと返せてたっけ」

だからこそ、貰ってばっかりだったからこそ、ゆっくり休んでください。

「君の行く先が鮮やかでありますように」

気が向いたら戻ってきてほしいけど、焦らないで。いつまでも、永遠に忘れないで待ってます。

「いつだって伝えたかったんだ愛を」

それだけペギーズから愛を受け取った人がいるんだという証を、ここに刻んでおきます。

「君との全て忘れたくない」

Cheese! Cheers!

忘れないための一枚、もう心配はいらない。
写真の中でくらい笑っていたいから、作り笑いでも笑顔でいますよ…!
お揃いのposeで、最強の記憶に乾杯しよう!



長かった愛の旅は一旦休憩地点なのかもしれないけど、
終わらないこの思いはどうか届きますように。

そろそろ、ほら。行かなきゃ。
渋谷で会いましょう。

らぶちゃん!
𝑳𝑶𝑽𝑬-𝑪𝑯𝑨𝑵!

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